ものづくり補助金平成25年度建設業鹿児島県

化学繊維を微生物担体とする「高濃度窒素除去バイオリアクター」の開発

株式会社栄電社

この事例のポイント

  • 窒素除去装置は装置コストの約70%を占める中空糸が高価で、導入が困難だった。
  • 2台の実験装置を使って実証実験を行った。
  • 化学繊維(ポリエステル)を使った窒素除去システムを開発し、装置コストの大きな部分を占める中空糸を置き換えた。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社栄電社
所在地鹿児島県 鹿児島市
業種設備工事業
技術分野バイオ,製造環境
従業員数45人
資本金2,000万円
設立1978年

事業の背景

鹿児島県は全国有数の畜産県で、家畜糞尿による悪臭や水質汚濁が問題視されている。平成13年の水質汚濁法改正で窒素排水基準が施行されたが、対象事業者には養豚業者など中小零細企業が多く、広い設置スペースが必要で導入コストの高い窒素除去装置は導入が困難だった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算窒素除去装置は装置コストの約70%を占める中空糸が高価で、導入が困難だった。
  • 販路・情報発信中空糸バイオリアクターによる窒素除去装置の事業化を進めてきたが、販路が広がらなかった。

やったこと

2台の実験装置を使って実証実験を行った。ポリエステル糸やポリエステルメッシュ布、形状を変えた複数のポリエステルメッシュ布など様々な担体で実験を重ねた。その結果、ポリエステルメッシュ布に竹炭ネットを組み合わせた担体が、多量の微生物が保持され、最も安定的で高い能力であることを実証できた。化学繊維を基とする微生物担体を開発し、同時に担体を取り付けるためのフレーム設計を行い、微生物担体ユニットとして自社提供する体制を整えた。

検査測定窒素分解実験装置

新しい製品・サービス:化学繊維(ポリエステル)を微生物担体とする高濃度窒素除去バイオリアクター

事業の効果

化学繊維(ポリエステル)を使った窒素除去システムを開発し、装置コストの大きな部分を占める中空糸を置き換えた。実験やコスト評価の結果を基に、エレメント・ユニットを自社で生産できる生産設備を完成させる計画である。コスト低減により中小零細の養豚業者なども導入しやすくなり、販路拡大が期待される。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.5 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    平成13年の水質汚濁法改正を受け窒素除去装置の事業化を進めてきたことが読み取れるが、経営戦略上の位置付けは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性2

    販路が広がらなかったことや装置コストの約70%が中空糸であったことは書かれるが、競争優位性や市場動向は記載されていない。

  • 課題の認識と解決4

    中空糸が装置コストの約70%を占めるという課題を認識し、化学繊維担体で代替してコストダウンを図る方針が具体的に読み取れる。

事業の実現可能性44%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの目標値は書かれておらず、高い付加価値創出の実現可能性は判断できない。

  • 事業を進める体制2

    鹿児島大学での検証試験や2台の実験装置による実証は書かれるが、体制や人材には言及がない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    養豚業者など中小零細企業が顧客として挙げられ、狭い設置スペースとコストの課題が示されるが、選ばれる理由は整理されていない。

  • 事業化までの道筋3

    実証実験から自社生産設備の完成へ進む段階は示されるが、スケジュールや課題解決方法の詳細は乏しい。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    家畜糞尿処理の窒素除去分野で、化学繊維担体による低コスト化を図る点は読み取れるが、普及度や高水準化の程度は書かれていない。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    家畜糞尿による悪臭や水質汚濁への対策で地域貢献を目指す点は読み取れるが、波及効果や雇用創出の数値は書かれていない。

  • 費用対効果2

    コストダウンを目指す記述はあるが、補助金投入額に対する付加価値増加や費用対効果の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    バイオガス消化液の有効利用と地域貢献が挙げられるが、デジタル技術や新ビジネスモデルへの言及はない。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    環境対策の分野での事業だが、日本経済の構造転換への寄与は直接書かれていない。

  • 地域経済への波及3

    鹿児島県の畜産という地域特性を活かした糞尿処理事業であることは読み取れるが、雇用や成長の数値は示されていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

バイオガス発電システムの成立には消化液の処理処分が確実にできることが条件であり、安価に処理するシステムの開発に向けて改良を続けている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。