ものづくり補助金平成26年度サービス業(他に分類されないもの)三重県

漉き嵌め機導入による古文書等修復技術の確立で、仕上がり品質向上を目指す

株式会社辻村表具店(旧事業所名:辻村表具店)

成果古文書修復の作業時間(1枚あたり) 12時間→分→10時間→分

この事例のポイント

  • 従来の手作業による古美術等の修復は、仕上がり品質や作業時間に課題があった。
  • 小型漉き嵌め修復機と集塵機を導入し、仕様決定、導入レイアウトの検討、試運転を行った。
  • 古文書修復の作業時間(1枚あたり) 12時間→分→10時間→分。漉き嵌め機の導入により古文書や掛け軸の修復作業時間を大幅に短縮できる目標を掲げた。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社辻村表具店(旧事業所名:辻村表具店)
所在地三重県 伊勢市
業種機械等修理業
従業員数5人
設立1900年

事業の背景

同社は明治中期創業の老舗表具店で、掛け軸、額、襖、屏風など表具一般の製作、修理、張替えを行っている。伊勢地方は神社仏閣が多く、神宮関係の古文書が10万冊以上保管されるなど修復需要がある。一方で伊勢神宮の式年遷宮(平成25年)以降、主流であった掛け軸・御神号掛け軸の仕事は1,500幅から1,000幅に減少している。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度従来の手作業による古美術等の修復は、仕上がり品質や作業時間に課題があった。
  • 生産能力和風建築の減少や日本人の文化に対する価値観の変化により表具への需要が減少している。
  • コスト・採算大手メーカーの機械化による大量生産や輸入安価製品との競争があり、経営上厳しい局面を迎えている。
  • 人手・技能高度な表装技術を要する付加価値の高い仕事へシフトして事業を維持・拡大していく必要がある。

やったこと

小型漉き嵌め修復機と集塵機を導入し、仕様決定、導入レイアウトの検討、試運転を行った。漉き嵌め機は、上から和紙繊維を流し込み下から水分を吸引して虫損・欠損部分に和紙繊維を補填する装置で、裏打ちと異なり裏全体に和紙を補填しないため厚みがほとんど増さない。0.13mmの極薄から0.35mmの厚口の原本に使用し、古文書と掛け軸で手作業と修復作業の品質(ひずみ、厚み、風合い)と作業時間を比較評価した。

加工機小型漉き嵌め修復機(漉き嵌め機)
その他集塵機

新しい製品・サービス:漉き嵌め機を用いた古文書・掛け軸の修復技術

事業の効果

  • 古文書修復の作業時間(1枚あたり) 12時間→分→10時間→分
  • 掛け軸修復の作業時間(1幅あたり) 4時間→1時間
  • 0.35mm材料の修復後の厚み 0.7mm→0.35mm

漉き嵌め機の導入により古文書や掛け軸の修復作業時間を大幅に短縮できる目標を掲げた。手作業の裏打ちと比べ、修復後の厚みが増えず風合いが保たれ、ひずみも少なくなる。これにより宝物・文化財や貴重な古文書の修復など付加価値の高い仕事を確保し、伊勢志摩地区の公立図書館、伊勢市役所、神社仏閣などからの新規顧客獲得を目指す。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.2 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    過去の修復実績や表具技術の継承が述べられ、古文書修復への展開が事業の流れとして書かれているが、経営戦略上の位置付けを数字で示す記述は少ない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    伊勢の神社仏閣や神宮関係の古文書10万冊以上などの外部環境と、表具技術会の受賞歴という強みが具体的に示されている。

  • 課題の認識と解決4

    掛軸の仕事が1,500幅から1,000幅に減少した課題を示し、古文書修復など付加価値の高い仕事へ移る方針が書かれている。

事業の実現可能性64%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    古文書は1枚12時間から10分、掛け軸は1幅4時間から1時間という目標値が数字で示され、付加価値向上の方向も明確。

  • 事業を進める体制3

    従業者5名で表具技術士が在籍し、修復技術の習得や組合への仕事仲介も書かれているが、人材配置や事務体制の具体性は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    修復対象や伊勢神宮文庫、公立図書館などの顧客ターゲットと、可逆性や厚みを変えない点など選ばれる理由が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    導入後の工程や作業の流れは示されているが、実施スケジュールや課題の解決方法の時系列はあまり明確でない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    漉き嵌め修復は一般的に普及していない専門技術で、厚み0.13〜0.35mmの極薄対応など高水準の仕上がりが具体的に示されている。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    伊勢の文化財や古文書の保存は地域の文化的資産の継承として述べられているが、波及効果や雇用創出の数字はない。

  • 費用対効果4

    作業時間の大幅短縮(12時間から10分など)が示され、生産性向上の効果は具体的だが、投入額に対する付加価値の数字はない。

  • イノベーションへの貢献2

    純国産の機械で文化財保修復学会が認めた点は触れられているが、デジタル技術やサプライチェーンへの貢献は読み取れない。

政策面50%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及4

    伊勢地方の神社仏閣や宝物・文化財の多さを活かし、地域の文化財修復で高付加価値の仕事を増やす方針が具体的に書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

伊勢志摩地区の公立図書館・伊勢市役所・神社仏閣が有望で、大学保有の文書館・美術館の古文書修復の仕事確保を進める。また、加入する三重県表具組合の組合員へ仕事の仲介依頼も行っていく。

業種と困りごとが近い成果事例

広島県サービス業(他に分類されないもの)平成27年度

自動車整備のプロセス改善と高度化計画

支柱の間隔が広い門型2柱リフトワイドを2式と低床式エアーガレージジャッキを1台導入し、旧型リフト2台と入れ替えた。

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出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。