ものづくり補助金平成25年度建設業福井県

地元火力発電所産出の再生資源を活用した高性能生コンクリートの生産体制の確立

この事例のポイント

  • フライアッシュを配合すると生コン内の空気量が不足し、そのままでは性能が保てない。
  • フライアッシュ専用のサイロや計量器など一連の設備を導入し、原料の配合から自社で行う体制を整えた。
  • 火力発電所の副産物を再生活用し、地元調達により輸送コストを抑え、CO2も削減できた。

事業者のプロフィール

所在地福井県 敦賀市
業種総合工事業
技術分野複合・新機能材料
従業員数360人
資本金1.5億円
設立1952年

事業の背景

同社は橋梁などコンクリート構造物の設計施工を手掛け、専門のプレストレスト・コンクリート技術を生かして全国で工事を行っている。現在のインフラ整備では耐久性、低コスト、低環境負荷が求められ、材料から見直す必要があった。コンクリートにフライアッシュを配合すると耐久性が高まることは以前からわかっていたが、地元の北陸電力敦賀発電所からJIS規格に適合するフライアッシュの安定供給が可能になった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力フライアッシュを配合すると生コン内の空気量が不足し、そのままでは性能が保てない。
  • 新製品・新技術フライアッシュを使った高性能生コンクリートの製造体制が整っていなかった。
  • コスト・採算橋梁をはじめとする道路インフラの老朽化対策が社会的課題となっている。

やったこと

フライアッシュ専用のサイロや計量器など一連の設備を導入し、原料の配合から自社で行う体制を整えた。生コンクリート中の空気量を調整する混和剤を変更し、材料の配合割合を変えるなど試作を重ね、独自のノウハウを編み出した。その成果を活用し、フライアッシュを使った生コンを用いた橋梁部材を製品化した。

新しい製品・サービス:フライアッシュを配合した高性能生コンクリートおよびこれを用いた橋梁部材

事業の効果

火力発電所の副産物を再生活用し、地元調達により輸送コストを抑え、CO2も削減できた。原料が副産物のため価格も安く、コスト減はわずかだが、資源再生とCO2削減という社会的メリットが大きい。福井県がフライアッシュ生コンの活用推進を打ち出したことを背景に、この生コンを使った橋梁部材が製品化され、すでに工事現場で活用されている。フライアッシュを使った長寿命製品は安全性を高めライフサイクルコストを抑えられ、市場の拡大が見込まれる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    過去の取組として1953年のPC道路橋や1万件超のPC橋梁の実績が書かれ、橋梁事業との一貫性はうかがえる。経営戦略上の位置付けは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    道路インフラの老朽化対策や長寿命化ニーズ、北陸の大型公共工事の増加を外部環境として示し、PC技術という自社の強みと結びつけている。

  • 課題の認識と解決4

    橋梁の維持補修と長寿命化という課題を認識し、フライアッシュ生コンと橋梁部材の製品化で対応する具体的な計画が書かれている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    高付加価値化や賃上げの目標値は書かれていない。ライフサイクルコストの抑制が見込まれるという定性的な記述にとどまる。

  • 事業を進める体制3

    専門のPC技術と全国の施工実績、試作を重ねた独自ノウハウが書かれ、遂行できる体制はうかがえる。人員や事務体制の具体性は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    長寿命・低環境負荷・低コストという製品の価値と、道路インフラ老朽化のニーズは書かれている。顧客ターゲットの整理は薄い。

  • 事業化までの道筋2

    試作と配合検証を進めたことは書かれているが、中長期の遂行スケジュールや課題解決の方法は具体的に示されていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    フライアッシュ配合の高性能生コンは一般的な製品ではないとうかがえるが、普及度や高価格化の数字は示されていない。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用4

    火力発電所の副産物の再利用やCO2削減、福井県の活用推進方針に沿う点が書かれ、地域資源活用という公的な意義が読み取れる。

  • 費用対効果2

    コスト減はわずかだと明記されており、補助金の投入額に対する付加価値増や費用対効果の数字は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    地元産業の副産物を使う地域循環の取組は読み取れるが、先端的なデジタル技術やサプライチェーンへの波及の記述は薄い。

政策面70%
  • 成長分野への進出3

    長寿命化やインフラ維持補修という成長分野への対応と、環境負荷低減の方向性が書かれている。構造転換への言及は明示されていない。

  • 地域経済への波及4

    北陸の地元火力発電所の副産物を活用し、福井県の推進方針と県内の大型工事需要に応える地域密着の事業として具体的に書かれている。

今後の展望

橋梁をはじめとする道路インフラの老朽化対策が社会的課題となっており、フライアッシュを使用した長寿命製品は市場での拡大が見込まれる。県内では高速道路リニューアルや北陸新幹線などの大型公共工事が今後も続き、フライアッシュ生コンの使用増加が見込まれる。

事業者の声

人への投資」を通して社会に貢献したいと考えています。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。