ものづくり補助金平成25年度製造業秋田県

自動車向けネジ・ボルトの亜鉛-鉄合金めっきバレル工程の確立

太平化成工業株式会社

成果1,500時間の塩水噴霧試験でも錆等の発生はなく、高い耐食性が確認できた。

この事例のポイント

  • 富士重工向けの高耐食性が要求されるバンパー用ネジは、通常の亜鉛めっきでは耐食性を確保できない。
  • 富士重工向けバンパーのネジを対象に、日本表面化学株式会社の「ストロンジンク 亜鉛-鉄合金めっきプロセス」のめっき液を使い、ネジに適しためっき方法を確立した。
  • 1,500時間の塩水噴霧試験でも錆等の発生はなく、高い耐食性が確認できた。耐食性が高く表面の見栄えがよいネジのめっきが実現し、客先要求事項を満足するめっき加工が可能となった。

事業者のプロフィール

事業者名太平化成工業株式会社
所在地秋田県 秋田市
業種金属製品製造業
技術分野表面処理
従業員数85人
資本金2,500万円
設立1947年

事業の背景

自動車の下回りのネジやボルトは従来亜鉛めっきを使用していたが、融雪剤や水・泥を受ける条件下では腐食が発生しやすかった。亜鉛・ニッケル・鉄・スズなどの合金めっきは代替品として開発されたものの、コストが高く外観も亜鉛めっきに劣るため普及していなかった。近年は耐食性・コスト・密着性・外観に優れる亜鉛-鉄合金めっきが自動車業界で使用を広げている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術富士重工向けの高耐食性が要求されるバンパー用ネジは、通常の亜鉛めっきでは耐食性を確保できない。
  • 新製品・新技術亜鉛-鉄合金めっきは耐食性や外観に優れるが、バレル工程の確立が自社にはなかった。
  • 生産能力微小な鉄イオンを正確に測定するための分析の精度を確保する必要があった。
  • 品質・精度三価クロムを主成分とする黒クロメート処理液を自動で管理する方法が確立していなかった。

やったこと

富士重工向けバンパーのネジを対象に、日本表面化学株式会社の「ストロンジンク 亜鉛-鉄合金めっきプロセス」のめっき液を使い、ネジに適しためっき方法を確立した。亜鉛溶解槽、ろ過機、自動加熱冷却システムを付帯した亜鉛-鉄合金めっきラインを設置し、前処理からめっきまでの一貫ラインを構成した。バレル搬送装置や後処理用の付帯設備も加えた。原子吸光分光分析装置を導入し、めっき中の亜鉛分・鉄分の濃度管理と鉄分の共析率測定を行いラインを稼働させた。三価クロムクロメート液管理装置を導入し、PH調整と薬液補充を自動化した。

検査測定原子吸光分光分析装置
その他三価クロムクロメート液管理装置
加工機亜鉛-鉄合金めっきライン(亜鉛溶解槽、ろ過機、自動加熱冷却システム、バレル搬送装置を含む)

新しい製品・サービス:亜鉛-鉄合金めっきによる高耐食性のネジ・ボルトめっき(黒クロメート処理層を含む)

事業の効果

  • 1,500時間の塩水噴霧試験でも錆等の発生はなく、高い耐食性が確認できた。

耐食性が高く表面の見栄えがよいネジのめっきが実現し、客先要求事項を満足するめっき加工が可能となった。黒クロメート処理液の薬液消費量を自動測定し、不足分を自動補充できるようになった。亜鉛-鉄合金めっきの一貫ラインが完成し、自動車部品向けの受注拡大に向けた営業活動の基盤ができた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    30年前から小物部品の亜鉛バレルめっきを行い技術蓄積があると書かれ、過去の取組との連続性はうかがえるが、経営戦略上の位置付けの記述は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    富士重工向けバンパーねじの耐食性要求や自動車業界での亜鉛-鉄合金めっきの拡大に触れる一方、競争優位の定量的な根拠は示されていない。

  • 課題の認識と解決3

    通常亜鉛めっきで耐食性が不足する課題を認識し合金めっき工程を確立すると書かれるが、付加価値額や売上の増加見込みの数値はない。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    高付加価値の創出や賃上げを実現する目標値は書かれていない。1,500時間の塩水噴霧試験の結果のみ。

  • 事業を進める体制3

    従業員数85人、一貫生産体制、原子吸光分析装置の活用など体制はうかがえるが、人材や事務処理体制の具体的記述は少ない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    耐食性が高く見栄えが良いネジめっきを実現し、客先要求事項を満足できると書かれ、ターゲットと選ばれる理由が読み取れる。

  • 事業化までの道筋3

    試作を繰り返し条件を模索すること、需要調査と営業活動を行うことは書かれるが、スケジュールの具体的記述はない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    亜鉛-鉄合金めっきは普及が限られる新しい分野で、耐食性・外観で高水準の製品を目指すと書かれている。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    自動車業界での使用拡大に触れるが、雇用創出や波及効果など国が補助する積極的理由の記述は少ない。

  • 費用対効果2

    補助金投入額に対する付加価値増加や生産性向上の数値は書かれておらず、費用対効果はうかがえるに留まる。

  • イノベーションへの貢献3

    原子吸光分光分析装置による自動的な濃度管理と自動補充の仕組みが書かれ、工程の高度化は読み取れるが、地域やサプライチェーンへの貢献は薄い。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    自動車業界の耐食性ニーズ拡大に触れるが、日本経済の構造転換に資する旨の記述はわずかにうかがえる程度。

  • 地域経済への波及2

    秋田市の企業であることが分かるが、地域の特性を活かした付加価値や雇用創出の記述はわずかにうかがえる程度。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

ネジ部品の取引先数社に需要調査と新めっきの特徴をアピールし、現行納入メーカーのみならず他の自動車メーカーからの受注獲得を目指す。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。