ものづくり補助金平成25年度製造業京都府

今まで困難と言われた医療機械・産業機械部品の復元供給事業の本格的参入

株式会社TI F

成果売上 100指数(平成25年=100)→120指数(平成25年=100)

この事例のポイント

  • 大手メーカーの海外移転や海外メーカーの価格攻勢により、大型部品加工の先行きが不透明で受注が維持できるとは考えにくい。
  • 高精度の3Dスキャナーとプリンターを導入し、部品の立体形状から精度の高い形状予測を行い図面制作の前工程時間を大幅に短縮できるようにした。
  • 売上 100指数(平成25年=100)→120指数(平成25年=100)。高精度の3Dスキャナーとプリンターの導入により、大型部品の復元事業を本格的に市場化できた。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社TI F
所在地京都府 八幡市
業種金属製品製造業
技術分野精密加工
従業員数7人
資本金800万円
設立2009年

事業の背景

当社は大型部品加工で取引先から高い評価を得ており、異業種を含め取引先が多く受注は安定していた。主な取引先は医療業種、重量架設業種、官公庁で、取引先は100社以上となっている。一方で、1980年以降に産業機械メーカーの技術秘匿性が高まり部品形状も複雑化しており、産業機械部品の復元を行う競合は少なかった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 集客・繁閑大手メーカーの海外移転や海外メーカーの価格攻勢により、大型部品加工の先行きが不透明で受注が維持できるとは考えにくい。
  • 新製品・新技術受注の先行きに備えて、新しい事業の柱を構築する必要がある。
  • 生産能力試作は素材を削り出すなどして何度も手数がかかり、発注者への確認にも時間がかかっていた。
  • 生産能力部品復元の図面制作は職人の経験と知識による修正に頼っており、前工程に時間がかかっていた。

やったこと

高精度の3Dスキャナーとプリンターを導入し、部品の立体形状から精度の高い形状予測を行い図面制作の前工程時間を大幅に短縮できるようにした。3Dスキャナーは20万円程度から1億円超まで価格差があるなか、当社は廉価モデルを導入し、高級モデル並みの精度を出せることを試作機で実証した。試作は鉄等の素材を正確かつ早く、安価に作り発注者に提供できるようにした。既存の大型加工機械は自動重心位置制御機能や付加軸機能の制御をカスタマイズし、導入設備との相乗効果を高めた。

検査測定3Dスキャナー
その他3Dプリンター

新しい製品・サービス:3Dスキャナー・3Dプリンターを活用した医療機械・産業機械部品の復元供給事業

事業の効果

  • 売上 100指数(平成25年=100)→120指数(平成25年=100)
  • 従業員数 5人→7人

高精度の3Dスキャナーとプリンターの導入により、大型部品の復元事業を本格的に市場化できた。復元部品事業では大型案件が成約し、小型案件も引合いから成約に至るケースが多数あった。設備導入の相乗効果により売上全体が底上げされ、平成25年を100とすると平成27年は120に伸びた。既存取引先からの信頼度と受注案件が向上し、新規取引先からの問い合わせも増えて経営力の強化が進んだ。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    既存の大型精密加工と職人の技術を活かし復元供給事業へ展開する流れは読み取れるが、経営戦略上の位置付けの明確さは示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    大型部品加工で取引先の高評価、廃番部品の復元で競合が少ないとの記述があり強みはうかがえるが、市場規模の数値は示されていない。

  • 課題の認識と解決4

    海外移転や価格攻勢による受注減の課題を認識し、3Dスキャナー導入で前工程時間を大幅短縮する具体的な解決策が書かれている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    平成25年を100とすると平成27年は120と売上の数値目標・実績が示されている。ただし付加価値額や賃上げの目標は読み取れない。

  • 事業を進める体制4

    平成26年・27年に各1人採用し7人体制とし、職人の経験継承や熟練工の研鑽を計画している。事務処理能力への言及は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    廃番部品や図面のない部品の復元ニーズと、精度・納期・価格面での優位性は書かれているが、顧客ターゲットの明確化は薄い。

  • 事業化までの道筋3

    模倣品問題への対策としてマニュアル作成や有識者への相談を進めると書かれ、課題解決の方法は示されているが、スケジュールは不明確。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    3Dスキャナーと大型加工を組み合わせた部品復元は競合が少ないと書かれ、他社が手がけにくい高付加価値分野を狙う点が読み取れる。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    医療機械や原子力部品の復元供給は社会的意義がうかがえるが、経済波及や雇用創出への国の関与の根拠は具体的に書かれていない。

  • 費用対効果3

    売上全体の底上げや小型案件の成約増加が書かれているが、補助金額に対する費用対効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    3Dスキャナーとプリンターを活用した復元の取組みは示されるが、サプライチェーン全体への貢献は具体的に書かれていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    ものづくり分野の新事業への進出が書かれるが、日本経済の構造転換に資するという記述はわずかにうかがえる程度。

  • 地域経済への波及2

    京都府八幡市の企業であることは書かれるが、地域特性を活かした雇用創出や地域成長への言及は乏しい。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

3Dスキャナー・プリンターによる模倣品の懸念など新たな課題への対応方法を模索中であり、当面は信用のある取引先を中心に復元部品の受注を行っていく。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。