ものづくり補助金平成26年度製造業大阪府

老舗豆菓子業者が新市場開拓に挑戦

株式会社 冨士屋製菓本舗

成果処理能力 120袋/時間→600袋/時間

この事例のポイント

  • 競合するあられやせんべいに対して、味付けの組み合わせでは強みがあったものの、価格をそろえたときの見た目のボリューム感が不足していた。
  • 補助事業では、コンピュータスケール(自動包装機)とテトラパック(三角パック)包装機を購入した。
  • 処理能力 120袋/時間→600袋/時間。コンピュータスケールの導入により処理能力が5倍に向上し、計量誤差も2%以下に抑えられたため、コストアップ要因を取り除く…

事業者のプロフィール

事業者名株式会社 冨士屋製菓本舗
所在地大阪府 富田林市
業種食料品製造業
従業員数20人
資本金1億円
設立1913年

事業の背景

同社は大正2年創業の老舗豆菓子製造業者で、大阪府から「大阪産(もん)名品」の認定を受けている。豆菓子製造業者で30種類を超えるアイテム数を持つのは国内では同社だけという。豆菓子の市場規模は推計で300〜400億円程度とされるが、そのほとんどはスーパーやコンビニを販路とする自家消費向けで、価格競争に陥りがちである。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術競合するあられやせんべいに対して、味付けの組み合わせでは強みがあったものの、価格をそろえたときの見た目のボリューム感が不足していた。
  • コスト・採算従来の手動計量では作業員2名で120袋/時間しか処理できず、量産・価格競争では大手に対抗しにくかった。
  • 品質・精度豆菓子の粒の大きさの違いなどにより、表示内容量に対して5〜10%程度の計量誤差が生じることがあった。
  • 販路・情報発信スーパーやコンビニなど既存の自家消費向け販路は価格競争に陥りやすく、ギフトや土産など新市場の開拓が課題だった。

やったこと

補助事業では、コンピュータスケール(自動包装機)とテトラパック(三角パック)包装機を購入した。コンピュータスケールの導入により、従来の手動計量の120袋/時間から5倍の600袋/時間の処理が可能になった。計量誤差も5〜10%程度から2%以下に抑えられた。商品をテトラパック包装にしたことで、従来の一般的な包装と比べて1.5倍から2倍程度の見た目のボリュームアップ感を出せるようになった。

加工機コンピュータスケール(自動包装機)
加工機テトラパック包装機

新しい製品・サービス:テトラパック包装の豆菓子商品で、3袋・7袋の詰め合わせに加え、一口サイズの1袋からの販売も追加した。

事業の効果

  • 処理能力 120袋/時間→600袋/時間
  • 計量誤差 5%→2%
  • 見た目のボリューム感 1倍→1.5倍

コンピュータスケールの導入により処理能力が5倍に向上し、計量誤差も2%以下に抑えられたため、コストアップ要因を取り除くことができた。テトラパック包装により見た目のボリューム感が増し、味付けに加えて価格をそろえたときの商品開発力が向上した。ギフトや土産の新市場にも商品を展開でき、関東市場やサービスエリア、関西空港などからの引き合いが生まれている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    大正2年創業で100年以上の伝統製法を生かし、豆菓子で30種類超のアイテム数を持つ点から、過去の取組との一貫性がうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    味付けの組み合わせに強みがある一方、価格をそろえた際のボリューム感不足が弱みとして挙げられ、強み弱みの整理が読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    計量誤差5〜10%を2%以下に抑え、作業能力を120袋から600袋/時間へ5倍にする課題解決が示されている。付加価値向上への結びつきは書かれていない。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    処理能力5倍や誤差縮小の数値はあるが、付加価値額や賃上げの目標値は記載されておらず、わずかにうかがえる程度。

  • 事業を進める体制2

    従業員20名と補助事業で機器を購入したことは書かれているが、補助事業を遂行する人材や事務体制の具体的記述は少ない。

  • 顧客とニーズの裏付け5

    包装で見た目のボリュームが1.5〜2倍になり、ギフトやサービスエリア、関西空港売店など顧客ターゲットと選ばれる理由が具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋3

    2016年2月の包装デザイン一新や関東市場・卸売業者への営業強化は書かれているが、中長期の検証や遂行スケジュールの記述は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    豆菓子市場は推計300〜400億円で価格競争が激しいとし、ギフトやお土産の新市場を狙う点から高付加価値化の方向性が読み取れる。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 費用対効果3

    作業効率5倍や計量誤差の縮小は示されているが、補助金投入額に対する付加価値増加額の記載がなく、費用対効果は具体的に判断できない。

  • イノベーションへの貢献2

    コンピュータスケールや自社WEBサイトでのギフト販売がうかがえるが、先端デジタル技術による地域やサプライチェーンへの貢献は書かれていない。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    ギフト市場や海外観光客向けの新市場開拓はうかがえるが、日本経済の構造転換への言及はない。

  • 地域経済への波及3

    大阪府から大阪産名品の認定を受けた大阪発祥の伝統菓子という地域性を活かしている点が読み取れるが、雇用や地域成長への言及は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

ギフト市場は同社がこれまで力を入れてきた新規市場であり、商品ラインアップがさらにそろうことになる。今後も商品開発力を磨き続ける方針である。

事業者の声

新市場開拓は他の菓子との競争もあり、今後も商品開発力を磨き続けます。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。