ものづくり補助金平成24年度岐阜県

高品質ストレッチ糸製造装置の改良

カワボウ繊維株式会社

成果巻き量 1kg→2kg

この事例のポイント

  • 押し込み加工方式は高品質なストレッチ糸を作れるが、生産性と歩留まりが低い。
  • ストレッチ糸の生産性を上げるため、スタッファーボックスの側面にフッ素樹脂加工を施し、曲率を小さくして糸の摩擦を減らした。
  • 巻き量 1kg→2kg。試作機で糸速の高速化と巻き量の増加を実現し、従来商品に比べて製造コストが1kgあたり60円削減できた。

事業者のプロフィール

事業者名カワボウ繊維株式会社
所在地岐阜県 岐阜市
業種繊維工業
技術分野金型

事業の背景

岐阜を拠点とする繊維の総合メーカーで、婦人衣料・紳士衣料・ユニフォーム用のテキスタイルを主力とし、岐阜・東京・大阪など全国の主要アパレル産地に供給している。ストレッチ糸の国内年間生産量は約170万kgで、そのうち押し込み加工方式は約12万kgにすぎない。弊社の押し込み方式のストレッチ糸は、今や日本で唯一量産体制をとっている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力押し込み加工方式は高品質なストレッチ糸を作れるが、生産性と歩留まりが低い。
  • コスト・採算海外商品と価格で競合できず、価格競争力を高める必要があった。
  • 人手・技能顧客の要望に合った商品を作るには、糸速の調整と糸切れ時の作業を改善する必要があった。

やったこと

ストレッチ糸の生産性を上げるため、スタッファーボックスの側面にフッ素樹脂加工を施し、曲率を小さくして糸の摩擦を減らした。これによりローラーの高速回転を可能にした。既存の巻取り装置は2段タイプから3段タイプに改良し、巻き量を従来の1kgから2kgまで増やした。糸切れ時は切れた糸の両端を左側に寄せて上に載せ、機械を止めずに仕上げ工程で結ぶ方式とし、従来の巻きなおし(リワインディング)工程を省いた。

  • 加工機スタッファーボックス改良巻取り装置3段タイプ・改良

事業の効果

  • 巻き量 1kg→2kg

試作機で糸速の高速化と巻き量の増加を実現し、従来商品に比べて製造コストが1kgあたり60円削減できた。糸速を希望の速さに制御できるようになり、顧客ニーズに合わせた試作糸の展開幅が広がった。生産効率とコストが下がったことで競争力が高まり、販売量の増加も期待できる。一方、フッ素樹脂加工のスライバーは樹脂が厚く糸に均一に挫縮がかからなかったため、従来のスライバーで対応している。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    既存の押し込み方式の生産性・歩留まりの欠点を解決する装置改良と書かれ、事業の延長線上にあることはうかがえるが、経営戦略上の位置付けは明確でない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    日本で唯一量産体制、年間約170万kgのうち押し込み方式は約12万kgと数字で示され、高品質・高付加価値品への特化を強みとして打ち出している。

  • 課題の認識と解決4

    生産性・歩留まりの低さという課題を明示し、糸速向上と巻取り量増で製造コスト1kgあたり60円(12%)削減を目標・実績として示している。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    従来比製造コスト1kgあたり60円(12%)削減という数値目標を示し、試作機で達成できたと記載されている。賃上げ目標は書かれていない。

  • 事業を進める体制1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    顧客は肌着・文房具の大手メーカーで納期短縮や商品開発の要望に応えると書かれ、ニーズの裏付けはあるが、選ばれる理由の整理は限定的。

  • 事業化までの道筋3

    フッ素樹脂の厚み見直しや他樹脂の試行など今後の課題と対応方針が書かれており、スケジュールの具体性は薄い。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    ストレッチ糸は日本で唯一量産体制とあり高水準の品質を示すが、普及度や高価格化の具体的な数値は示されていない。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    海外商品に価格面で太刀打ちできない状況が示されるが、雇用創出や波及効果など国が補助する積極的理由は書かれていない。

  • 費用対効果4

    約1,800万円規模の投入に対し1kgあたり60円のコスト削減を実現し、巻取り工程の省略による効果も示され、費用対効果がうかがえる。

  • イノベーションへの貢献1

    公開されている事例からは読み取れません。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    岐阜の繊維産地に立地する事業と読み取れるが、地域の特性を活かした雇用・成長への言及は薄い。

今後の展望

今後は5年間の目標数量を前倒しで達成できるよう、商品開発と市場調査を進め、顧客が必要とする商品づくりに努める。フッ素樹脂の厚みを薄くすること、他の樹脂を試すことも検討している。また、高品質ストレッチ糸の毛細管現象による保水性を生かし、医療や化粧品の分野への商品開発を目指す。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。