ものづくり補助金平成26年度製造業新潟県

高精度な温度制御設備導入による洋食にもあう香味豊かな新しい清酒造りの確立

高の井酒造株式会社

この事例のポイント

  • 麹造りと貯蔵の工程は酒質を大きく左右するが、既存の設備では温度・湿度を十分に調整できなかった。
  • ものづくり補助金を活用し、麹造り工程の部屋ごとに温度や湿度を微調整できるパネルヒーターを導入した。
  • 麹造りの温度・湿度を部屋ごとに調整できるようになり、酒質の良い日本酒を製造できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名高の井酒造株式会社
所在地新潟県 小千谷市
業種飲料・たばこ・飼料製造業
技術分野製造環境
設立1937年

事業の背景

江戸時代後期に始まった酒蔵は、1937年の大火による焼失を機に現住所へ移転し、戦時中は味噌・醤油の製造で廃業を免れた。1955年に日本酒の製造を再開し、雪中貯蔵や回転式の蒸米機を導入するなど新しく合理的な手法を選択してきた。錦鯉を求めて世界中の人が訪れる小千谷市では、観光客の中に高価格帯でも質の良い酒を求める層がいることを感じていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力麹造りと貯蔵の工程は酒質を大きく左右するが、既存の設備では温度・湿度を十分に調整できなかった。
  • 品質・精度貯蔵熟成が進みすぎると老香と呼ばれる不快な匂いに変化することが課題だった。
  • 新製品・新技術外国人や錦鯉を購入する層に好まれる、高価格帯で洋食に合う日本酒の開発に取り組みたかったができていなかった。

やったこと

ものづくり補助金を活用し、麹造り工程の部屋ごとに温度や湿度を微調整できるパネルヒーターを導入した。これにより突き破精型の麹造りが可能となり、味の濃い洋食に合う酵母を選定した。貯蔵工程では低温で貯蔵できるサーマルタンクを導入し、ゆっくり熟成させて高品質を保つようにした。地元の農家と組んで米の産地を見える化し、小千谷市で栽培された酒米と新しい酵母を使った高級酒「伊乎乃(いおの)」をワイン輸入業者のプライベートブランドとして開発した。

その他パネルヒーター
その他サーマルタンク

新しい製品・サービス:高級酒「伊乎乃(いおの)」

事業の効果

麹造りの温度・湿度を部屋ごとに調整できるようになり、酒質の良い日本酒を製造できるようになった。サーマルタンクで自然な吟醸香とすっきりした雑味のない日本酒ができあがった。古酒にも可能性を見出し、外国人にも受け入れられる年代物の開発を目指している。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.5 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    従来は味噌・醤油や雪中貯蔵など既存の強みに基づき、高級酒開発とワイン輸入業者との連携に一貫した方向性がうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    錦鯉を購入する高価格帯の観光客層や外国人の好みを踏まえ、ワインのように産地を見える化した酒づくりで差別化している点が具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決3

    麹造りと貯蔵工程が酒質を左右するという課題認識と、サーマルタンク導入による対策は書かれているが、高付加価値化の数値目標は示されていない。

事業の実現可能性36%
  • 付加価値・賃上げの目標1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 事業を進める体制1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    錦鯉購入層の高価格帯志向、洋食に合う味わい、ワイン業者のプライベートブランドという顧客ターゲットと選ばれる理由が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋2

    パネルヒーターとサーマルタンクの導入、2日間の麹造り工程など方法は示されるが、スケジュールや課題解決の段取りは書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    突き破精型の麹造りや新しい酵母で白ワインと日本酒の中間を狙い、同分野で高価格帯の高級酒を開発した点が読み取れる。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    小千谷の地域特性や錦鯉観光、地元農家との連携から地域への波及がうかがえるが、雇用や需要創出の数値は書かれていない。

  • 費用対効果2

    補助金投入額と付加価値増加の関係は示されておらず、酒質向上の効果も定性的な記述にとどまる。

  • イノベーションへの貢献3

    地元農家と組んだ産地の見える化や温湿度制御による酒づくりが、地域やサプライチェーンの連携に触れている。

政策面50%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及4

    小千谷市産の魚沼産コシヒカリ系の酒米と地元農家を活かし、高付加価値の高級酒を生み出す地域特性の活用が具体的に書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

錦鯉や酒米をはじめ地域の特性を活かした酒造りを続け、小千谷に世界から注目が集まることを期待している。

事業者の声

ワインの輸入業者さんが外国人の好みを教えてくれたおかげで「伊乎乃」の方向性が見えました。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。