ものづくり補助金平成26年度製造業岩手県

パストライゼーションによるクラフトビールの常温での長期保存の実現

世嬉の一酒造 株式会社

成果賞味期限 4カ月→9カ月

この事例のポイント

  • 冷蔵で輸送する必要があり、クール便での輸送となって輸送コストが増大していた。
  • 熱殺菌で風味が損なわれる問題を避けるため、低温殺菌処理ができるパストライザーを導入した。
  • 賞味期限 4カ月→9カ月。パストライザーの導入により、ビールの風味を損なわずに低温殺菌でき、賞味期限が大幅に延びた。

事業者のプロフィール

事業者名世嬉の一酒造 株式会社
所在地岩手県 一関市
業種飲料・たばこ・飼料製造業
技術分野製造環境
従業員数32人
資本金8,800万円
設立1918年

事業の背景

当社は大正7年に創業した造り酒屋で、清酒とクラフトビールを醸造し、郷土料理レストランなども経営している。海外では日本製クラフトビールの人気が高まり、アメリカやシンガポール、台湾へ輸出していて、海外からの注文も増えている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算冷蔵で輸送する必要があり、クール便での輸送となって輸送コストが増大していた。
  • 品質・精度海外到着後にビールが常温で陳列され、風味が失われることがほとんどだった。
  • 生産能力海外からの受注が増えているのに供給が追いつかず、増産のためのビール発酵タンクが必要だった。
  • 人手・技能輸出増に対応するため使うりんご果汁の搾りを人手で行っており、1tのりんごを搾るのに約10時間かかっていた。

やったこと

熱殺菌で風味が損なわれる問題を避けるため、低温殺菌処理ができるパストライザーを導入した。増産に対応するため、ビールの発酵タンクを新たに増設した。輸出増に合わせて岩手県産のりんご果汁をビール原料に使うため、りんごから果汁を搾り出す大型ジューサーも導入した。大型ジューサーにより、1tのりんごを搾る時間は約10時間から約半分の時間に縮まった。

加工機パストライザー
その他ビール発酵タンク
加工機大型ジューサー

新しい製品・サービス:パストライザーで低温殺菌し、常温で長期保存できるクラフトビール

事業の効果

  • 賞味期限 4カ月→9カ月
  • りんご果汁の搾り時間 10時間→5時間

パストライザーの導入により、ビールの風味を損なわずに低温殺菌でき、賞味期限が大幅に延びた。冷蔵輸送からクール便輸送になったことで、輸送コストも大幅に削減された。発酵タンクの増設により増産体制が整い、りんご果汁の搾り時間も短くなった。これらにより、海外への輸出拡大と岩手の魅力発信につながると期待される。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    造り酒屋として大正7年に創業し、クラフトビールを8種類展開してきた実績が記載されている。ただ、ビール事業を経営戦略上どう位置付けるかは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    海外からの受注増に対し、岩手県産の素材や『岩手らしさ』を強みとして輸出を強化する方針が具体的に読み取れる。アメリカ・シンガポール・台湾への輸出実績もある。

  • 課題の認識と解決4

    冷蔵輸送で賞味期限が約4カ月と短く、輸送コストが課題だと明示されている。パストライザー導入で常温約9カ月に伸ばし、コストも削減する方針が示されている。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    賞味期限が約4カ月から約9カ月へ伸びたことや、人手で約10時間かかった搾り時間が1/2に縮小した点は示されている。ただ、付加価値額や賃上げの数値目標は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    南部杜氏や醸造技能士の知識と経験に触れている程度で、補助事業を遂行する体制や人員の確保状況は具体的に読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    地元産素材や岩手らしさを強みとし、海外での評価や受賞実績を挙げて選ばれる理由を整理している。顧客ターゲットは海外の需要として示されている。

  • 事業化までの道筋2

    導入後の事業化に向けたスケジュールや課題解決の方法は、事例には明確に書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    日本製クラフトビールの海外人気が高まっている点と、りんごや山椒を使う8種類のクラフトビールを展開している点が示されている。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    地元産素材を使い岩手を世界にアピールし、観光誘客につなげる狙いが書かれている。雇用創出や波及効果の具体的な数値は示されていない。

  • 費用対効果3

    輸送コストが冷蔵からクール便への切替で大幅に削減された点は書かれている。ただ、補助金額に対する付加価値増加の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    パストライザーによる低温殺菌で風味を保つ技術面は示されているが、デジタル技術や新ビジネスモデルへの言及は読み取れない。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    海外輸出の拡大によって日本のクラフトビール市場を広げる方向性はうかがえるが、日本経済の構造転換への言及は読み取れない。

  • 地域経済への波及4

    陸前高田産の牡蠣や岩手県産りんごなど地域素材を活かし、観光誘客につなげる地域特性の活用が具体的に書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

海外からのクラフトビールの受注は今後も増えると期待しており、イギリスとの商談も進めている。岩手らしさを強調したクラフトビールを通じて岩手を世界にアピールし、観光誘客につなげていきたいと考えている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。