ものづくり補助金平成26年度製造業京都府

チョコレート含浸技術を活用した新商品の開発

平和製菓株式会社

この事例のポイント

  • 主な購買層は高年齢者層で、全国の若年者層への浸透が不十分だった。
  • 真空状態の含浸タンクに焼き菓子の素材を入れ、チョコレート液を真空吸引した後に大気開放して素材に染み渡らせる含浸装置を導入した。
  • 含浸技術により、素材の食感が残り夏場に強い新食感のチョコレート菓子を製造できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名平和製菓株式会社
所在地京都府 京都市伏見区
業種食料品製造業
従業員数19人
資本金1億円
設立1950年

事業の背景

1950年の創業以来、京都で菓子製造を続けてきた。1968年に生産品目を「そばぼうろ」一本に絞り、専門メーカーとして製法や配合の改良に取り組んできた。社会の変化により菓子へのニーズは多様化しており、既存の購買層は高年齢者層が中心で知名度は高いものの、若年者層への浸透が課題となっていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 販路・情報発信主な購買層は高年齢者層で、全国の若年者層への浸透が不十分だった。
  • 新製品・新技術若い人にも親しまれる新商品の開発が必要だったが、表面コーティングのチョコレート菓子では味覚や食感で他社商品と差別化できない。
  • 新製品・新技術チョコレートを素材の中まで染み込ませる含浸技術は社内になく、新たに導入する必要があった。
  • コスト・採算チョコレートなどの二次加工を外部委託すると複数社を経由するため物流コストがかさみ、納期も長くなっていた。

やったこと

真空状態の含浸タンクに焼き菓子の素材を入れ、チョコレート液を真空吸引した後に大気開放して素材に染み渡らせる含浸装置を導入した。国内に数社しかない一貫装置で、他社商品との差別化を図れる設備である。スイートチョコ、ホワイトチョコ、抹茶チョコなどを含浸させ、素材となる「ぼうろ」と合う商品を度重なる試作で開発した。加圧圧力、加圧時間、遠心速度、液戻し時間を調整し、味覚と食感を最良にすることに成功した。

加工機チョコレート含浸装置

新しい製品・サービス:チョコレート含浸技術を活用したBaked Sweets「Tsuroku(つろく)」ブランドの商品(ほっこり抹茶チョコレート、まったりスイートチョコレート、はんなりいちごチョコレートなど)

事業の効果

含浸技術により、素材の食感が残り夏場に強い新食感のチョコレート菓子を製造できるようになった。チョコレートなどの二次加工を社内で行う一貫生産体制が実現し、大幅なコスト削減と納期短縮が可能になった。その結果、適正な価格で良い品質の商品を顧客に届けられるようになった。含浸技術を活用してこれまで取引のなかった企業との提携も可能になると見込んでいる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性4

    60年製造の「そばぼうろ」を素材に含浸技術で新商品を開発し、若年層展開を図る流れが事業の延長として明確に書かれている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    「そば」未使用でアレルギー対応できる点や高年齢層中心の購買層が示されるが、市場動向や競合との比較は具体的数値を伴わない。

  • 課題の認識と解決4

    若年者層への浸透不足という課題を認識し、含浸技術の内製化で大幅なコストダウンと納期短縮を実現すると書かれている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの具体的な目標値は記載がなく、わずかに新規顧客獲得の方向性がうかがえる程度。

  • 事業を進める体制3

    従業員19人の規模と熟練の技・豊富な経験は書かれるが、補助事業の遂行体制や事務処理能力の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    若年者向けチョコ含浸菓子で素材の食感が残る・夏場に強いといった特徴と、アレルギー対応という選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    試作の繰り返しや京都タワーサンド店での顧客意見のフィードバックなど進め方は書かれるが、スケジュールや課題解決の方法は具体性が薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    含浸技術を用いたチョコレート菓子は、他社と差別化できる一貫装置を国内に数社しか持たないと書かれ、高付加価値化の内容がある。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    京銘菓の継承や地域の伝統菓子に関する記述はあるが、経済波及や雇用創出など国が補助する積極的理由は読み取れない。

  • 費用対効果2

    コストダウンや納期短縮の効果は書かれるが、補助金投入額に対する付加価値額や生産性の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    アレルギー対応の新工場や含浸技術の活用はうかがえるが、サプライチェーン全体へのイノベーション貢献は記載が薄い。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    京都の伝統菓子を活かした京銘菓の事業であることは読み取れるが、地域の雇用や経済成長への牽引の具体的記述は少ない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今回習得した含浸技術を活用して新たな企業と提携し、「そばぼうろ」を受け継ぎながら付加価値をつけた革新的な商品開発を展開し、さらなる顧客満足につなげたいと考えている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。