ものづくり補助金平成26年度製造業青森県

電気分解法によるリサイクル炭素繊維の製造

アイカーボン株式会社

成果融資を受けて当社製年間80トンの供給能力を有する量産設備の導入の目途を得た

この事例のポイント

  • 炭素繊維の廃材は増加して問題視されているが、リサイクル技術は焼く方法や溶かす方法にそれぞれ課題があった。
  • 用途ごとに繊維長の異なる炭素繊維の試作開発を行い、繊維長の検討を進めた。
  • 融資を受けて当社製年間80トンの供給能力を有する量産設備の導入の目途を得た。試作により用途ごとの繊維長の異なる炭素繊維を製造でき、大手顧客に紹介して自動車用車載シート向けの検討など事業化の手がか…

事業者のプロフィール

事業者名アイカーボン株式会社
所在地青森県 八戸市
業種化学工業
技術分野材料製造プロセス,複合・新機能材料
従業員数10人
資本金1,200万円
設立2014年

事業の背景

炭素繊維は軽量かつ高強度で、鉄と比べると比重で1/4、比強度で10倍である。多くは炭素繊維強化プラスチック(CFRP)として使われ、成形時の端材や使用済み製品の廃材が増えて問題視されている。炭素繊維のリサイクルは焼く方法と溶かす方法に大別され、いずれもコストや環境対応の負担があった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力炭素繊維の廃材は増加して問題視されているが、リサイクル技術は焼く方法や溶かす方法にそれぞれ課題があった。
  • コスト・採算熱分解法は600℃以上で焼成するためコストがかかる。
  • コスト・採算常圧溶解法は溶剤を回収する必要があり、そのための費用がかかる。
  • 新製品・新技術炭素繊維スラリーを技術的に完成度の高い製品に仕上げ、事業化するための試作開発が必要であった。

やったこと

用途ごとに繊維長の異なる炭素繊維の試作開発を行い、繊維長の検討を進めた。試作品の分析、特性評価、物流検討、品質保証、量産設備調査を実施した。繊維が水に分散した試作品を大手製紙メーカーや化学メーカーに紹介し、自動車用車載シート向けの検討につながった。

加工機試作設備

新しい製品・サービス:電気分解法でCFRPから回収したリサイクル炭素繊維を水に分散させた炭素繊維スラリー

事業の効果

  • 融資を受けて当社製年間80トンの供給能力を有する量産設備の導入の目途を得た

試作により用途ごとの繊維長の異なる炭素繊維を製造でき、大手顧客に紹介して自動車用車載シート向けの検討など事業化の手がかりを得た。融資により年間80トンの量産設備導入の目途が立ち、平成28年度後半から販売を開始した。今後は顧客開拓や新規用途開拓、量産体制の確立に注力する。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.4 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    過去の炭素繊維リサイクル研究や量産設備導入の目途など一貫した取組は読み取れるが、経営戦略上の位置づけは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    新製法で新品より性能が良いとの評価や、大手製紙・化学メーカーへの紹介、欧米展開の構想など、強みと市場の関係が具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決3

    溶解・焼成法のコストや溶剤回収費用といった課題認識はあるが、高付加価値化の数値目標や具体的な事業計画は薄い。

事業の実現可能性64%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    月7トン生産、年80トン供給能力など数値はあるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    社長の経歴や従業員10名、八戸高専との共同研究など体制の一端は読み取れるが、事務処理能力は書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    炭素繊維スラリーの製品特性、用途別繊維長、自動車用車載シートへの検討など、顧客ターゲットとニーズの手がかりが具体的。

  • 事業化までの道筋3

    英語版ホームページや欧米顧客拡大、現地リサイクル構想など今後の方向は示されているが、スケジュールや課題解決の方法は薄い。

  • 財務と資金の調達3

    商工中金と日本政策金融公庫から融資を受け量産設備導入の目途を得たと書かれており、資金調達の見込みは読み取れる。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    炭素繊維の廃材リサイクルは普及が限定的で、新製法により新品より性能が良い点など高付加価値化の方向が具体的に書かれている。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用4

    廃材増加が問題視される中での循環リサイクル、地元八戸での若者の雇用創出が明記されており、国が補助する社会的理由が読み取れる。

  • 費用対効果2

    補助金額や付加価値額の増加、生産性向上の数値は書かれておらず、費用対効果はわずかにうかがえる程度。

  • イノベーションへの貢献4

    電気分解法による炭素繊維リサイクルと特許の国際出願など、新技術によるサプライチェーンへの貢献が具体的に書かれている。

政策面80%
  • 成長分野への進出4

    炭素繊維の廃材リサイクルという静脈産業への進出と、電気化学反応を使った新素材研究が日本の構造転換に資する内容として読み取れる。

  • 地域経済への波及4

    青森県八戸市での地元就職先創出と若者の人材流出防止が明記され、地域特性を活かした雇用創出が具体的に読み取れる。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

新規用途・顧客開拓を継続し、令和2年2月に月7トンの生産体制を整えて英語版ホームページを作り、欧米の顧客を増やしたい。アメリカやヨーロッパの廃材を現地で集めて現地でリサイクルすることも考えている。

  • 目標:令和2年2月には月に7トンの生産ができるようになる

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。