ものづくり補助金平成25年度製造業広島県

藻塩製造装置の省エネルギー化・生産性向上による競争力強化

蒲刈物産株式会社

成果濃縮率 8%→10.6%

この事例のポイント

  • 第2工程の減圧蒸発機による濃縮(塩分濃度8%から23%まで)で大量のエネルギー(重油・電力)を使い、コスト高の原因となっていた。
  • 逆浸透膜3号機を導入し、既存の1号機・2号機と合わせて3機体制とした。
  • 濃縮率 8%→10.6%。試運転2か月の結果、濃縮率は2.6ポイント向上し、目標の3.0ポイントにはまだ届いていない。

事業者のプロフィール

事業者名蒲刈物産株式会社
所在地広島県 広島県呉市
業種食料品製造業
技術分野材料製造プロセス
従業員数14人
資本金4,000万円
設立1998年

事業の背景

当社は古墳時代からの製塩法「藻塩焼き」を引き継いだ藻塩を製造販売している。ホンダワラなどの海草を使い、辛さがとがらず口当たりがまろやかなことが特徴である。「瀬戸内ブランド」として知られるようになってきている。年商は2.4億円である。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算第2工程の減圧蒸発機による濃縮(塩分濃度8%から23%まで)で大量のエネルギー(重油・電力)を使い、コスト高の原因となっていた。
  • 生産能力減圧蒸発機の工程に時間がかかり、生産量を増やしにくかった。

やったこと

逆浸透膜3号機を導入し、既存の1号機・2号機と合わせて3機体制とした。従来より加圧圧力が上がるため、フィルター用容器と配管に破損防止の対策を施し、海水貯水用タンクを新設した。冬季の海水温の低下に備え、減圧蒸発機から排出される約47℃の温水を活用する熱交換器を製作し、2号機と3号機の間に設置した。1号機で事前検討したうえで3号機でテストを繰り返し、水温23〜25℃(藻の繁殖を考慮し25℃以下)、圧力上限8.9MPa、装置停止時は1回/日の逆洗浄、加圧ポンプの潤滑油の定期監視・交換とベルトの張り具合の監視・交換を最適運転条件として定めた。

その他逆浸透膜3号機
その他熱交換器
その他海水貯水用タンク
その他フィルター用容器・配管の破損防止対策品

事業の効果

  • 濃縮率 8%→10.6%
  • 重油燃費効率 3.41kg/L→4kg/L
  • 電力生産効率 280.7kg/日→321.7kg/日
  • 減圧蒸発機の稼働日数 28日→23日

試運転2か月の結果、濃縮率は2.6ポイント向上し、目標の3.0ポイントにはまだ届いていない。重油燃費効率は17.3%向上して重油使用量が減り、電力生産効率は14.6%向上して減圧蒸発機の稼働時間が減った。生産性は17.9%向上し、減圧蒸発機の稼働日数が短縮した。今後の運転の習熟で初期の目標は達成の見込みである。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    古墳時代からの藻塩製法を引き継ぐ事業で、製造プロセスの改善が事業の延長線上にあると読めるが、経営戦略上の位置付けの記述は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    「瀬戸内ブランド」など地域ブランドや藻塩の口当たりの強みが書かれるが、市場動向と比べた競争優位の説明は限定的。

  • 課題の認識と解決4

    減圧蒸発機のエネルギー負荷が課題と明示され、逆浸透膜3号機導入で濃縮率や燃費を改善する具体策が示されている。

事業の実現可能性68%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    濃縮率や重油燃費、電力生産効率、生産性の目標値と開発結果が数値で示され、生産性は+17.9%(目標+21.4%)と実績も記載されている。

  • 事業を進める体制3

    協力体制として東洋紡エンジニアリング、広島大学、産業振興センターが挙げられ役割も示されるが、社内の人材や事務処理体制の記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    ミネラルを約100種類含む点や海外・国内販路の重点先が示され、顧客ターゲットと選ばれる理由が比較的整理されている。

  • 事業化までの道筋4

    試運転2か月の結果と今後の運転習熟で目標達成見込みと述べ、運転条件や保守の監視項目も具体的に示されている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    藻塩は古墳時代からの製法とされ一般的な普及度は低そうだが、高付加価値化・高価格化を図る記述は明示されていない。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    地域ブランドや六次産業化への参画は触れられるが、波及効果や雇用創出など国が補助する積極的理由は明示されていない。

  • 費用対効果4

    重油燃費や電力効率、生産性の改善率が数値で示され、費用対効果を読み取りやすい記述になっている。

  • イノベーションへの貢献2

    逆浸透膜や熱交換器の導入は示されるが、先端デジタル技術やサプライチェーンへの貢献は記述されていない。

政策面50%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及4

    瀬戸内ブランドや呉の製塩工場を基点に地域の特性を活かす事業であることが具体的に書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後は毎年5%の売上増加を目指し、三つの重点施策を進める。一つ目は「クールジャパン」「6次産業化」「瀬戸内ブランド」などの取組に参画してブランド力を高め、販売促進を図る。二つ目は東南アジアなど海外での販路開拓で、海外向けホームページの整備や海外展示会の活用を行う。三つ目は営業が十分でなかった九州・四国地方を重点営業先として、展示会出展などにより国内の新規販路を広げる。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。