ものづくり補助金平成27年度製造業兵庫県

手造りを維持した量産体制の確立による顧客ニーズへの対応、および海外展開

銀海酒造有限会社

成果蒸米工程の時間 120分→80分

この事例のポイント

  • 純米吟醸酒などの引き合いが急増し、増加する受注に対応するため生産性の向上が必要だった。
  • 蒸米工程の旧式の和釜バーナーを、蒸気ボイラーとステンレス製の蒸し器に更新した。
  • 蒸米工程の時間 120分→80分。蒸米工程の時間が短縮され、製造工程全体のリードタイムが大幅に短くなった。

事業者のプロフィール

事業者名銀海酒造有限会社
所在地兵庫県 養父市
業種飲料・たばこ・飼料製造業
技術分野製造環境
従業員数3人
資本金3,350万円
設立1897年

事業の背景

明治30年の創業以来、当地で製法と原材料にこだわり清酒製造を続けてきた。3年前に開発した新コンセプトの純米吟醸酒が人気商品となったことをきっかけに、既存商品を含め顧客からの引き合いが急増した。一方で日本酒の消費量は、ブームと言われながらも減少傾向にある。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力純米吟醸酒などの引き合いが急増し、増加する受注に対応するため生産性の向上が必要だった。
  • 人手・技能蒸米工程は和釜バーナーの火力が一定せず人の目で常時監視が必要で、作業中断の対処により職人の心理的負担も大きかった。
  • 人手・技能蒸米工程に人手を取られ、酒の味を大きく左右する製麹作業に十分な人員を割けなかった。
  • 生産能力海外輸出への対応も求められ、手造りの良さを保ちつつ量産体制を確立する必要があった。

やったこと

蒸米工程の旧式の和釜バーナーを、蒸気ボイラーとステンレス製の蒸し器に更新した。これにより蒸米工程の時間が短縮され、製造工程全体のリードタイム短縮と生産性向上につながった。蒸気の安定により人の常時監視が不要となり、職人の負担が軽減された。その結果、職人が製麹作業に時間と手間をかけられるようになった。

  • 加工機蒸気ボイラーステンレス製蒸し器

事業の効果

  • 蒸米工程の時間 120分→80分
  • 蒸気が抜けるまでの時間 60分→30分
  • 酒粕の排出量が約10%少なくなった。
  • 抽出される酒量が約5%増加した。
  • 使用する燃料費が約8割削減された。

蒸米工程の時間が短縮され、製造工程全体のリードタイムが大幅に短くなった。蒸米の蒸し上がり状態が改善され、麹菌の発酵を促進して本格的な辛口の清酒を造れるようになった。酒粕の排出量が減り、抽出される酒量が増えた。燃料費も大きく削減された。職人の精神的・物理的負担が軽減され、製麹作業に集中して酵素力価の高い麹を作れるようになった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均2.8 / 514観点のうち13観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    課題の認識と解決蒸米工程がネックだったことを認識し、燕米時間が2時間以上から80分に短縮、酒粕排出量約10%減などの効果を示している。

伸びしろがあった観点

  • 2
    事業を進める体制従業員3人の小規模体制であることは書かれているが、補助事業を遂行する人材や事務処理体制の具体的記述は少ない。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性3

    既存の手造り伝統製法を維持しつつ、純米醸造酒の人気と輸出要請に応えるため量産体制を整える方針が書かれている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    超軟水という地域特性と手造り製法の強みに触れ、顧客引き合いの急増や海外展開を背景にしている。ただし市場データの記述は少ない。

  • 課題の認識と解決4

    蒸米工程がネックだったことを認識し、燕米時間が2時間以上から80分に短縮、酒粕排出量約10%減などの効果を示している。

事業の実現可能性2.6
  • 付加価値・賃上げの目標3

    燕米時間の短縮や抽出酒量の約5%増などの成果は示されるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員3人の小規模体制であることは書かれているが、補助事業を遂行する人材や事務処理体制の具体的記述は少ない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    人気の純米醸造酒や食中酒としての価値、地域食材との組み合わせに言及するが、顧客ターゲットの整理は薄い。

  • 事業化までの道筋2

    地域限定ブランドの構想など将来の方向性はうかがえるが、スケジュールや課題解決の方法は具体的に書かれていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性3.0
  • 新しさ・高付加価値3

    日本酒の消費は減少傾向と書かれ、手造り製法と地域食材を生かした食中酒という位置づけがあるが、高価格化の数値は示されていない。

公的補助の必要性2.5
  • 波及効果・雇用2

    地域の食文化や但馬の食材を生かす意義にわずかに触れるが、波及効果や雇用創出の具体的な記述はない。

  • 費用対効果3

    燃料費が約8割削減、リードタイムが半減など効率面の数字はあるが、補助金額に対する費用対効果は示されていない。

  • イノベーションへの貢献ー

    公開情報では判断できません。

政策面2.5
  • 成長分野への進出2

    日本酒の消費減少という市場環境に言及するが、構造転換や成長分野への進出とのつながりは明確ではない。

  • 地域経済への波及3

    養父市の超軟水や但馬の食材を生かし、地域でしか買えないブランドを育てる構想が書かれている。

今後の展望

日本酒の消費量が減少傾向にあるなか、小規模な蔵の伝統的な手造りという強みを活かし、少人数でも効率よく良い製品を作ることに専念して事業存続をめざす。

事業者の声

日本酒には、人と人の距離を縮める他のお酒にはない文化があり、感性を高め、心を豊かにする力もあると思います。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。