ものづくり補助金平成26年度製造業山形県

「ニットCAD」と「ホールガーメント専用機」導入による生産プロセス高度化と自社企画商品の開発

株式会社タンドル

この事例のポイント

  • 店頭での販売時期が各アパレルメーカーで同じため、見本の依頼・発注・生産の時期が重なる。
  • ニットCADを導入し、3Dシミュレーションを作成できるようにした。
  • ニットCADの導入により3Dシミュレーションが作れるようになり、遠隔地との打ち合わせに効果があった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社タンドル
所在地山形県 山形市
業種繊維工業
技術分野デザイン,情報処理,立体造形
従業員数22人
資本金1,000万円
設立1980年

事業の背景

当社は1980年に創業したニット製品販売会社で、1999年にホールガーメント(WG)製品の製造を開始した。WGの生産力を武器に通販会社や専門店へニット製品の製造販売を行っている。アパレルメーカーの店頭販売時期が同じため見本依頼や発注、生産の時期が集中し、何が売れるか分からないまま多品種少ロットで市場の様子を見る取引が続いていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 納期・工程店頭での販売時期が各アパレルメーカーで同じため、見本の依頼・発注・生産の時期が重なる。
  • その他アパレルメーカーも何が売れるか分からず、多品種少ロットで市場の様子を見てから短納期の追加発注がなされる。
  • その他いまだにOEM生産が主流で、自社企画商品の販売拡大が課題となっていた。

やったこと

ニットCADを導入し、3Dシミュレーションを作成できるようにした。これにより画像を用いて遠隔地との打ち合わせを行えるようにした。これまで別々に作成していた編機データとシミュレーションを連動させ、編立プログラム作成の時間を短縮した。ホールガーメント専用機を導入し、エアスプライサーおよび可動性シンカーを利用して、糸繋ぎや編立速度を改善し、生産時間の短縮と稼働率の向上を図った。従来は襟周りのカーブを手で裁断していたが、設備によって編立時に裁断なしで作れるようにした。

加工機ホールガーメント横編機
ソフトニットCAD

新しい製品・サービス:自社ブランド「Sellty」の高品質なニット製品「Yamagata Knit」

事業の効果

ニットCADの導入により3Dシミュレーションが作れるようになり、遠隔地との打ち合わせに効果があった。編機データとシミュレーションの連動で編立プログラム作成の時間が短縮された。WG導入により糸繋ぎの時間短縮と稼働率向上、編立速度向上による生産時間の短縮が実現し、捨て編みも格段に減った。裁断なしで襟周りを作れるようになりコストダウンにつながり、生産工程の改善と原料ロスの削減、OEMを維持したままの自社ブランドの開発と拡販への道筋ができた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    1999年からWG製品製造を開始し、自社ブランドへ発展させる方向性が書かれているが、経営戦略上の位置付けの明確さは薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    WG導入で捨て編み減少や生産効率30%向上に触れ、自社の強みとして生かす方針は読めるが、市場環境との関係の説明は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    受注の短納期化や多品種少ロット化という課題を示し、ニットCADとWGでの生産工程改善につなげる内容が具体的に書かれている。

事業の実現可能性44%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    生産効率30%向上や従業員の賃金アップという目標はあるが、付加価値額の具体的な目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員22名の規模は記載があるが、補助事業を遂行する体制や人材配置についての記述は見当たらない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    遠隔地との打ち合わせ、自社ブランド「Sellty」などの製品特徴は読めるが、顧客ターゲットやニーズの裏付けは薄い。

  • 事業化までの道筋2

    EC販売への挑戦や自社ブランド拡販の方向は書かれているが、スケジュールや課題解決の方法は示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    手裁断不要の襟周り編立や捨て編み減少など、高付加価値化につながる独自の製造方法が具体的に記載されている。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    山形県のPRや地元ブランド発信、地域のニット製品の振興に触れており、地域への波及が読み取れる。

  • 費用対効果3

    原料ロス削減、生産効率30%向上、コストダウンに触れるが、補助金額に対する費用対効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    ニットCADによる3Dシミュレーションとデータ連動でサプライチェーンの効率化に触れているが、イノベーション貢献の度合いは薄い。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    EC販売や自社ブランド開発への挑戦が書かれ、市場の変化への対応はうかがえるが、構造転換への言及は乏しい。

  • 地域経済への波及4

    山形市の地元企業として、山形県のPRや「Yamagata Knit」の提供による地域ブランド化と雇用・賃金向上の目標が示されている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

新型コロナ流行の影響で消費者の購買意欲が低下し売上は落ちているが、終息後に向けてEC販売への挑戦と、要望に合ったオリジナリティのある自社ブランド商品の開発と拡販を目指している。今後もWGを活用し、原料ロスの少ない自然環境に優しい高品質な製品を山形から発信する予定である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。