ものづくり補助金平成25年度製造業静岡県

特殊振動板用抄紙機の自社設計開発・導入による品質・生産性向上

プラス産業株式会社

成果抄紙サイクルタイムは従来と比較して約25%の短縮に成功

この事例のポイント

  • 従来の抄紙サイクルでは時間がかかり、生産性の向上が課題となっていた。
  • 自社設計による特殊振動板用抄紙機を導入した。
  • 抄紙サイクルタイムは従来と比較して約25%の短縮に成功。抄紙サイクルタイムは従来と比較して約25%短縮し、製造品質も維持できた。

事業者のプロフィール

事業者名プラス産業株式会社
所在地静岡県 静岡市
業種電子部品・デバイス・電子回路製造業
技術分野材料製造プロセス,精密加工,製造環境
資本金1億円
設立1975年

事業の背景

静岡県のプラス産業株式会社は、昭和50年の創業以来、安倍川の伏流水を用いて振動板を製造してきた。振動板メーカーは国内で僅か2社にまで減少している。振動板市場は十数年で大きく変化し、中国を中心としたアジア諸国が低コストの製品を供給するようになり、国内メーカーも国外拠点との競合を迫られている。一方で、ハイエンド向けスピーカーでは日本産の丁寧な作りが有利に働いている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力従来の抄紙サイクルでは時間がかかり、生産性の向上が課題となっていた。
  • 品質・精度サイクルタイムを短縮すると製品品質が維持できなくなるおそれがあり、生産性向上と製品性能の両立が課題だった。
  • 生産能力従来のバキューム式の画一的な吸引では目詰まりが起きやすく、抄紙スピードを制御しにくかった。

やったこと

自社設計による特殊振動板用抄紙機を導入した。抄紙時の吸引水圧を可変制御できるよう、強制吸引用インジェクターを組み込んだ。初期層では丁寧な吸引を行い、その後吸引水圧を上げることで、抄紙サイクルタイムを短縮しつつ高品質な製品を製造できるようにした。抄紙機の導入により大型振動板の抄紙が可能となり、併設した油圧プレス機構によって複雑な立体造形も実現した。

加工機特殊振動板用抄紙機(自社設計)
その他強制吸引用インジェクター
加工機油圧プレス機構

新しい製品・サービス:CNF(セルロースナノファイバー)を使用した振動板

事業の効果

  • 抄紙サイクルタイムは従来と比較して約25%の短縮に成功

抄紙サイクルタイムは従来と比較して約25%短縮し、製造品質も維持できた。大型振動板の抄紙が可能になり、製造受注の範囲が広がった。油圧プレス機構により複雑な立体造形も可能になった。CNF製振動板が生産可能になれば、従来製品から音質はおよそ90%向上すると言われており、軽量化や小型化も期待されている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業から蓄積された知識・技術に基づく自社設計の設備導入とあり、過去の取組との一貫性はうかがえるが、経営戦略上の位置付けは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    安倍川の良質な軟水や日本産の丁寧な作りが市場で有利に働くとあり、強みは読み取れるが、競争優位の根拠が定量的ではない。

  • 課題の認識と解決4

    課題は生産性向上と製品性能の両立と明記され、抄紙時の吸引水圧が問題だったと原因まで示されている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    抄紙サイクルタイムを従来比約25%短縮に成功し、製造品質も維持できたと数字で示されている。

  • 事業を進める体制2

    自社設計の設備導入が挑戦だったとあるが、人材や事務処理体制についての記述は見当たらない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    ハイエンド・オーディオ向けスピーカー用の大型振動板という顧客像と、日本産の品質が選ばれる理由が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    吸引水圧を初期は丁寧に、その後上げる方法で課題解決したとの手順は書かれているが、スケジュールは示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    大型振動板の抄紙と複雑な立体造形を実現し、ハイエンド市場向けの高付加価値化を図る内容が読み取れる。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    国内の振動板メーカーが2社まで減ったことは触れられているが、波及効果や雇用創出など国が補助する理由は書かれていない。

  • 費用対効果3

    CNF振動板で音質約90%向上や軽量化が期待されると書かれているが、補助金投入額に対する費用対効果は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    大手音響メーカーとCNF振動板を共同開発中とあり、新素材の活用は読み取れるが、サプライチェーンへの貢献範囲は具体的でない。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    振動板メーカーとして原点回帰する方向はうかがえるが、成長分野への進出や構造転換との関係は明確に書かれていない。

  • 地域経済への波及3

    安倍川の軟水を活かした地域立地が製品品質につながっていると読み取れるが、地域の雇用や成長への言及は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

CNF製振動板を大手音響メーカーと共同で開発しており、紙の漉き方を工夫して音質の向上を目指している。

事業者の声

今後は紙の漉き方を工夫して、音質の向上を目指したい

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。