ものづくり補助金平成26年度製造業大阪府

細く太く加工した電線がロボット産業を支える

三洋電線 株式会社

この事例のポイント

  • 撚線の生産は熟練社員の技術と勘に頼っており、張力調整に手間がかかっていた。
  • 細い銅線を絡ませずに撚ることができる「7ヶ撚機」を導入し、第2工場に設置した。
  • 7ヶ撚機の導入により、細く柔軟で強度を兼ね備えた撚線の生産が可能になった。

事業者のプロフィール

事業者名三洋電線 株式会社
所在地大阪府 大阪府富田林市
業種非鉄金属製造業
技術分野精密加工
従業員数20人
資本金3,000万円
設立1946年

事業の背景

大阪市天王寺区で昭和21年に創業し、現在は大阪府富田林市に拠点を置く。他社から調達した細い銅線を撚って太い撚線に加工し、産業用ロボットのアーム部分や医療機器などに使われている。主な取引先は弱電メーカーで、主力製品は極細撚線である。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能撚線の生産は熟練社員の技術と勘に頼っており、張力調整に手間がかかっていた。
  • 品質・精度機器の小型化・軽量化に伴い被覆皮膜を薄くする必要が生じ、撚線段階での均質度に対する取引先の要求が高まっていた。
  • 品質・精度細い銅線は絡まりやすく切れやすいため、屈曲回数などの厳しい条件を満たす柔らかく軽い撚線を安定して作ることが難しく、不良品の発生が課題になっていた。

やったこと

細い銅線を絡ませずに撚ることができる「7ヶ撚機」を導入し、第2工場に設置した。この機械はパーマトルクを搭載して張力を制御するため、生産工程のサプライテンションがほぼ自動化できた。サプライテンションの半自動化と手動調整の組み合わせにより、不良品を抑えられるようになった。本社近隣では、空きが出た工場を第3工場として購入したが、現在は倉庫として活用しており、今後設備を導入して増産する方針である。

加工機7ヶ撚機

新しい製品・サービス:7ヶ撚機の導入により実現した、細く柔軟で強度を兼ね備えた撚線

事業の効果

7ヶ撚機の導入により、細く柔軟で強度を兼ね備えた撚線の生産が可能になった。柔軟さを保ちながら絡まりにくく、撚線の断面を真円に近い状態に加工するなど高精度で高品質な製品を生産できるようになった。細線が束になることで断面積が広がり、流せる電流を従来より大幅に増やせるようになった。可動用としての採用も見込めるようになり、新たな販路の拡大につながっている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.5 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    従来は熟練社員が張力を手動調整しており、撚線生産を強みとする事業との連続性は読み取れるが、経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    ロボット産業の技術革新と取引先要求の高まりに触れており、外部環境は読み取れるが、競争優位性の数値的な裏付けは乏しい。

  • 課題の認識と解決4

    熟練依存による不良品発生と均質性への取引先要求という課題が示され、新設備導入による不良品抑制と高品質化で対応している。

事業の実現可能性44%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    不良品の抑制や柔軟性向上は示されるが、付加価値額や賃上げの目標値は記載がなく、実現可能性を判断できる数値はない。

  • 事業を進める体制2

    熟練社員による手動調整の記述はあるが、補助事業を遂行する人材や事務処理体制について具体的な記載はない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    細く柔軟で強度を持つ撚線、可動用ロボットへの採用見込みなど製品価値と販路が示され、取引先の要求との関係も具体的に読み取れる。

  • 事業化までの道筋2

    第3工場の取得や将来の増産方針は示されるが、導入スケジュールや課題解決の具体的な遂行方法は記載されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    ロボットの軽量化や可動用途への展開が示されるが、同分野での普及度や高価格化の水準を示す記述は薄い。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    ロボット産業を支える基礎技術という位置付けはうかがえるが、経済波及効果や雇用創出などの国が補助する理由は明記されていない。

  • 費用対効果2

    不良品抑制や電流容量の拡大は示されるが、補助金投入額に対する付加価値増加の数値は記載されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    ロボットや工場の自動化への貢献はうかがえるが、サプライチェーン全体のイノベーションに関する具体的記述は薄い。

政策面50%
  • 成長分野への進出3

    ロボット産業の技術革新やAI採用による工場自動化の追い風に触れており、成長分野への進出とみなせる記述がある。

  • 地域経済への波及2

    大阪府富田林市の地域での事業展開は示されるが、地域の特性を活かした雇用創出や経済成長に関する記述は限定的。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

将来的な業容拡大を目指し、ロボット向けの撚線事業を中心に生産体制を整え、AIの採用拡大や工場の自動化を追い風として商機を狙う。

  • 目標:0.03mm~0.12mmの細い銅線を100~200本束ねて太い撚線にする

事業者の声

どのロボットを見ても当社の撚線が入っているようにしたい

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。