ものづくり補助金平成25年度製造業福島県

高品質長期持続清酒の製造工程改善による生産性向上と海外市場等の販路拡大

豊国酒造合資会社

成果熱処理で品温65℃に達する時間 210秒→12秒

この事例のポイント

  • 熱処理工程の短縮・改善が技術的課題であり、販路を県外・海外へ広げるうえで障害となっていた。
  • 熱処理工程の改善のため、プレート式熱交換器を導入し、1台を貯蔵時と出荷時の熱処理に併用できるようにした。
  • 熱処理で品温65℃に達する時間 210秒→12秒。熱処理に伴うダメージを抑えて素早く殺菌できるため、フルーティーな芳醇さと華やかな香りを引き出せるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名豊国酒造合資会社
所在地福島県 古殿町
業種飲料・たばこ・飼料製造業
技術分野バイオ,製造環境

事業の背景

天保年間に創業した古殿の地酒メーカーで、代表銘柄は普通酒「東豊国」である。南部杜氏が手がける銘酒は全国規模の鑑評会で受賞を重ねてきた。今後は酒質の追求に加え、ブランディングや国内外での販路拡大に取り組む方針だった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力熱処理工程の短縮・改善が技術的課題であり、販路を県外・海外へ広げるうえで障害となっていた。
  • 品質・精度蛇管式では貯蔵および出荷に先立つ段階で時間を費やし、熱処理による味わいの劣化や本来の持ち味を損ねる懸念があった。

やったこと

熱処理工程の改善のため、プレート式熱交換器を導入し、1台を貯蔵時と出荷時の熱処理に併用できるようにした。機器選定では最大加熱温度、制御温度、昇温処理能力を重視し、酒造期間の終了後に速やかに据え付けられるよう準備した。最適な熱処理温度である品温65℃へ約12秒で達することを確認し、蛇管式の約210秒と比較した。キャスター付のため1名で移動でき、自動制御盤の操作は現場スタッフへ確認と徹底を図った。試作した清酒の動作テストでは設定温度に正確に達すること、温度上昇速度、1時間の処理量を確認し、導入前後の製品は福島県ハイテクプラザと会津若松技術支援センターで官能評価を行った。

その他プレート式熱交換器

新しい製品・サービス:純米吟醸酒「一歩己(いぶき)」

事業の効果

  • 熱処理で品温65℃に達する時間 210秒→12秒

熱処理に伴うダメージを抑えて素早く殺菌できるため、フルーティーな芳醇さと華やかな香りを引き出せるようになった。製造から出荷までの待機期間が短縮され、製造後約1週間で工程を進められるようになった。作業工程のマニュアル化や製造・出荷態勢の整備により、マンパワーの再編・再配分も進んだ。経営資源の有効活用を通じて、商品開発や営業活動との好循環が生まれている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    鑑評会受賞歴や技術実績を活かし酒質追求とブランド戦略を進める方針が書かれ、過去の取組との連続性はうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    南部杜氏や鑑評会実績など強みはあるが、市場動向との関係を示す数字や分析は乏しい。海外販路拡大の意欲が述べられている。

  • 課題の認識と解決4

    熱処理に伴う劣化と1~3ヵ月の待機期間が課題として示され、プレート式熱交換器で約1週間に短縮する具体策が書かれている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    最適熱処理温度品温65℃へ約12秒で到達(蛇管式は約210秒)と数値で目標性能を示し、製造から約1週間の工程短縮も明記されている。

  • 事業を進める体制3

    現場スタッフへの操作確認・徹底や1名での移動が書かれ体制はうかがえるが、人材や事務処理能力の記述は具体性が薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    鑑評会実績を踏まえた味わいや若者世代の定着、県外・海外への提案が述べられるが、顧客ターゲットやニーズの裏付けは薄い。

  • 事業化までの道筋3

    2026年春の据付完了に向けた準備やマニュアル化が書かれ、スケジュールは示されるが、中長期の課題検証は読み取りにくい。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    鑑評会で高評価を得る高水準の酒質を追求する姿勢が示されるが、分野の普及度や高価格化の数値は書かれていない。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    地域経済への貢献や若者の雇用定着に触れるが、経済波及や雇用創出の規模を示す数字は書かれていない。

  • 費用対効果2

    待機期間の短縮や時間短縮の効果は述べられるが、投入額に対する付加価値増加などの費用対効果は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    プレート式熱交換器の導入や工程のマニュアル化は述べられるが、デジタル技術や地域・サプライチェーンへの波及の記述は乏しい。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    地元古殿の観光キャンペーンや地域経済への貢献を高める方針が書かれるが、雇用や成長への定量的な効果は示されていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

県外・海外へのプロモーションと販路拡大に努め、味わいが引き立つ愛飲スタイルも提案する。新たな純米吟醸酒「一歩己」で新しい歴史を彩る計画である。若者世代の定着に役立つよう雇用創出も視野に入れ、酒蔵ツアーや地元・古殿の観光キャンペーンにも取り組む。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。