ものづくり補助金平成26年度製造業福岡県

複合加工機導入によるリードタイムの短縮と高精度化への取り組み

有限会社飯野鉄工所

成果芯ズレ 0.02mm→0.005mm

この事例のポイント

  • 複数の工程を経るため、工程間の待ち時間が発生してリードタイムが長くなっていた。
  • 従来は旋盤加工とフライス加工を別の機械で行っていたが、複合加工機能をもつNC旋盤を導入し、複数の工程を1台で加工する体制を整えた。
  • 芯ズレ 0.02mm→0.005mm。複合機による工程集約により、工程間の待ち時間がなくなり、リードタイムが短縮された。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社飯野鉄工所
所在地福岡県 直方市
業種生産用機械器具製造業
技術分野精密加工
従業員数15人
資本金300万円
設立1892年

事業の背景

同社は精密部品の切削及び研削加工を手掛け、旋盤加工、マシニングセンター、円筒研削、内面研削まで一貫して行い、精度の高い部品加工技術を持つ。以前は工作機械や一般産業機械の部品が主力だったが、金型メーカーや半導体装置メーカーからの依頼が増えている。受注先も九州圏内から中国、関西、名古屋地区へ広がっている。単一部品の大量生産は海外に流れやすく、小ロットで高精度な加工へのニーズが国内で高い。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力複数の工程を経るため、工程間の待ち時間が発生してリードタイムが長くなっていた。
  • 品質・精度工程ごとに掴み替えが必要で、その度に精度が落ちていた。
  • 人手・技能各工程の加工時間が短く、機械の多台持ちがやりにくかった。
  • 人手・技能旋盤とマシニングセンター・フライス加工でオペレーターが2人必要だった。

やったこと

従来は旋盤加工とフライス加工を別の機械で行っていたが、複合加工機能をもつNC旋盤を導入し、複数の工程を1台で加工する体制を整えた。これにより、従来4工程(NC旋盤、フライス加工、焼入、円筒研削・内面研削)に分かれていた加工の一部を1工程で行えるようになった。導入後は、複数工程の集約による掴み替え回数の削減、機械の連続加工時間の延長、機械の多台持ちの実施が可能になった。

加工機複合加工機能をもつNC旋盤

事業の効果

  • 芯ズレ 0.02mm→0.005mm

複合機による工程集約により、工程間の待ち時間がなくなり、リードタイムが短縮された。掴み替えが不要になって工程間の位置ずれがなくなり、高精度加工が実現した。1台の機械で連続加工する時間が長くなり、機械の多台持ちがしやすくなってコスト削減と生産性向上が図られた。生産性の向上は労働負担の軽減など労働環境の改善にもつながっている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性3

    旋盤・マシニングセンター・円筒研削など一貫加工の強みと、半導体・金型分野への受注拡大が書かれており、過去の取組との連続性は読み取れるが、経営戦略上の位置づけの記述は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    九州圏内から中国・関西・名古屋へ受注先が広がったこと、円筒研削を含む一貫加工が強みとして具体的に書かれており、競争優位が読み取れる。

  • 課題の認識と解決5

    工程間の待ち時間、掴み替え、機械の多台持ちの困難など4つの課題を挙げ、複合加工機で4工程を1工程にまとめ、芯ズレを0.02mmから0.005mm以下に低下させたと数字で示されている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    芯ズレの数値改善や多台持ちによるコスト削減は書かれているが、付加価値額や賃上げの目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制2

    オペレーターが2人必要だった課題が挙げられているのみで、導入後の人材配置や事務処理体制の記述は読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    小ロットで高精度な部品への需要、金型・半導体装置メーカーからの依頼増加など、ニーズと選ばれる理由が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    大型部品の内製化や自動車関連部品の受注拡大など今後の方針は書かれているが、スケジュールや課題解決の方法は示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    精密部品の一貫加工は差別化の要素として書かれているが、同分野での高付加価値化・高価格化の水準は具体的に示されていない。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    国内の小ロット高精度部品の需要や、北部九州自動車産業の推進構想に触れているが、雇用創出や波及効果の記述は薄い。

  • 費用対効果3

    生産性向上とコスト削減、リードタイム短縮は書かれているが、補助金投入額に対する付加価値増加の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    複合加工機の導入は示されるが、デジタル技術の活用や新しいビジネスモデルへの言及はうかがえる程度にとどまる。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    半導体装置や自動車関連など成長分野への進出がうかがえるが、日本経済の構造転換への言及はない。

  • 地域経済への波及2

    直方市の企業として九州圏内の産業振興に触れているが、地域の経済成長を牽引する具体的な記述は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今回の設備導入で短納期化の要望に応える体制が整った。今後は円筒研削及び内面研削を含めた加工品の受注量の拡大を図り、半導体製造用部品に加えて自動車関連部品も積極的に取り入れる方針である。大型部品は現在協力工場で対応しているが、大型化も内製化して顧客満足度を高めたいと考えている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。