ものづくり補助金平成26年度製造業高知県

だし抽出器導入による安全性の向上と生産量・売上の拡大

土佐食株式会社

成果煮出し・ろ過・冷却の所要時間 3.33時間→1.5時間

この事例のポイント

  • だしの抽出を手作業で行っているため、製造量を拡大できない状況にあった。
  • 従来は60ℓの大鍋3個に水と宗田節を入れ、12時間漬け置きした後、2時間煮出し、20分ろ過、1時間冷却しており、合計で180ℓの抽出に15時間20分を要していた。
  • 煮出し・ろ過・冷却の所要時間 3.33時間→1.5時間。だし抽出器の導入により煮出し・ろ過・冷却が大幅に短縮され、1日240〜360ℓの抽出が可能となり生産性が向上した。

事業者のプロフィール

事業者名土佐食株式会社
所在地高知県 土佐清水市
業種食料品製造業
技術分野製造環境
従業員数190人
資本金7,300万円
設立1993年

事業の背景

主力商品のかつおだしを使った商品は香港・中国を主な販路として売上を伸ばしていた。土佐清水市は宗田節の全国シェアの8割を占める産地だが、近年はメジカの魚価が下落し漁師が減って漁獲量も減少していた。売上の大半はペットフードのOEM商品が占めていた。2013年に和食がユネスコ無形文化財に登録されてから和食への注目が高まっていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力だしの抽出を手作業で行っているため、製造量を拡大できない状況にあった。
  • 品質・精度大鍋による抽出では気温などの作業条件によって味にバラつきが生じていた。
  • その他外気に触れることによる衛生面のリスクや、火傷の危険、重い鍋を持ち上げる従業員の負担があった。

やったこと

従来は60ℓの大鍋3個に水と宗田節を入れ、12時間漬け置きした後、2時間煮出し、20分ろ過、1時間冷却しており、合計で180ℓの抽出に15時間20分を要していた。補助事業では、煮出し・ろ過・冷却までを全自動で行う密閉式のだし抽出器一式を導入した。密閉式のため一定の圧力と一定の温度で抽出でき、高温の鍋や液体に触れる作業をなくした。導入後は煮出し・ろ過・冷却が1時間30分で完了し、1回に120ℓを抽出できるようになった。

加工機だし抽出器一式

新しい製品・サービス:宗田だしを使った卵焼きの素の増産に加え、宗田だしシリーズとして土佐おでんだし、土佐風鍋の素、かける丼たれ、とろりかけだし4種などを開発・販売した。

事業の効果

  • 煮出し・ろ過・冷却の所要時間 3.33時間→1.5時間

だし抽出器の導入により煮出し・ろ過・冷却が大幅に短縮され、1日240〜360ℓの抽出が可能となり生産性が向上した。密閉式の装置により抽出の品質が安定し、衛生管理上のリスクも低減された。高温の鍋を扱う作業がなくなったことで安全性が向上し、通常3人で行っていた作業をほぼ無人化できた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性4

    手作業のだし抽出が製造量拡大の制約だと説明され、卵焼きの素の開発経緯や宗田節加工の歴史が事業の流れとして示されている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    中国・香港で認知度が上がり、アメリカ市場の開拓も計画と書かれているが、市場データや自社の強みを数値で示す記述は少ない。

  • 課題の認識と解決4

    手作業で1回約15時間、180ℓ抽出に15時間20分かかる課題を示し、抽出器導入後は1回120ℓ、1日240~360ℓに増えたと具体的に書かれている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    1日240~360ℓの抽出が可能になったと生産量の数値が示されているが、売上や付加価値額の目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員の作業負担や女性一人で部品洗浄を対応できる点はうかがえるが、補助事業を遂行する体制や人材計画の記述は限られている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    卵焼きの素や宗田だしシリーズの製品内容、化学調味料不使用などの特徴、顧客として香港・中国の店舗が挙げられている。

  • 事業化までの道筋3

    今後は隣室の充填機を自動調合機に連結し製造ラインを作る計画とアメリカでの試食プロモーションが書かれているが、スケジュールは明記されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    宗田節のだしを使った卵焼きの素など独自性はうかがえるが、同じ分野での高水準の高価格化を示す記述は薄い。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    メジカ漁獲減少による漁師の減少や地元の魚価安定、地域活性化への言及があり、地域への波及効果がうかがえる。

  • 費用対効果3

    原材料費と人的労力の削減、作業時間の大幅短縮が書かれているが、補助金額に対する費用対効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    密閉式の全自動抽出器や連結ラインの導入は述べられているが、先端的デジタル技術や新ビジネスモデルへの言及は見当たらない。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    和食の海外需要拡大という成長市場への進出がうかがえるが、日本経済の構造転換に資するという記述はない。

  • 地域経済への波及4

    土佐清水市産の宗田節を原料に地元加工を続け、地域の漁業と雇用の維持に触れており、地域特性を活かした事業であることが読み取れる。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

現在の隣室の自動充填機を自動調合機に連結して一連の製造ラインを作り、生産増の体制を強化する。アメリカ国内の日系スーパーで試食販売を行い、海外進出を進める。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。