ものづくり補助金平成26年度製造業和歌山県

新たな小型NC旋盤を導入し、加工時間の短縮と品質の安定化を図り、国内外での競争力を強化

桜井鉄工 株式会社

成果加工に必要な機械台数 3台→1台

この事例のポイント

  • 海外・国内を問わず競争が厳しくなっており、高品質な製品をいかに安価に供給できるかが以前にも増して重要になっている。
  • 安全性の確保と加工時間の短縮を目的に、ミストコレクター付の小型NC旋盤を導入した。
  • 加工に必要な機械台数 3台→1台。複数の機械を移動していた工程が1台で完結するようになり、製品1つ当たりのコストを削減できた。

事業者のプロフィール

事業者名桜井鉄工 株式会社
所在地和歌山県 伊都郡かつらぎ町
業種金属製品製造業
技術分野精密加工
従業員数12人
資本金1,000万円
設立1991年

事業の背景

織物機械の修理工場から始まった同社は、織物機械の減少に伴い継手(配管をつなぎ合わせるための接合部のパーツ)の製造へ転換してきた。標準継手を主力製品とし、高圧継手、特殊継手、油圧継手なども製造しており、製品は金属部品メーカーなどを経由して工作機械メーカーや建機メーカー向けに納入されるものが多い。主力の転造加工は材料を節約でき加工時間も短縮できるため同社の強みとなっており、これが主力取引先との長年の継続取引につながっている。2014年には関東方面の引き合いに対応するため東京営業所を設置した。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算海外・国内を問わず競争が厳しくなっており、高品質な製品をいかに安価に供給できるかが以前にも増して重要になっている。
  • 納期・工程高圧継手の製造工程は「単能盤」「ねじ切り専用NCフライス盤」「単能盤」「洗浄・検査・出荷」の順で進み、途中の材料移動により作業者の負担が重く、移動に相応の時間が必要だった。
  • その他単能盤では切削くずが不規則に飛び散ることがあり、単能盤に安全扉が付いていないため作業者に危険が伴っていた。

やったこと

安全性の確保と加工時間の短縮を目的に、ミストコレクター付の小型NC旋盤を導入した。この機械により、高圧継手の複数工程を一括して1台で加工できるようになった。導入時の自動テストでは不定期にエラーが出て機械が停止する状況が続いたが、原因を究明し材料の汚れを軽く落とす対策を講じることでエラーは解消され、スムーズな作業が可能になった。切削くずは機械内部に収まり後方から自動で排出されるほか、エアーガンで細かい切削くずを除去する清掃も行える。ミストコレクターの接続により油煙が処理され、事故防止にもつながっている。

加工機ミストコレクター付小型NC旋盤

事業の効果

  • 加工に必要な機械台数 3台→1台

複数の機械を移動していた工程が1台で完結するようになり、製品1つ当たりのコストを削減できた。六角ソケットでは加工時間を16%縮めることができ、顧客から求められている短納期・低価格のニーズに合った加工が可能となった。機械内部で加工が完結するため安全性が向上し、切削くずの自動排出や油煙の処理によって事故防止にもつながっている。また、誰が作業しても高品質の製品を安定して作れるようになり、気温差による加工精度のばらつきもなくなった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    織物機械の修理から継手製造へ転換した経緯と、主力の標準継手・高圧継手の継続取引が書かれており、過去の取組との一貫性がうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    転造加工が強みで、3ダイス転造盤により切削より材料節約・加工時間短縮ができ、主力取引先との長年の継続取引につながると具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    3台の機械を移動して加工していた課題を1台で完全加工し、加工時間を16%短縮、移動時間削減で価格競争力を向上させたと数字で書かれている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    加工時間を六角ソケットで16%縮めた実績は示されるが、付加価値向上や賃上げの目標値は書かれておらず、実現可能性の根拠は薄い。

  • 事業を進める体制3

    熟練者の技術伝承の推進や、機械導入後の誰でも高品質製品を作れる体制、エラー原因の究明など、体制面の記述はあるが人材や事務処理の詳細は少ない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    短納期・高品質・低価格という顧客ニーズに対応できる点や、海外・国内の競争激化の中での製品の位置づけが具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    海外市場へバンコク見本市出展、今後ヨーロッパや北米へのアプローチ、特殊品受注の強化など今後の展開は書かれるが、スケジュールは示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性40%
  • 新しさ・高付加価値2

    継手は一般的な分野だが、特殊継手や高圧継手の高付加価値化を図る方向性がわずかにうかがえる程度で、高水準の高付加価値化は明確でない。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    金属部品メーカー経由で工作機械・建機メーカーに納入される点は書かれるが、波及効果や雇用創出など国が補助する積極的理由は書かれていない。

  • 費用対効果3

    加工時間の短縮や製品1つあたりのコスト削減は書かれているが、補助金投入額に対する付加価値増加や費用対効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献1

    公開されている事例からは読み取れません。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    地方の継手メーカーとして東京営業所を設置し関東の引き合いに対応とあるが、地域の特性を活かした雇用や地域成長への言及は乏しい。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

海外市場への展開を進めるため、2016年にバンコクの見本市(メタレックス)に出展した。今後はヨーロッパや北米市場にもアプローチしたいと考えている。量産品の製造だけでなく特殊品の製造にも注力し、特殊品の受注を通じて他の仕事の受注にもつなげる狙いがある。社内では熟練者の技術の伝承を進め、新設備の稼働率を高めつつ、加工時間の短縮で緊急対応も可能になるため、設備のさらなる追加導入も予定している。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。