ものづくり補助金平成25年度製造業千葉県

清酒の品質向上と生産所要時間の大幅短縮による増産体制の構築

吉野酒造株式会社

成果瓶燗工程の生産能力 150本/時間→225本/時間

この事例のポイント

  • 高級酒を中心に需要が増えて供給が追いつかず、供給不足が常態化していた。
  • 瓶燗工程を自動化するパストライザーと、洗瓶工程を自動化する角型洗瓶機を導入した。
  • 瓶燗工程の生産能力 150本/時間→225本/時間。瓶燗工程は機械化により手作業から自動化され、時間が半分に短縮されるとともに品質も向上した。

事業者のプロフィール

事業者名吉野酒造株式会社
所在地千葉県 勝浦市
業種飲料・たばこ・飼料製造業
従業員数20人
資本金1,000万円
設立1954年

事業の背景

当社は勝浦の地酒「腰古井」の蔵元として清酒の醸造を続けてきた。「腰古井」は全国新酒鑑評会での金賞受賞をはじめ、各種コンテストや品評会で多くの上位受賞を受けている。特に高級酒は高所得者層に好評を得て年々需要が増大し、受注の問い合わせも拡大している。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力高級酒を中心に需要が増えて供給が追いつかず、供給不足が常態化していた。
  • 生産能力瓶燗工程は、出荷前の清酒を65℃で殺菌して瓶に充填した後、温水・井戸水・氷水の3段階で15℃以下まで冷却する工程で、手間がかかりボトルネックになっていた。
  • 人手・技能洗瓶工程は再利用容器の洗浄を手作業に頼っており、汚れを十分に落とせず洗い直しが頻繁に発生していた。

やったこと

瓶燗工程を自動化するパストライザーと、洗瓶工程を自動化する角型洗瓶機を導入した。パストライザーは瓶の割れ防止と品質安定のため、加熱・冷却の温度設定と処理時間を複数条件で評価し、最適温度と処理時間を決定した。角型洗瓶機は洗浄水圧や温度設定を微調整し、複数条件で仕上がりを評価して最適な設定条件を決定した。

加工機パストライザー
加工機角型洗瓶機

新しい製品・サービス:梅酒や夏みかん酒など、地元農業者との連携による新たな製品。

事業の効果

  • 瓶燗工程の生産能力 150本/時間→225本/時間
  • 洗瓶工程の生産能力 250本/時間→400本/時間
  • 洗瓶作業人員 2人→0人
  • 瓶燗作業人員 4人→2人
  • 角型洗瓶機の導入で洗浄効果が90%以上になった。

瓶燗工程は機械化により手作業から自動化され、時間が半分に短縮されるとともに品質も向上した。洗瓶工程は洗浄効果が上がり量産性が高まった。生産能力が拡大して供給不足が解消され、多くの顧客に製品を届ける体制が整った。作業人員も削減され、生産性が向上し、きめ細やかな製品製造が可能になった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    「腰古井」の受賞歴や高級酒の需要増が記載され、供給不足解消のための増産が事業の流れにあると読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    高級酒の人気と受注問い合わせ増加が書かれ、高い評価を得ている点は読めるが、市場分析や競合との比較は書かれていない。

  • 課題の認識と解決4

    瓶燗工程の3段階に要した時間と洗瓶の洗い直しが課題として具体的に示され、生産能力150から225本/時間へ拡大する計画が読み取れる。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    生産能力150本/時間から225本/時間への拡大、洗瓶250から400本/時間など数値目標が示され、実績として達成も記載されている。

  • 事業を進める体制2

    作業人員を2名から0名、4名から2名に削減したことは書かれるが、事業を遂行する人材や事務処理体制についての記述は見当たらない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    供給不足が常態化し受注問い合わせが拡大しているとあり需要の裏付けはあるが、顧客ターゲットや選ばれる理由の整理は薄い。

  • 事業化までの道筋3

    パストライザー・洗瓶機の導入と複数条件での評価を経て最適設定を決めた流れは書かれるが、中長期の検証や具体的なスケジュールは書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性40%
  • 新しさ・高付加価値2

    清酒は一般的な分野で、高級酒の評価が高いとは書かれるが、同分野で高水準の高付加価値化を図る記述は限定的である。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    地元素材の活用や地元農業者との連携による新製品開発が述べられ、地域への波及がうかがえるが、雇用創出などの数値は示されていない。

  • 費用対効果4

    瓶燗工程の時間が半分に短縮され、作業人員が4名から2名、洗瓶で2名から0名に削減された具体的数値が書かれ、費用対効果の一端が読める。

  • イノベーションへの貢献2

    パストライザーや洗瓶機の導入で自動化が進んだとあるが、デジタル技術や新ビジネスモデルは示されていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    勝浦の地酒として地元素材を活用し、地元農業者と梅酒や夏みかん酒を開発する点は地域特性を活かす取組として読み取れる。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

年々減少する国内清酒市場で安定した事業を続けるため、高い精米技術を生かした高品質な清酒造りや、地元素材を活用したオリジナル製品の開発で差別化を図る。地元農業者との連携で梅酒や夏みかん酒などの新製品に力を入れ、海外市場での需要獲得も進める。各種イベントや展示会にも積極的に参加し、清酒のおいしさを広く伝えていく。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。