ものづくり補助金平成26年度製造業和歌山県

医療品分野でのニーズが見込まれる人体に安全な黒色顔料インクを試作・開発

協同組合 ラテスト

この事例のポイント

  • 顔料インク粒子の分散性を確保することが難しく、粒子同士が結合して印刷時のヘッド部分が目詰まりし、スムーズに印刷できなかった。
  • 備長炭と竹炭を粉砕するための湿式粉砕機を購入し、実用化を試みた。
  • 備長炭と竹炭を使った黒色顔料インクは、食品にも印刷できるようになり、口に入れても人体に無害である点が高く評価されている。

事業者のプロフィール

事業者名協同組合 ラテスト
所在地和歌山県 和歌山市
業種化学工業
技術分野複合・新機能材料
従業員数11人
資本金45万円
設立1991年

事業の背景

協同組合ラテストは1991年の設立時には繊維くずの再生利用が主な目的だったが、次第に紀州備長炭を使った関連商品の製造・販売へと事業の比重が移った。備長炭や竹炭を粉末・ペースト状にし、脱臭剤や消湿剤の原料として供給しており、化学関連商社を中心に販路が構築されている。アイデア商品が多く、企画・開発力に定評がある。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度顔料インク粒子の分散性を確保することが難しく、粒子同士が結合して印刷時のヘッド部分が目詰まりし、スムーズに印刷できなかった。
  • 新製品・新技術既存の黒色インクはカーボンブラックや黒色酸化鉄を原料としており環境にやさしくないうえ、医薬品や食品への直接印字の需要に応えられなかった。

やったこと

備長炭と竹炭を粉砕するための湿式粉砕機を購入し、実用化を試みた。インクメーカーの協力のもと、いくつかの分散剤を試し、3ヵ月から半年をかけて実験を行った。その結果、組合が原料とする備長炭と竹炭に適合する分散剤を見つけ、実用化へ進めることができた。これにより人体に安全な紀州備長炭使用の黒色顔料インクを開発し、実際に販売を行った。

加工機湿式粉砕機

新しい製品・サービス:紀州備長炭を使用した人体に安全な黒色顔料インク

事業の効果

備長炭と竹炭を使った黒色顔料インクは、食品にも印刷できるようになり、口に入れても人体に無害である点が高く評価されている。得意先からも好評を得ており、これまで印刷ができなかった食品への印字が可能になった。一方で、インクの分散性は2〜3ヵ月程度しか保てないという課題が残っている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    設立当初の繊維くずの再生利用から備長炭・竹炭関連品へ移行し、印刷用顔料インク開発に続いたと記載。一貫性は読み取れるが経営戦略としての明確な位置付けの記述は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    化学関連商社中心の販路構築や環境アメニティ大賞など表彰歴に触れるが、市場動向との対比や競争優位の説明は具体的に書かれていない。

  • 課題の認識と解決3

    インク分散性が2〜3ヵ月しか保てない課題を認識し、6ヵ月程度へ延ばす研究開発を進めると記載。ただし事業化の成長効果は数字で示されていない。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値の増加率や賃上げの目標値は記載されていない。分散性の改善目標(6ヵ月程度)のみうかがえる。

  • 事業を進める体制3

    インクメーカーの協力や工業技術センター関与、3〜6ヵ月の実験を行ったと記載。体制の具体性はあるが人材や事務処理能力には触れていない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    医薬品・食品への直接印字需要と人体無害性が強みとして明記され、得意先からの好評や食品印刷が可能になった点も具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    分散性の課題を分散剤の試験で解決し、今後は6ヵ月への延長や海外展開を検討すると記載。スケジュールの詳細は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    最も難しいとされる顔料インク粒子の分散性確保に取り組み、人体に安全な黒色顔料インクという高付加価値品を開発した点が読み取れる。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用3

    カーボンブラック等の環境負荷に対し、人体に安全な原料の見直しという社会的意義が述べられている。ただし経済波及効果の記述は少ない。

  • 費用対効果1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • イノベーションへの貢献2

    備長炭・竹炭の新用途として食品・医薬品への直接印字を可能にした点がうかがえるが、デジタル技術やサプライチェーンへの貢献は明記されていない。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    医薬品・食品印字という新たな需要分野への進出がうかがえるが、日本経済の構造転換に資するとの記述はない。

  • 地域経済への波及3

    紀州備長炭という地域資源を活用した製品開発であることは読み取れるが、雇用創出や地域経済成長への言及は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後は備長炭・竹炭を使った黒色顔料インクの販売をさらに進めるとともに、分散性を約6ヵ月まで延ばせるよう研究開発を続ける。欧州での展開も視野に入れ、ペットボトル浄水用備長炭や備長炭入り化粧品などでの受注も目指す。電気自動車の蓄電池に使われる電極への応用など、従来とは違う角度からの提案も増やしていく。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。