ものづくり補助金平成25年度製造業秋田県

世界に通用する魚醤作りの製造システム構築

株式会社諸井醸造

成果単一魚介の魚醤を3ヵ月で製造

この事例のポイント

  • しょっつるはハタハタに限定され製造に3年を要し、海産物にはアレルギー物質であるヒスタミンが含まれるため、低塩分かつ短期間で製造する技術が必要だった。
  • 様々な魚種で低塩分かつ短期間の魚醤を製造するため、導入した火入れ混合撹拌機を用いて新製法を開発した。
  • 単一魚介の魚醤を3ヵ月で製造。導入設備と新製法により、鯛、エビ、マグロ等の単一魚介で3ヵ月の魚醤を製造できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社諸井醸造
所在地秋田県 男鹿市
業種その他の製造業
従業員数6人
資本金300万円
設立1930年

事業の背景

当社は醤油・味噌・しょっつるを造る醸造会社で、しょっつるは秋田を代表する伝統的発酵食品である。乱獲による漁獲量の減少で一時は消滅の危機にあった。魚醤はスローフードの流れで見直されているが、日本では高塩分や臭みの理由で調味料として活用されてこなかった。国内の魚醤需要は年間6,100トンだが国内生産は200トンで、海外魚醤油の輸入は5,000トン以上と年々増加している。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術しょっつるはハタハタに限定され製造に3年を要し、海産物にはアレルギー物質であるヒスタミンが含まれるため、低塩分かつ短期間で製造する技術が必要だった。
  • 品質・精度ヒスタミン量をコーデックス規格以下に抑えることが課題だった。
  • 新製品・新技術規格外の魚介を活用し、白神酵母を使った今までにない旨味を追求する必要があった。

やったこと

様々な魚種で低塩分かつ短期間の魚醤を製造するため、導入した火入れ混合撹拌機を用いて新製法を開発した。魚醤の製造では発酵温度や湿度の管理と塩分コントロールが重要で、長年の製造技術とノウハウを結集した。規格外の小魚や甲殻類などを活用し、白神酵母を用いた新たな旨味を追求した。製品化にあたっては充填半自動ラベラーも導入した。

加工機火入れ混合撹拌機
加工機充填半自動ラベラー

新しい製品・サービス:鯛、エビ、マグロ等の単一魚介による3ヵ月製造の魚醤5種類(鯛魚醤、マグロ魚醤など)。

事業の効果

  • 単一魚介の魚醤を3ヵ月で製造

導入設備と新製法により、鯛、エビ、マグロ等の単一魚介で3ヵ月の魚醤を製造できるようになった。製品化した5種類のうち鯛魚醤とマグロ魚醤が大手外食チェーンに採用され販売が始まった。様々な魚種で魚醤を製造できる技術が評価され、大手水産加工会社へのOEM供給が増加した。これまで廃棄されていた規格外の魚介にも市場価値が生まれ、地元漁師からも感謝される好循環につながった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    ハタハタを使うしょっつるを男鹿で300年続けてきた醸造店として、伝統製法を復活させる取組との一貫性は読み取れる。経営戦略上の位置付けは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    ヒスタミン量をコーデックス規格以下に抑える点や、大手外食チェーンへの販売、大手水産加工会社へのOEM供給増加から強みはうかがえる。市場動向の分析は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    ハタハタ漁獲減や製造に3年を要する課題に対し、製造期間3ヵ月の新製法を完成させたと具体的に書かれている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    国内魚醤需要6,100トン、国内生産200トン、輸入5,000トン以上と市場数字はあるが、付加価値額や賃上げの目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員6人の醸造会社であることはわかるが、補助事業を遂行する人材体制や事務処理能力の記述は見当たらない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    低塩分・臭みを抑えた魚醤という価値、大人から子供まで受け入れられる味、大手外食チェーンに選ばれた点が書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    開発の経緯と今後の展望(コーデックス規格遵守、海外展開、液体麹の商品化)は書かれているが、スケジュールや課題解決方法は具体的でない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    魚醤は国内での普及度が低い分野で、鯛・エビ・マグロなど単一魚介による新製法で高付加価値化を図ると書かれている。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    地元漁師の規格外魚介に市場価値が生まれ感謝される好循環や、秋田の特産品を使う発酵食品の開発による地域への波及が書かれている。

  • 費用対効果2

    補助金額や付加価値額の増加など費用対効果を示す数字は書かれていない。OEM供給の増加がうかがえる程度。

  • イノベーションへの貢献3

    白神酵母の活用や発酵技術による液体麹(肉醤)の開発、大手調味料メーカーとの連携が書かれているが、デジタル技術の記述はない。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    食品ロス削減や海外展開への言及はあるが、経済構造転換への貢献は明示されていない。

  • 地域経済への波及4

    男鹿の地元ハタハタを原料とする伝統的な醸造を地域の特性として活かし、地域の食文化と漁業者に貢献していると書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

国内市場の開拓余地は大きく、コーデックス規格を遵守して世界に通用する魚醤の製造を目指す。液体麹(肉醤)の技術を活かし、秋田県の特産品を使った発酵食品の商品化や食品ロスの削減にも貢献したい。

  • 目標:製造に3年を要していたしょっつるに対し、新製法では3ヵ月の魚醤を製造

事業者の声

確固とした「しょっつる」を後世に残すという志で取り組んでいます。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。