ものづくり補助金平成25年度製造業福岡県

「オフセット輪転印刷機」による小ロット印刷の短納期・価格競争力強化計画

今心株式会社

成果製版スピード 20版/時間→40版/時間

この事例のポイント

  • 製版の掛合わせはベテラン社員の経験と感覚に頼っており、製造工程の運営を経験と感覚だけで行うことには限界があった。
  • 営業部・管理部・デザイン制作部の各責任者と協議を重ね、受注から納品までの業務フローを洗い出して再構築した。
  • 製版スピード 20版/時間→40版/時間。自動製版機と製造工程システムの導入により、製版スピードが速まり製版枚数が削減できた。

事業者のプロフィール

事業者名今心株式会社
所在地福岡県 飯塚市
業種印刷・同関連業
技術分野機械制御,情報処理
従業員数10人
資本金1,000万円
設立1962年

事業の背景

同社は福岡県飯塚市の印刷業・広告代理業で、レジャー産業向けの広告印刷に特化し、高速オフセット輪転印刷機による小ロット印刷を積極的に受注して売上を伸ばしてきた。しかしレジャー産業は年々市場が縮小しているため、他業界での売上拡大を模索していた。印刷業界全体も価格競争と短納期化が進み、厳しい環境にある。そこで、販促プロモーションの実績と製造部門の短納期化ノウハウを活かせる市場規模の大きいスーパーなどの流通業界を選んだ。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力製版の掛合わせはベテラン社員の経験と感覚に頼っており、製造工程の運営を経験と感覚だけで行うことには限界があった。
  • 人手・技能製造工程の運営が特定のベテラン社員の頭の中にあるノウハウに依存しており、業務を誰でもできる形にする必要があった。
  • 生産能力小ロット・短納期の印刷物が多く製版枚数が多いため、製版作業と輪転印刷機の待ち時間が生産の制約になっていた。
  • コスト・採算レジャー産業は市場が縮小しており、価格競争と短納期化が進む流通業界で競争に勝つには経営の効率化とコスト削減が必要だった。

やったこと

営業部・管理部・デザイン制作部の各責任者と協議を重ね、受注から納品までの業務フローを洗い出して再構築した。月間約1,300件以上の受注情報(用紙情報・数量・納期・デザインデータ製作時間)をデータベース化し、人的処理で行っていた工程管理を一元管理して、ムラ・ムダのない安定した工程が組める製造工程システムを制作した。次に自動製版機を導入して設置・動作テストを行い、開発した製造工程システムと連動させた。その結果、従来機に比べ2倍に相当する時間当たり約40版の製版が可能となった。さらに製版のソフトをコンピュータプログラムで制御し、最適な製版を自動で行う仕組みに取り組んだ。

加工機最新式製版機(自動製版機)
ソフト製造工程システム(製版システム)

事業の効果

  • 製版スピード 20版/時間→40版/時間
  • 17.89%の掛合わせ率の削減を達成した
  • 製版使用枚数では16.94%の削減を達成した

自動製版機と製造工程システムの導入により、製版スピードが速まり製版枚数が削減できた。掛合わせ率は17.89%、製版使用枚数は16.94%の削減を達成し、輪転印刷機の待ち時間が短縮されて全体の稼働率が大幅に向上した。業務が誰でもできる業務に変わったことで製造現場に余裕が生まれ、印刷のみの受注も可能になり、ホームセンターや薬局など新分野を開拓するきっかけとなった。流通業界以外の市場参入も視野に入れ5%の売上増を見込んでいる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    広告印刷に特化してきた事業と、製造部門で蓄積した短納期化のノウハウを活かして流通業界へ広げる方針が一貫して述べられている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    印刷業界の価格競争と短納期化、レジャー産業の市場縮小を踏まえ、短納期ノウハウや販促実績を強みとして流通業界を選んでいる。

  • 課題の認識と解決4

    製版工程が経験と感覚に依存する限界を課題として認識し、製版自動化と流通業界への展開で5%の売上増を見込んでいる。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    製版数が従来機の2倍(約40版/時間)、掛合わせ率17.89%、製版使用枚数16.94%削減、売上5%増と数値目標が示され達成もされている。

  • 事業を進める体制3

    営業・管理・デザインの各部署責任者が協議し、営業担当者への教育を行うと書かれているが、体制の人数や役割分担は具体的でない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    短納期化への需要やホームセンター・薬局などの新規分野開拓が書かれているが、顧客ターゲットの整理や選ばれる理由の説明は薄い。

  • 事業化までの道筋3

    製版システムの改良、受注システムとの連動検討、営業担当者の教育など今後の方向は示されているが、スケジュールや解決方法は明確でない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性40%
  • 新しさ・高付加価値2

    印刷業界は価格競争が厳しいとの記述はあるが、製版機の高付加価値化や高価格化を示す記述は見当たらない。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用2

    流通業界での新たな雇用や需要創出、波及効果への言及はわずかで、国が補助する積極的な理由は読み取りにくい。

  • 費用対効果4

    掛合わせ率17.89%、製版枚数16.94%の削減や稼働率の大幅向上など効果は数字で示されているが、投資額との比較は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献4

    コンピュータプログラムで最適な製版を自動制御し、印刷受注システムとの連動を検討するなど、デジタル技術の活用が具体的に書かれている。

政策面30%
  • 成長分野への進出2

    市場縮小の中で流通業界へ進出する点は読み取れるが、日本経済の構造転換への貢献は書かれていない。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後はさらなる効率化のため、使用している印刷受注システムとの連動を検討し操作性向上につなげる考えである。また、システムを使う営業担当者に教育を行い、システムの能力を最大限活用できる環境を整えていく。

  • 目標:流通業界以外の市場への参入も視野に入れ5%の売上増を見込んでいる

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。