ものづくり補助金平成25年度製造業石川県

中小酒蔵による高品質な日本酒の3季醸造システム構築

株式会社 吉田酒造店

成果製造時期 2季→3季

この事例のポイント

  • 2季醸造のため年2回しか製造できず、絶対的な製造力が不足していた。
  • 金沢工業大学の尾関健二教授の協力を得て、冬季に製造した麹を乾燥させたものと、夏季に実際に製造した麹の2種類で小仕込み試験醸造を行った。
  • 製造時期 2季→3季。3季醸造と状況に応じた小規模仕込みが実現し、生産量を増大させるとともに小刻みな生産調整が可能になった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社 吉田酒造店
所在地石川県 白山市
業種飲料・たばこ・飼料製造業
技術分野バイオ,製造環境
従業員数22人
資本金1,000万円
設立1954年

事業の背景

当社は手取川の伏流水や白山からの清澄な空気など地域の資源にこだわり、全製品を本醸造酒以上の特定名称酒とし、すべての原料米を酒造好適米とする高級酒造りを行っている。日本酒が低迷する中でもブランドの手取川は売れ行きが好調で、品切れや出荷制限が続出していた。一方で大手と違い全館空調を持たない中小酒蔵のため、高温多湿の夏場に麹造りを行うことが大きな課題だった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力2季醸造のため年2回しか製造できず、絶対的な製造力が不足していた。
  • 人手・技能能登杜氏や蔵人が高齢化し蔵人募集が難しくなっており、将来的に自社雇用社員で酒造りを行う必要があった。
  • 人手・技能現状の2季醸造では安定した仕事を提供できず、正規社員の雇用が難しかった。

やったこと

金沢工業大学の尾関健二教授の協力を得て、冬季に製造した麹を乾燥させたものと、夏季に実際に製造した麹の2種類で小仕込み試験醸造を行った。導入したのは、小容量の原料米を高品質に蒸す吟醸用甑、外硬内軟の蒸し米を作るための高出力ボイラー、品温管理ができる2000リットルのサーマルタンク2本の3設備である。試作では3月に酒造好適米五百万石で精米歩合50%の麹20kgを製造し、水分量15%以下まで乾燥させて−5℃で7月まで貯蔵した。夏場は7月14日から同じ酒米、量、精米歩合の麹を尾関教授の立会いのもと2日間製造し、7月22日から23日に2段仕込みで精米歩合50%の純米吟醸を2本仕込んだ。

その他吟醸用甑
その他専用の高出力ボイラー
金型サーマルタンク(2000リットル)

事業の効果

  • 製造時期 2季→3季
  • 品温管理が可能なサーマルタンクを2本導入

3季醸造と状況に応じた小規模仕込みが実現し、生産量を増大させるとともに小刻みな生産調整が可能になった。常に適切な在庫を保有しながら安定した経営ができるようになり、技術者不足の問題も解消に向かいつつある。麹の活性や雑菌汚染の面でも酒造りに問題のない品質が確認され、今後は低コストで品質を損なわず長期保存が可能な製造方法の開発に取り組む予定である。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    2季醸造から3季醸造への転換が経営課題として書かれ、地元原料にこだわる高級酒造りとの一貫性がうかがえるが、経営戦略上の位置付けは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    手取川ブランドの売れ行きが好調で品切れが続くことや、純米酒・吟醸酒の増加傾向に触れており強みは読み取れるが、競争優位の具体的な説明は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    年2回の2季醸造による製造力不足と蔵人高齢化を課題として認識し、3季醸造と小規模仕込みで生産量増大と在庫調整を実現したと書かれている。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    生産量増大は述べられているが、付加価値額や賃上げの数値目標は記載されていない。

  • 事業を進める体制3

    尾関教授の指導を受けた協力体制と、技術者不足の解消に向かっているとの記述がある。人材確保の具体的な体制は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    高級酒の製造数量増加や清酒輸出の右肩上がりに言及し需要の裏付けはあるが、顧客ターゲットの整理は薄い。

  • 事業化までの道筋3

    令和元年時点で3季醸造が実現したと成果を述べ、今後は低コストで長期保存可能な製造方法の開発に取り組むと書かれている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    純米吟醸や吟醸酒など高級酒の製造に特化し、全製品を本醸造酒以上の特定名称酒とする高水準の高付加価値化が書かれている。

公的補助の必要性33%
  • 波及効果・雇用2

    地域の米・水を活かす酒造りや能登杜氏の雇用に触れるが、国が補助する積極的理由としての波及効果は明示されていない。

  • 費用対効果2

    導入設備の投資額や付加価値増加額の数値は示されておらず、費用対効果は判断できない。

  • イノベーションへの貢献1

    公開されている事例からは読み取れません。

政策面50%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及4

    地元の水と米を使い、農閑期の労働力を活かした地域の酒造りを明治初めから続けていると具体的に書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

日本酒が落ち込む中で純米酒、純米吟醸酒、吟醸酒など高級酒の製造数量は増加傾向にあり、清酒の輸出数量・輸出額も右肩上がりである。今後は低コストで品質を損なわず長期保存が可能な製造方法の開発に取り組む。

事業者の声

地元の風土で、地元の水を使用し、地元で取れた米にこだわった酒造りを明治の初めから続けてきました。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

大阪府製造業平成25年度

MRI用超電導マグネット監視装置の生産体制強化

制御基板の試験を自動化するため、基板検査装置を開発し、手作業で行っていた測定端子の接続や測定値の読み取りを自動化する。

効果:測定工数は予定通り約半分以下の時間となった

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。