ものづくり補助金平成26年度製造業京都府

耐震性とデザイン性を両立させる丸パイプ鉄骨加工における溶接技術の高度化

株式会社ナガオカ

この事例のポイント

  • 丸パイプ状鉄骨の断面部溶接は熟練工でも継ぎ目のない溶接が不可能で、耐震基準の検査をクリアすることが困難だった。
  • 長年使用してきた機械設備を破棄し、省スペース型鉄骨コア溶接ロボットシステムを2016年5月に導入した。
  • 導入後は作業時間を30%以上効率化でき、組織的な生産体制の改善とあわせて全体の生産効率も向上した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社ナガオカ
所在地京都府 長岡京市
業種金属製品製造業
技術分野デザイン,複合・新機能材料
従業員数16人
資本金4億円
設立1934年

事業の背景

当社は昭和9年の創業以来、鉄の長所と短所を熟知して鉄骨耐震性構造物の加工技術を蓄積してきた。溶接が複雑で特殊なものを得意とし、近畿圏内のゼネコンや京都府内の鉄骨加工業者を主要取引先としている。2011年以降の建設業界は、東日本大震災からの復興需要や民間設備投資の増加、公共事業投資に加え、2020年開催予定の東京オリンピックに向けたインフラ整備需要が加速する見込みがあった。また、将来的な地震等への備えとして耐震補強工事の需要も高まっていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度丸パイプ状鉄骨の断面部溶接は熟練工でも継ぎ目のない溶接が不可能で、耐震基準の検査をクリアすることが困難だった。
  • 人手・技能業界内で深刻な人材不足が生じており、人材不足が続くと工期遅延やコスト増加につながるおそれがあった。
  • 生産能力耐震補強事業の拡大に対応するため、生産性の向上と短納期化への即応、デザイン性の向上、より強度の高い鉄骨の提供が求められていた。

やったこと

長年使用してきた機械設備を破棄し、省スペース型鉄骨コア溶接ロボットシステムを2016年5月に導入した。社内の組織体制も見直し、熟練工の経験や勘による速度や圧力の技術をシステムに適用して、継ぎ目のない丸パイプ状鉄骨の溶接技術を確立した。導入後はオペレーション技術について従業員研修を続け、このシステムを運用できる若手技術者を育成する方法も取り入れた。2020年12月には第二工場を新設し、作業場を拡充して生産能力を増強した。

ロボット省スペース型鉄骨コア溶接ロボットシステム

新しい製品・サービス:継ぎ目のない丸パイプ状鉄骨

事業の効果

導入後は作業時間を30%以上効率化でき、組織的な生産体制の改善とあわせて全体の生産効率も向上した。原価率を下げたことで営業利益率を30%向上させることができた。丸パイプ状鉄骨はデザイン性と強度を両立させ、近畿圏内でも実績が認められて受注高は2.3倍に増加し、従業員も補助事業開始時と比べて2倍に増やすことができた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    1934年創業以来の鉄骨加工技術の蓄積と、1982年から続くM グレード認定が事例にあり、過去の取組との一貫性はうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    丸パイプ鉄骨に着目し角パイプでは実現できないデザイン性を示し、同業者が少ない点を差別化の根拠として具体的に述べている。

  • 課題の認識と解決4

    丸パイプ溶接の検査困難という課題を示し、ロボット導入で作業時間30%以上効率化、受注高2.3倍と成果を数値で示している。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    作業時間30%以上効率化、営業利益率30%向上の達成と記載があるが、補助事業前の付加価値額や賃上げ目標の数値は示されていない。

  • 事業を進める体制3

    従業員研修や組織体制の見直し、従業員数2倍増加が書かれ体制はうかがえるが、人材や事務処理能力の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    耐震性とデザイン性の両立、継ぎ目のない強度向上という価値と、ホテルや体育館、競技場等の用途が具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋3

    5カ年計画、第二工場新設(2020年12月)、技能向上研修など時期と手段は書かれるが、課題解決の詳細な手順は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    丸パイプ状鉄骨は同業者が多くなく、高水準の付加価値化を図る取組として具体的に説明されている。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用3

    耐震補強需要や人材不足への対応という社会的背景は書かれるが、波及効果や雇用創出の数値は示されていない。

  • 費用対効果4

    作業時間30%以上効率化、原価率低下、営業利益率30%向上、受注高2.3倍と費用対効果を数値で示している。

  • イノベーションへの貢献3

    溶接ロボットと熟練技能の融合は示されるが、業界やサプライチェーン全体への波及は具体的に書かれていない。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    耐震補強や建築鉄骨の需要増に触れるが、日本経済の構造転換に資するとの記述はうかがえる程度にとどまる。

  • 地域経済への波及3

    京都特有の狭隘な土地での高層建築受注など地域特性は書かれるが、地域経済の牽引に関する数値は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

補助事業開始時と比べ従業員は2倍に増えた。今後は技能向上をスムーズにできる支援体制と福利厚生の充実が大切と考え、意欲を引き出す環境づくりで円滑な技術承継を進め、全体としての独自性のある技術力に磨きをかけていく。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。