ものづくり補助金平成26年度製造業兵庫県

広幅高密度ジャカード織機を用いた高精細・高品質生地の生産販売

遠孫織布株式会社

この事例のポイント

  • 受注量が年々減少し、産元商社からの受注生産に頼る状況では今後の事業継続が危ぶまれていた。
  • 生地幅66インチ、18インチ径柄の生地を織れる高密度ジャカード織機を導入した。
  • 直接取引による直販型織物工場への転換の礎となり、アパレルメーカーの多様な要望に応えられる体制が整った。

事業者のプロフィール

事業者名遠孫織布株式会社
所在地兵庫県 西脇市
業種繊維工業
技術分野デザイン,精密加工
従業員数3人
資本金1,000万円

事業の背景

創業以来、播州織生地の織物工場として産元商社からの受注生産のみを行ってきた。近年は国内需要の停滞と海外製品の台頭により受注量が減少傾向にあった。播州織生地の生産量は、昭和59年頃のピーク時の約1割程度まで減少している。一方で、播州織は独特の風合いや肌触りから国内外で注目されつつあり、アパレルメーカーとの直接取引を模索してきた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 販路・情報発信受注量が年々減少し、産元商社からの受注生産に頼る状況では今後の事業継続が危ぶまれていた。
  • 新製品・新技術従来の設備は生地幅48インチ程度までの対応で、繊細な柄はプリント加工でしか実現できず、高精細なデザインに応えられなかった。
  • 生産能力受注が増えると稼働に余裕がなくなり、次期製品の試作品を作れないため新製品開発に支障が出ていた。
  • 新製品・新技術直販型工場への転換には取引先が求める多種多様なデザインの生地を生産する技術の確立が喫緊の課題だった。

やったこと

生地幅66インチ、18インチ径柄の生地を織れる高密度ジャカード織機を導入した。新設備はイテマウィービング社製の高密度レピア織機とボーナス社製の電子ジャカードを組み合わせたものである。レピア織機は多種多様で複雑なデザイン柄に対応した緯糸の組み合わせ制御ができる。電子ジャカードは従来の織機より圧倒的に多い数の緯穴を使い、高精細な写真織を可能にする。これにより、従来はプリント加工でしか対応できなかった繊細な柄の織物加工ができるようになった。緯糸の本数が増えたことで、自然な生地の厚みと独特の柔らかさを持つ高品質な生地を生産できるようになった。

  • 加工機高密度レピア織機イテマウィービング社製電子ジャカードボーナス社製

新しい製品・サービス:アウター生地やパンツ生地など、これまで手がけていなかった多様な種類の高精細な写真織の生地

事業の効果

直接取引による直販型織物工場への転換の礎となり、アパレルメーカーの多様な要望に応えられる体制が整った。従来は受注型工場では実現できなかった高付加価値製品を生産できるようになった。試作品の生産と製品量産を同時に行えるようになり、試作開発期間が短縮された。設備の充実により生産能力の強化も実現し、若い後継者人材の発掘と育成も見込んでいる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性4

    受注減少への危機感から直接取引を模索してきたとの経緯があり、直販型工場への転換という方向性が過去の取組と一貫して示されている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    国内需要停滞や海外製品台頭に触れ、アパレルとの直接取引の要望に応えて差別化するとあるが、自社の強み数値や競争優位の根拠は具体性が薄い。

  • 課題の認識と解決4

    従来は生地幅48インチ、柄直6インチまでしか対応できなかった課題に対し、66インチ・18インチ柄の織機導入で解決を図る具体的な内容が書かれている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの目標値は示されておらず、目標は高精細対応や直接受注への転換といった定性的な記述にとどまる。

  • 事業を進める体制3

    若い後継者の発掘と育成に触れ、従業員3人の体制が示されているが、補助事業を遂行する人材や事務体制の具体的な記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    アパレルメーカーから繊細なデザインや短納期への要望があり、高精細な写真織など選ばれる理由が具体的に整理されている。

  • 事業化までの道筋2

    試作と量産を同時に行う工程改善は書かれているが、スケジュールや中長期の課題検証の方法についての記述は乏しい。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    従来はプリント加工でしか対応できなかった細かい柄を織物で実現し、同分野で高付加価値化を図る内容が示されている。

公的補助の必要性33%
  • 波及効果・雇用2

    播州織の生産量が昭和59年ごろのピーク時の約1割に減少した状況が示され、産地維持の必要性がうかがえるが、経済波及効果の記述は明確でない。

  • 費用対効果1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • イノベーションへの貢献2

    高精細な写真織や電子ジャカードの活用が示されているが、デジタル技術によるサプライチェーン全体のイノベーションへの言及は限定的である。

政策面50%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及4

    播州織という地域産地の特性を活かし、地域の後継者育成や産地全体への刺激に触れており、地域の雇用面での効果が示されている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。