ものづくり補助金平成26年度製造業高知県

冷却機能付タンク導入による日本酒の生産効率と品質向上、競争力強化、短納期化

有限会社 濵川商店

成果タンク5基の増設により、純米酒や吟醸酒の生産量が1.2倍となった

この事例のポイント

  • 需要の増加に伴い生産量が増え、秋から初夏にかけて生産期間が長期化しており、気温の高い時期は温度管理が難しかった。
  • 発酵過程にあるモロミの温度を自動で調節できる冷却機能付発酵タンク5基を導入した。
  • タンク5基の増設により、純米酒や吟醸酒の生産量が1.2倍となった。冷却機能付発酵タンクの導入により、モロミの温度が自動で均一に保たれ、発酵が順調に進んで品質が向上し安定化した。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社 濵川商店
所在地高知県 田野町
業種飲料・たばこ・飼料製造業
技術分野製造環境
従業員数13人
資本金545万円
設立1953年

事業の背景

明治37年創業の酒造会社で、普通酒中心の造りから脱却し、高付加価値の特定名称酒が製品のほとんどを占める。平成3年から「美丈夫」ブランドを立ち上げ、酒米原料と造りにこだわった酒を製造・販売している。製造・流通・販売の品質管理を徹底し、業界内で高い評価を得ている。需要増によりリキュールの生産期間も延び、既存設備では供給が追いつかず、追随する他社に取って代わられる危険性もあった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力需要の増加に伴い生産量が増え、秋から初夏にかけて生産期間が長期化しており、気温の高い時期は温度管理が難しかった。
  • 品質・精度タンクごとに発酵の進み具合が違い、手動での冷却では目標温度から1〜2℃のずれが頻繁に生じていた。
  • 人手・技能モロミの状況を把握できるのは経験豊富な杜氏だけで、1日4回の冷水機のバルブ操作も手作業だった。
  • 生産能力既存設備では製造スケジュールが過密となり、供給不足により新規顧客獲得の好機や既存取引先の注文に応えられなかった。

やったこと

発酵過程にあるモロミの温度を自動で調節できる冷却機能付発酵タンク5基を導入した。タンクは内外2層構造で、外側の層に冷却剤を入れ、予め設定した温度に内蔵の温度センサーと連動して24時間自動で温度を管理する。自動制御システムにより目標温度との誤差は±0.2℃となり、外側と中心部の温度差もなくなった。タンク5基の増設により、純米酒や吟醸酒の生産量は1.2倍となった。

加工機冷却機能付発酵タンク

事業の効果

  • タンク5基の増設により、純米酒や吟醸酒の生産量が1.2倍となった
  • 温度誤差 1℃→0.2℃

冷却機能付発酵タンクの導入により、モロミの温度が自動で均一に保たれ、発酵が順調に進んで品質が向上し安定化した。タンク増設で純米酒や吟醸酒の生産量が1.2倍となり、取引先の注文に素早く対応できるようになって信頼につながった。1日4回の冷水機操作が不要になり、作業の時短と従業員の負担軽減、人為的ミスや事故の予防も期待できる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来の酒造りと品質管理の取組が背景にあり、増産設備導入の位置づけは読み取れるが、経営戦略上の明確な位置づけの記載は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    高付加価値の特定名称酒や「美丈夫」ブランドの強み、海外・東南アジア展開の方針はうかがえるが、競争優位性との関係は十分に説明されていない。

  • 課題の認識と解決4

    温度管理の困難、製造期間の延長、供給不足、新規顧客の機会損失という課題を整理し、冷却タンク導入で解決する流れが具体的に書かれている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    生産量が1.2倍となり、5年後に現在の1.2倍の出荷額を目指すと数字で目標が示されている。ただし付加価値額の増加目標は明示されていない。

  • 事業を進める体制2

    杜氏や正社員による丁寧な酒造りの体制はうかがえるが、補助事業を遂行する人材や事務処理体制の記載は少ない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    純米酒や吟醸酒の市場拡大、顧客からの注文増、高品質の評価が具体的に書かれ、ターゲットと選ばれる理由が読み取れる。

  • 事業化までの道筋3

    導入後の販路拡大計画や増産体制の整備は示されているが、中長期の課題検証や遂行スケジュールの詳細は書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    日本酒ブームで純米酒や吟醸酒が増加傾向とあるが、高水準の高付加価値化の具体的な位置づけは明示されていない。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    地域や雇用、波及効果への言及はわずかにうかがえる程度で、国が補助する積極的理由は具体的に示されていない。

  • 費用対効果2

    付加価値額や費用対効果の数値は示されず、温度誤差が±0.2℃になったという品質面の成果のみ読み取れる。

  • イノベーションへの貢献2

    自動制御システムの導入は読み取れるが、地域やサプライチェーン全体のイノベーションへの貢献は書かれていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    高知県田野町の酒蔵として地域の特性を述べているが、雇用創出や地域経済成長への牽引は具体的に書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

日本酒ブームで純米酒や吟醸酒は増加傾向にある。今後は近畿、中国、北海道、九州へ販路を広げ、東南アジアにも営業展開する。増産体制が整ったため、これまで断っていた新規取引を開始し、5年後には現在の1.2倍の日本酒出荷額を目指す。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。