新設備導入による革新的医療用接着材「LYDEX」の量産体制構築

京都府の製造業の会社が、ものづくり補助金で新設備を導入し、製造能力を高めた採択事例です。

株式会社ビーエムジー

成果濃縮工程の処理量 4枚→20枚

この事例のポイント

  • 既存設備では SAPL の製造能力が1kg/週で限界となり、LYDEX の供給量を大幅に増やせない状態でした。
  • 濃縮工程では、無塵熱風強制循環式定温乾燥機を導入しました。
  • 濃縮工程の処理量 4枚→20枚。濃縮工程の処理能力は約5倍になり、SAPL の製造能力は1kg/週から5kg/週に向上しました。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社ビーエムジー
所在地京都府 京都市南区
業種化学工業
技術分野立体造形,機械制御,材料製造プロセス
従業員数30人
資本金1億円
設立1983年

事業の背景

当社は京都大学との産学連携を基盤に、医用材料の研究開発を行う大学発ベンチャーです。医療用接着材「LYDEX」は、血液由来接着剤に代わる次世代医用材料として注目されています。

内視鏡用創傷被覆材の開発パートナーが2020年頃に LYDEX の大量供給を要請しましたが、現行設備では供給量を増やすことが困難でした。内視鏡用創傷被覆材市場は2023年以降に本格的な成長期を迎え、3,000〜4,000億円規模へ拡大すると予測されています。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力既存設備では SAPL の製造能力が1kg/週で限界となり、LYDEX の供給量を大幅に増やせない状態でした。
  • 納期・工程従来の乾燥機は乾燥容器を4枚しか収納できず、量の増加に限界がありました。
  • 品質・精度SAPL は吸湿性が非常に高く、湿度管理と乾燥工程の温度管理が難しいため、生産効率が著しく低下していました。
  • 納期・工程小型粉砕機は連続運転に対応できず、量産化の壁となっていました。

やったこと

濃縮工程では、無塵熱風強制循環式定温乾燥機を導入しました。多段式ラック構造により乾燥容器を最大20枚同時に処理でき、側面送風方式で均一に乾燥させ、加熱温度を均質化して濃縮時間を短縮しました。

乾燥工程では真空定温乾燥器を導入し、実測で従来機と同等の品質を確保しました。全ロットで湿量基準水分率が基準値以下となり、乾燥時間は従来同等のまま処理量を増やしました。

粉砕工程では大型粉砕機を導入し、既設機の精度を維持しながら連続運転を可能にしました。粉砕粒度分布は従来とほぼ同様で、メディアン径の誤差は1.27μmでした。

連日稼働により製造能力を1kg/週から5kg/週へ高めました。

新しい製品・サービス:医療用接着材「LYDEX」の量産品

補助金で入れた設備

経費の区分は「機械装置・システム構築費」です。

事業の効果

  • 濃縮工程の処理量 4枚→20枚
  • 製造能力 1kg/週→5kg/週

濃縮工程の処理能力は約5倍になり、SAPL の製造能力は1kg/週から5kg/週に向上しました。製造原価は大部分を占めていた労務費を削減したことで約10%低減しました。

乾燥・粉砕工程では品質と精度を保ったまま処理量と連続運転を両立し、工程の信頼性が高まりました。最大15kg/週の生産能力が整い、需要の急増にも対応できる供給体制を構築しました。

出た効果の種類(押すと同じ効果の事例へ)

審査の観点ごとの評価

新事業進出・ものづくり補助金

観点の平均3.6 / 5

この事例が強かった観点

  • 5
    付加価値・賃上げの目標目標の年間生産能力70kg、製造原価10%削減に対し、結果は最大15kg/週で目標の3倍、原価10%削減を達成と数字で実証されている。
  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性ヒト血液由来成分を使わず感染リスクが低いLYDEXの特性と、NEXTBIOMEDICALとの連携による海外展開需要を踏まえ、差別化を示している。
  • 4
    課題の認識と解決課題を1kg/週の生産限界と特定し、濃縮・乾燥・粉砕の3工程を刷新して5kg/週、製造原価10%削減という具体的な改善を計画している。

もう一歩だった観点

  • 2
    地域経済への波及京都の大学発ベンチャーである点に触れているが、地域の雇用創出や地域経済への波及効果は書かれていない。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    国産初の生体吸収性縫合糸原材料やLYDEX開発など大学発の研究開発を積み重ねており、量産体制構築は一貫した取組として位置付けられる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    ヒト血液由来成分を使わず感染リスクが低いLYDEXの特性と、NEXTBIOMEDICALとの連携による海外展開需要を踏まえ、差別化を示している。

  • 課題の認識と解決4

    課題を1kg/週の生産限界と特定し、濃縮・乾燥・粉砕の3工程を刷新して5kg/週、製造原価10%削減という具体的な改善を計画している。

事業の実現可能性3.8
  • 付加価値・賃上げの目標5

    目標の年間生産能力70kg、製造原価10%削減に対し、結果は最大15kg/週で目標の3倍、原価10%削減を達成と数字で実証されている。

  • 事業を進める体制3

    京都大学との産学連携基盤と医療分野での研究開発実績を持つが、事業遂行体制に関する具体的な人員記述は限定的である。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    吸湿性や感染リスクの低さ、分解性・接着強度・抗菌性など競合との差別化点、海外承認取得を背景とした需要を整理している。

  • 事業化までの道筋4

    濃縮・乾燥・粉砕の3工程ごとに改善内容と検証値(メディアン径誤差1.27μm、水分率基準内)を示し、課題解決方法が明確である。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    LYDEXは従来の血液由来接着剤に代わる次世代医用材料で、内視鏡用創傷被覆材の市場が3,000〜4,000億円規模に拡大と予測される分野にある。

公的補助の必要性3.7
  • 波及効果・雇用4

    国産初の生体吸収性縫合糸原材料の製造実績があり、日本発の医療材料を世界標準へ展開する点で国が支援する意義が示されている。

  • 費用対効果4

    補助事業により処理量5倍、製造原価10%削減、年間生産能力70kg目標達成と、投入に対する効果が数字で示されている。

  • イノベーションへの貢献3

    大型粉砕機による連続生産や多段式乾燥機など工程革新を行い、医療材料分野の供給体制に貢献し得る取組である。

政策面2.5
  • 成長分野への進出3

    医療機器分野の成長市場に進出し、日本発バイオマテリアルを世界展開する取組で、成長分野への進出として読み取れる。

  • 地域経済への波及2

    京都の大学発ベンチャーである点に触れているが、地域の雇用創出や地域経済への波及効果は書かれていない。

今後の展望

今後は大量生産体制をさらに強化し、欧州・アジアに加えて米国市場へ参入します。LYDEX の止血材・シーラント材・ドラッグデリバリー等への多用途展開や、医療機器メーカーとの共同開発を加速します。

本補助事業で確立した量産体制を基盤に、世界の医療を支える企業へ進化することを目指します。

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出典・注記
  • 出典:公式の事例集(令和元年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文からAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 審査の観点:公募要領 p.44(審査項目)
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。