ものづくり補助金平成25年度製造業愛媛県

刺繍製品についての多頭テーブルドロップ機導入による中国輸入体質からの脱却

有限会社矢野意匠紋工所

成果製品製作数 1個/度→15個/度

この事例のポイント

  • 中小ロットや小ロットの注文が多く、手間がかかる一方で価格面で中国製品と折り合いがつかない。
  • 多頭テーブルドロップ機を導入した。
  • 製品製作数 1個/度→15個/度。多頭機の導入により受注対応の時間が削減され、オート機能によって機械操作に携わっていた人員を新商品・新デザイン開発に配置…

事業者のプロフィール

事業者名有限会社矢野意匠紋工所
所在地愛媛県 今治市
業種繊維工業
技術分野立体造形
従業員数7人
資本金300万円
設立1974年

事業の背景

当社は昭和36年創業以来、今治伝統の刺繍商品を提供してきた。タオル刺繍、シャツ刺繍、帽子等の刺繍を主力とし、特殊刺繍や中小ロットにも対応できる愛媛県内では少ない企業である。Tシャツやドレスシャツの刺繍は加工賃の安い中国に依存する状況にあり、当社への注文は中ロット(100〜1,000枚)や小ロット(100枚未満)が圧倒的に多かった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 集客・繁閑中小ロットや小ロットの注文が多く、手間がかかる一方で価格面で中国製品と折り合いがつかない。
  • コスト・採算既存設備では生産規模が小さく手間もかかるため、価格を上げざるを得ず取引先の価格ニーズに応えられない。
  • 生産能力既存の人員と設備では顧客ニーズへの対応が難しくなっている。
  • 品質・精度中国製品は品質が発注者側の基準に合わないことが多く、良質で適正価格の国内製品を求める声が広がっている。

やったこと

多頭テーブルドロップ機を導入した。既存機械では作業員が操作しないとシャツの袖を通す箇所を重複して縫製してしまうことがあり、時間と手間がかかっていたが、新設備では1度に15個の製品製作が可能になった。新設備は機械作動中に次の作業を設定でき、アイコンのショートカット登録で複雑な作業も簡単に実現できる。刺繍方法を円状刺繍からスライド刺繍に変えたことで刺繍時間が約3割削減でき、新型ヘッド仕様により糸替えが容易になり、糸切れも精密に行われ、時間と商品チェックの時間も削減できた。

加工機多頭テーブルドロップ機

新しい製品・サービス:帽子(キャップ)のエンブレム。新刺繍技術と刺繍3D化により、従来機械では困難だった帽子の曲線部分への刺繍を可能にした。

事業の効果

  • 製品製作数 1個/度→15個/度
  • 刺繍方法の変更により刺繍時間が約3割削減
  • 全体では約30%のコスト削減
  • 従来の中国製品より30%〜40%のコスト削減が可能

多頭機の導入により受注対応の時間が削減され、オート機能によって機械操作に携わっていた人員を新商品・新デザイン開発に配置できるようになった。作業員の商品セット時間やアイコン設定時間が削減され、全体では約30%のコスト削減となった。中国製品より30%〜40%低価格で、高品質な国内製品の提供も可能になった。さらに販路も広がり、利益率や事業効率の向上、投下人員の削減が図られている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    中国依存からの脱却と国産化が今後の方向として示されるが、既存事業との一貫した位置づけ(経営戦略上の明文化)は具体的に読み取れません。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    中国製品より30〜40%低コストで高品質な国内製品を提供可能と示され、中ロット対応の強みと外部ニーズの関係が具体的に読み取れます。

  • 課題の認識と解決4

    既存設備の生産規模縮小・価格折り合い不足という課題を認識し、多頭機導入で対応する計画が示されている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    約30%のコスト削減や刺繍時間約3割削減が示されるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていません。

  • 事業を進める体制3

    従業員7名の企業で人材育成・設備設定経験の積み重ねに注力する方針が示されるが、体制の具体性は限定的です。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    多様な顧客ニーズや低価格・高品質の国内製品という選ばれる理由、ロット対応の強みが具体的に整理されています。

  • 事業化までの道筋2

    今後の活動予定として小ロット受注体制の強化が挙がるが、スケジュールや課題解決の方法は示されていません。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    3D刺繍帽子やスライド刺繍など特殊刺繍で商品差別化する点はうかがえるが、高価格化の水準は示されていません。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    地域の伝統的刺繍産業や地元貢献への言及はあるが、国が補助する積極的理由としての波及効果は書かれていません。

  • 費用対効果4

    設備導入で時間削減と30〜40%のコスト削減、受注対応の省力化が示され、費用対効果の方向性が具体的に読み取れます。

  • イノベーションへの貢献2

    新しい刺繍技術や刺繍3D化の活用はうかがえるが、サプライチェーン全体への貢献は書かれていません。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    今治の伝統的刺繍と地域スポーツ団体・学校の受注など地域性を活かす様子は読み取れるが、雇用創出の数字は書かれていません。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

小ロット受注対応体制の構築と強化に注力し、官公庁や地元団体から要望のある特殊刺繍の中小ロットにも対応して地域貢献を続ける。新規取引先の確保にもつなげていく方針である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。