ものづくり補助金平成25年度製造業大阪府

画像測定器導入による肉薄素材裁断用スリッターナイフの検査体制強化

奥河刃物工業株式会社

この事例のポイント

  • 超硬合金製スリッターナイフは硬い一方で靱性が低く、接触式の測定器具の当たり方によっては刃先にキズや欠けが生じるリスクがあった。
  • 中小企業庁の「ものづくり補助金」を活用し、(株)キーエンスの非接触式画像測定機を導入して寸法検査の手法を刷新した。
  • 非接触の寸法検査により、検査時の刃先のキズを抑えて不良発生の原因を排除し、顧客が安心して発注できる体制になった。

事業者のプロフィール

事業者名奥河刃物工業株式会社
所在地大阪府 大阪市中央区
業種金属製品製造業
技術分野精密加工
従業員数20人
資本金1,000万円
設立1908年

事業の背景

明治41年創業の刃物メーカーで、超硬合金製スリッターナイフの製造と再研磨が主力である。紙や布、汎用フィルムの裁断用途の需要は減少しつつあり、スマートフォンのフィルムや電極材料、基板などの高機能材料の裁断に特化してきた。ユーザーからは刃先加工に高度な技術が求められ、同業他社では困難な精度の発注が寄せられるようになっていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度超硬合金製スリッターナイフは硬い一方で靱性が低く、接触式の測定器具の当たり方によっては刃先にキズや欠けが生じるリスクがあった。
  • 人手・技能マイクロメーターやノギスによる接触式の寸法検査は、慎重に計測するため時間と手間がかかり、作業者によってバラツキもあった。
  • 品質・精度加工後の品質検査の高度化が求められており、寸法形状公差は±0.1〜±0.05mmといった高い精度への対応が必要になっていた。

やったこと

中小企業庁の「ものづくり補助金」を活用し、(株)キーエンスの非接触式画像測定機を導入して寸法検査の手法を刷新した。これまで接触式で行っていた寸法検査を非接触にすることで、検査時の刃先のキズや欠けを抑制し、不良発生の原因を排除した。平成23年に導入した表面検査用マイクロスコープと合わせ、表面検査と寸法検査の両方の高度化を実現した。

検査測定非接触式画像測定機(キーエンス製)

事業の効果

非接触の寸法検査により、検査時の刃先のキズを抑えて不良発生の原因を排除し、顧客が安心して発注できる体制になった。既存顧客からもデータを取ってもらえたと評価され、データの有無が顧客の安心感につながっている。製造現場では接触計測に費やしていた時間的な余裕が生まれ、加工に集中できるようになった。製造技術の裏付けとして品質における競争力も高まり、新規受注の拡大につながっている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性87%
  • これまでの取組との一貫性4

    明治41年の創業から紙や布の裁断用途を経て、高機能材料の裁断に特化してきた経緯が具体的に書かれ、事業の一貫性がうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性5

    一周すべての刃先厚みを16〜23μm以内に収め、寸法公差も±0.1〜±0.05mmとする強みが数値で示され、同業他社との差が明確。

  • 課題の認識と解決4

    接触式計測によるキズや時間・バラツキという課題を挙げ、非接触式画像測定機で解消する対応が具体的に書かれている。

事業の実現可能性44%
  • 付加価値・賃上げの目標1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 事業を進める体制3

    従業員20名で社長が品質管理や検査体制の充実を進めたと書かれているが、人材や事務処理体制の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    高機能フィルムや電極材料向けの高精度ナイフという顧客層と、既存顧客から検査データを評価された事実が書かれ、選ばれる理由が見える。

  • 事業化までの道筋2

    今後の方針として他分野への進出が挙げられているが、スケジュールや課題の解決方法は具体的に書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    同業他社では困難な高精度スリッターナイフを手がけ、高機能分野に特化して高付加価値化を図る姿勢が具体的に読み取れる。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    軽薄短小化を支えるという国内産業への役割は書かれているが、雇用や波及効果の数値は示されていない。

  • 費用対効果2

    設備投資に迷いはないという記述はあるが、補助金額に対する付加価値増加などの費用対効果は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    非接触検査でデータを取得し顧客の安心感につなげる点はあるが、サプライチェーン全体のイノベーションへの言及は薄い。

政策面50%
  • 成長分野への進出3

    汎用フィルムの需要減少を踏まえ高機能分野へ構造を移す方向性と、刃物以外の分野への進出が書かれている。

  • 地域経済への波及2

    大阪市中央区の所在地は示されているが、地域の特性を活かした付加価値や雇用創出の記述は見当たらない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

高機能分野に特化し、「切れるだけの刃物から『正確に切れる刃物』『美しく切れる刃物』へ」と、プラスアルファを持つ刃物を目指して受注拡大を図る方針である。刃物に限定せず、刃物で培った技術を生かした他分野への進出を検討し、挑戦分野の間口を広げようとしている。

事業者の声

そのうち1つでもナイフにエラーがあれば顧客の生産性が悪化する

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。