ものづくり補助金平成25年度製造業山形県

日本一のものづくりを実現する為の試作機の設備導入事業

近賢織物有限会社

成果作業時間(柄データの織機への投入) 2日→1日

この事例のポイント

  • 従来の織機は経糸が960本で、大きな紋様を製作しにくかった。
  • 織機として、経糸の本数を従来の960本から1200本に増やし、より大きな紋様を製作できる装置「袋帯製作用佐實錦仕掛け」を京都から導入した。
  • 作業時間(柄データの織機への投入) 2日→1日。紋紙を介さずUSBから柄データを直接送れるため操作性が大きく向上し、柄の変更も容易になって多品種小ロット・短納期生産が…

事業者のプロフィール

事業者名近賢織物有限会社
所在地山形県 米沢市
業種繊維工業
従業員数11人
資本金1,700万円
設立1966年

事業の背景

和装製品を製造する現場が激減するなか、伝統的なものづくりを伝承するため、当社は古い織機を改造して新しいものづくりに取り組んできた。帯地などの製造に使うジャカード織機は、厚紙の紋紙に柄情報を穴として記録し、それを読み取らせて経糸を制御する方式だった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力従来の織機は経糸が960本で、大きな紋様を製作しにくかった。
  • コスト・採算ジャカードの紋紙は1本の帯で最大1000枚・約20kgに及び、扱いや保存が難しかった。
  • 生産能力染抜き作業に1回あたり4時間かかっていた。

やったこと

織機として、経糸の本数を従来の960本から1200本に増やし、より大きな紋様を製作できる装置「袋帯製作用佐實錦仕掛け」を京都から導入した。従来は紋紙の情報を読み取っていたジャカードに、USBから柄のデジタルデータを直接送り込んで読み込ませる「ダイレクトジャカードA0-DJ」を導入した。製造工程で付着した油汚れを落とす高機能染抜き装置「CAN system」も導入し、溶剤を細かく噴射して下からバキューム吸引する方式で染抜き作業を行えるようにした。

加工機袋帯製作用佐實錦仕掛け
加工機ダイレクトジャカードA0-DJ
その他高機能染抜き装置「CAN system」

新しい製品・サービス:多色使い、より大きな紋様、繊細な柄の帯地や、経糸を多く使ったフォーマル向け帯地、車木染や天然素材など太さの異なる糸を織り込んだ商品。

事業の効果

  • 作業時間(柄データの織機への投入) 2日→1日
  • 染抜き作業時間 4時間→2時間
  • 経糸本数 960本→1,200本

紋紙を介さずUSBから柄データを直接送れるため操作性が大きく向上し、柄の変更も容易になって多品種小ロット・短納期生産が可能になった。紋紙が不要になったことで大幅なコスト削減が実現し、より複雑な紋様の製作もでき高付加価値化と低コスト生産が両立した。高機能染抜き装置の導入により仕上げ品質が向上して信頼度が高まり、溶剤使用量も減った。新たな市場として需要の多い袋帯に参入したところ、他地域からの受注引き合いが発生し販路が広がった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    従来の紋紙課題の解消と新しいものづくりの環境づくりを目指すとあり、伝統技術の継承という一貫性はうかがえるが、経営戦略上の位置付けの記述は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    米沢地域で同種装置を導入する同業者は少なく他社と違うものづくりができるとあり、強みは読み取れるが市場動向の分析は書かれていない。

  • 課題の認識と解決4

    紋紙の重さ20kgや保存の問題を課題として挙げ、2日から1日への作業時間短縮と紋紙不要によるコスト削減を示している。

事業の実現可能性44%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    作業時間の2日から1日への短縮や染抜き作業の4時間から2時間への短縮は数字で示されるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    多品種小ロット短納期生産や1点物への対応、袋帯市場への参入と他地域からの受注引き合いが示されている。

  • 事業化までの道筋2

    今後の展望として新商品開発や販路拡大の方向は示されるが、スケジュールや課題の解決方法は書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    経糸1200本により大きな柄や繊細な紋様を表現でき、同地域で導入する同業者は少ないと書かれ、高付加価値化を示している。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用2

    伝統的な和装織物技術の伝承という社会的意義がうかがえるが、経済波及や雇用創出の効果は書かれていない。

  • 費用対効果4

    紋紙廃止による大幅なコスト削減と染抜き作業時間の短縮、溶剤使用量の低減が事例に具体的に書かれている。

  • イノベーションへの貢献4

    柄のデジタルデータをUSBからジャカードに直接送る方式は、伝統技術とデジタル技術の融合として明示されている。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    米沢の伝統技術を活かし、他産地からの受注期待や高付加価値化が書かれるが、地域経済成長への寄与は具体的ではない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

新たな織機・装置により多色使い、より大きな紋様、繊細な柄の帯地が製作できるようになり、ものづくりの幅が広がった。お客様の要望を聞きながら1点物をつくる方向など可能性が広がっている。他産地からの受注や、車木染や天然素材など太さの違う糸を使った新商品開発による高付加価値化も見込まれ、失われつつある日本の和装織物技術の伝承と高付加価値化を図る。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。