ものづくり補助金平成25年度製造業埼玉県

細かな指先の作業が可能な新しい素材による電気絶縁手袋の開発及び量産化事業

三恵工業株式会社

この事例のポイント

  • 細かな指先の作業ができる絶縁手袋を求める声が、ハイブリッド車・電気自動車の自動車メーカーや太陽光発電パネルの設置業者から上がっていた。
  • 旧理研ビニル工業(現リケンテクノス株式会社)と共同で、天然ゴムに劣らない絶縁性を実現するスチレン系エラストマー(ゴム弾性体)を開発した。
  • ものづくり補助金で導入した製造装置により手袋の乾燥工程が半自動化され、量産化が可能になった。

事業者のプロフィール

事業者名三恵工業株式会社
所在地埼玉県 八潮市
業種ゴム製品製造業
技術分野複合・新機能材料
従業員数8人
資本金1,000万円
設立1973年

事業の背景

同社は電気絶縁用の保護具や防具の製造販売を行い、1994年10月に八潮市に設備を新設して低圧絶縁用手袋を製造してきた。従来の絶縁手袋は天然ゴム製が一般的だったが、同社はポリウレタン素材の製品で耐摩耗性や耐油性に優れている点を特徴としていた。東京電力配電工事協力会の各社など電力関係の顧客が中心で、その後ハイブリッド車や電気自動車の登場に伴い自動車メーカーからもニーズが生まれ、太陽光発電パネルの設置業者からも細かな作業ができる手袋が求められるようになった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術細かな指先の作業ができる絶縁手袋を求める声が、ハイブリッド車・電気自動車の自動車メーカーや太陽光発電パネルの設置業者から上がっていた。
  • 品質・精度手袋を薄くすると肝心の絶縁性能が不安定になるため、新たな絶縁素材が必要だった。
  • 生産能力手袋の乾燥工程は有機溶剤を加熱する際に発生するVOCガスに作業員が直接さらされる状態で、量産化の障害になっていた。

やったこと

旧理研ビニル工業(現リケンテクノス株式会社)と共同で、天然ゴムに劣らない絶縁性を実現するスチレン系エラストマー(ゴム弾性体)を開発した。INシリーズは手袋表面にポリウレタン、内側にスチレン系エラストマーを使った二層構造とし、低圧(AC600V、DC750V以下)の電気絶縁手袋として仕上げた。さらに絶縁手袋の上から伸縮性のある背抜き手袋を着けられるようセット販売とし、作業者の指にぴったり装着できるフィット性を高めた。手袋の乾燥工程を半自動化する製造装置を導入し、有機溶剤を加熱する際に発生するVOCガスを作業員が直接浴びずに済むようにした。

加工機手袋の乾燥工程を半自動化する製造装置

新しい製品・サービス:INシリーズ:表面にポリウレタン、内側にスチレン系エラストマーを使った二層構造の電気絶縁手袋で、背抜き手袋との組み合わせによりフィット性を高めた製品

事業の効果

ものづくり補助金で導入した製造装置により手袋の乾燥工程が半自動化され、量産化が可能になった。INシリーズは作業者の指にぴったり装着でき、細かな指先の作業にも対応できるようになった。乾燥工程で作業員がVOCガスを直接浴びなくて済むようになり、作業環境が改善された。INシリーズの売れ行きは発売後数年で上向きに転じている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.4 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性53%
  • これまでの取組との一貫性2

    1975年に電気絶縁用保護具の製造販売を始めた経緯は読めるが、今回の手袋開発との経営戦略上の位置付けは書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    ハイブリッド車や太陽光発電業者など市場ニーズが挙げられ、ポリウレタン製である点が強みとして示されているが、競争優位の具体性は薄い。

  • 課題の認識と解決3

    細かな端子やビスをつかむ作業ができないという課題が示され、二層構造で解決する流れは読み取れるが、高付加価値化の見通しは書かれていない。

事業の実現可能性40%
  • 付加価値・賃上げの目標1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 事業を進める体制2

    従業員数8人で量産化を実現したとあるが、体制や事務処理能力の具体的な記述はわずかにうかがえる程度。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    手袋を薄くすると絶縁性能が不安定になる課題や、ビスをつかむフィット感など、顧客ニーズと製品の価値が具体的に読み取れる。

  • 事業化までの道筋2

    背抜き手袋で汚れた分だけ交換できる点は示されるが、中長期の遂行方法やスケジュールの記述は見当たらない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    天然ゴム製が一般的な中で、ポリウレタン素材とスチレン系エラストマーの二層構造を採用し、天然ゴムに劣らない絶縁性を実現した点が読み取れる。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    太陽光発電や電気自動車など社会的需要の変化は読めるが、国が補助する積極的理由(雇用創出や波及効果)は明示されていない。

  • 費用対効果3

    ものづくり補助金で導入した装置により量産化を可能にし、VOCガスの暴露を防いだと書かれているが、費用対効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    新素材の共同開発や製造装置の半自動化はうかがえるが、デジタル技術や地域・サプライチェーンへの貢献は記述されていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    電気自動車や太陽光発電など成長分野への対応がうかがえるが、日本経済の構造転換への言及はない。

  • 地域経済への波及2

    八潮市での設備新設や電力工事会社との取引はうかがえるが、地域経済の牽引に関する記述は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。