ものづくり補助金平成26年度製造業三重県

トラック用架台の軽量化、高品質化、低コスト化のための設備導入

株式会社三井

成果鋼材使用量 340kg→250kg

この事例のポイント

  • デッキラックの需要増に対して現状の設備では必要な強度を満たせず、供給が追いつかない。
  • デッキラックの柱部分を溶接するため、最新のロボット溶接機2機を導入し、熟練工の技術レベルでの溶接加工を可能にした。
  • 鋼材使用量 340kg→250kg。デッキラックの軽量化、高品質化、低コスト化が実現した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社三井
所在地三重県 いなべ市
業種金属製品製造業
技術分野接合・実装
従業員数9人
資本金1,000万円

事業の背景

同社はラック、パレット、台車などの物流機器の製造・販売を主力としている。近年のトラック業界は人材不足により車両が減車し、運賃の値上がりという負のサイクルで厳しい状況にある。荷姿の複雑化や荷主の品質要求により積載効率が悪化するケースが増えていた。平成27年にトラック用段積み架台「デッキラック」を開発して販売を開始した。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力デッキラックの需要増に対して現状の設備では必要な強度を満たせず、供給が追いつかない。
  • 人手・技能製作は職人の手作業のため生産数に限りがあり、強度を要するパーツは外注していた。
  • 品質・精度細い鋼材で荷重条件に耐える高精度の溶接が必要だが、溶接歪みが大きく寸法精度が良くなかった。
  • コスト・採算特寸サイズは治具を改造する必要があり製品価格が高額となって、案件数が多くても受注率が向上しなかった。

やったこと

デッキラックの柱部分を溶接するため、最新のロボット溶接機2機を導入し、熟練工の技術レベルでの溶接加工を可能にした。デジタル溶接機6機を導入して安定した条件で溶接し、溶接量を減らしても強度を確保できるようにした。6人が同時に6機を使用して溶接することで製品への熱伝導を均等にし、歪みやひねりを防ぐようにした。標準サイズからある程度の範囲(フリーサイズ)で製作できる製作治具を導入し、特寸サイズのリードタイムを短縮できるようにした。

加工機ロボット溶接機
加工機デジタル溶接機
その他製作治具

新しい製品・サービス:トラック用段積み架台「デッキラック」

事業の効果

  • 鋼材使用量 340kg→250kg
  • 製品コスト 385,000円→278,000円
  • 生産時間(溶接時間) 6.5時間→4.8時間

デッキラックの軽量化、高品質化、低コスト化が実現した。鋼材使用量と製品コストが下がり、低燃費化やユーザーへの低価格提供にもつながると期待される。溶接歪みが減って歪み矯正の工程がなくなり、製作時間の短縮と寸法精度の向上が得られた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.4 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性87%
  • これまでの取組との一貫性4

    平成27年に開発したデッキラックを主力製品の延長で販売し、販売増に伴い溶接設備を導入している点から、事業との一貫性は読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    トラック業界の積載効率向上ニーズや競合が少ない点を示し、スウェーデンスティール社の認定鋼板を使う強みも記載されている。

  • 課題の認識と解決5

    課題として溶接歪みを数値で示し、導入後は柱部0.5~1.5mm、製作時間6.5Hから4.8Hと具体的な改善効果が書かれている。

事業の実現可能性64%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    製品コストを385,000円から278,000円と約28%削減、鋼材使用量を約26%軽量化する目標と結果が数字で示されている。

  • 事業を進める体制3

    職人6人で6機を同時使用する体制は示されているが、事務処理能力や補助事業の遂行体制についての記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    トラック業界の積載効率ニーズ、ウイング車の台数の多さ、販売店募集など顧客ターゲットと選ばれる理由が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    量産体制の確立、フォークリフト販社への売り込み、展示会参加などの方向性は示されるが、スケジュールは明示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    デッキラックはトラック業界向けで競合がほぼなく、ウイング車向けに特寸対応するなど、同分野での高付加価値化が示されている。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用3

    トラック業界の人材不足や積載効率の悪化といった社会課題への対応は書かれているが、波及効果や雇用創出の数値は示されていない。

  • 費用対効果4

    短期間での償却や輸送コストの最大50%削減が示され、投入に対する費用対効果の高さが具体的に読み取れる。

  • イノベーションへの貢献3

    ロボット溶接の導入や排気ガス削減への貢献はあるが、デジタル技術の活用による業界イノベーションの記述は限定的である。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    物流機器の製造という範囲を超えた成長分野への進出や構造転換への言及はわずかにうかがえる程度である。

  • 地域経済への波及3

    いなべ市の地域特性や地域雇用への言及はなく、地域の経済成長を牽引する記述は読み取れないが、製造業としての取組は示されている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

デッキラックの量産体制の確立に力を入れ、フォークリフト販社や輸送業界へ売り込むほか、商品情報を輸送業界へ浸透させて拡販する方向で進めている。ホームページでの紹介、展示会への参加、輸送業界紙へのPR掲載などで販売店を募集している。デッキラックの販売により企業体力がつき、主力商品への設備投資も見込めるため競争力強化が期待できる。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。