ものづくり補助金平成25年度製造業富山県

将来の航空機部品受注増を想定した24時間連続無人稼働体制の確立

株式会社石金精機

成果生産量 1倍→2倍

この事例のポイント

  • 航空機部品の受注増に応えて採算を確保するには、従来の生産体制を改善し、24時間連続無人稼働の生産体制を確立することが不可欠だった。
  • 5軸制御立形マシニングセンタ「MAM72-35V」を導入し、主翼部品をすべて1台の加工機で生産できるようにした。
  • 生産量 1倍→2倍。24時間連続無人稼働が実現し、航空機関連部品の生産体制が大幅に改善された。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社石金精機
所在地富山県 富山市
業種生産用機械器具製造業
技術分野精密加工
従業員数78人
資本金3,000万円
設立1969年

事業の背景

1951年創業の測定器具専門工場で、工作機械や半導体装置などの精密機械部品の製作で業績を伸ばしてきた。リーマンショック後は全社売上の7~8割を工作機械事業が占めていたため、その依存からの脱却を図り、2011年3月に航空機関連部品の製造に着手した。世界の航空機需要は年平均5%程度増加し、20年後には2.5倍以上になると予測されている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力航空機部品の受注増に応えて採算を確保するには、従来の生産体制を改善し、24時間連続無人稼働の生産体制を確立することが不可欠だった。
  • 品質・精度航空機部品は特に高度な品質が求められるため、主翼部品などを安定した品質で量産できる体制を整える必要があった。
  • 納期・工程顧客は納期とコストの両面で対応を求めており、長時間無人運転ができる高精度の加工機で応える必要があった。

やったこと

5軸制御立形マシニングセンタ「MAM72-35V」を導入し、主翼部品をすべて1台の加工機で生産できるようにした。機械はパレット(作業台)を32個備え、工具は通常60本程度のところ160本を備えている。材料のセッティングや工具交換にかかる段取り時間も短縮され、加工速度も向上した。これにより材料の入れ替えなしで24時間連続無人稼働が可能になり、大型部品の加工にも対応できるようになった。

加工機5軸制御立形マシニングセンタ「MAM72-35V」

事業の効果

  • 生産量 1倍→2倍
  • 売上 1倍→5倍
  • 工具の備え本数 60本→160本
  • 製作部品の種類 400点→700点

24時間連続無人稼働が実現し、航空機関連部品の生産体制が大幅に改善された。生産量は従来の2倍となり、売上は導入前の約5倍に伸びた。製作部品の種類も300品種増えて700点となり、大手重工から機体部品加工の新規受注を獲得した。安定した品質で量産でき、短納期にも対応できるようになった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性4

    2011年に航空機部品に着手し2013年にJIS Q9100取得、2014年に専用新工場建設と経緯が具体的で、一貫した事業展開が読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    世界の航空機需要の年平均5%増や2.5倍予測など市場は示されるが、自社の強み・弱みと競争優位の関係は説明が薄い。

  • 課題の認識と解決4

    採算ベースの受注数量と生産数量増のため24時間無人稼働が不可欠とし、生産量2倍・売上5倍と課題解決の成果が数字で示されている。

事業の実現可能性68%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    月最大440時間稼働を700時間に引き上げ、生産量2倍、売上約5倍、航空機割合を1割から2割へと数値目標と実績が明示されている。

  • 事業を進める体制3

    社内で材料手配から加工・検査まで一貫対応できる体制や社員数78人の記載はあるが、プログラマー育成は課題とされ、体制の具体性は限定的。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    航空機部品の高品質・短納期ニーズ、複数工程をまとめて発注する顧客傾向、大手重工からの新規受注を挙げ、選ばれる理由が示されている。

  • 事業化までの道筋3

    2016年時点で休日稼働や700時間稼働への引き上げ、2年後の割合目標などスケジュールはあるが、課題解決の具体的方法は示されていない。

  • 財務と資金の調達2

    航空機事業は設備投資や認証取得で資金負担が重いとの記述のみで、資金調達の見込みや財務状況は示されていない。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    航空機部品は高度な品質が求められる分野と述べられるが、普及度や高水準の高付加価値化の裏付けは限定的。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    国産ジェット機MRJや防衛省向け輸送機の市場拡大は触れられるが、経済波及や雇用創出など国が補助する理由の記述は乏しい。

  • 費用対効果3

    生産量2倍、売上約5倍、700点の部品種類増と効果は数字で示されるが、補助金額と費用対効果の関係は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    24時間無人稼働や大型部品対応は示されるが、デジタル技術やサプライチェーン全体への貢献は具体的に書かれていない。

政策面60%
  • 成長分野への進出3

    航空機産業は市場拡大が期待される分野として新事業の柱と位置づけられ、業態転換の方向性は読み取れる。

  • 地域経済への波及3

    富山県内6社による航空機部品共同受注グループ設立などの地域連携が示されるが、雇用や地域成長への定量的効果は示されていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

2年後に全社売上に占める航空機部品の割合を2割へ引き上げ、今後は海外展開にも挑む。休日も無人でフル稼働させる計画で、安定したプログラムを作成するプログラマーの育成が今後の課題である。また、2016年4月に県内メーカー6社と「富山県航空機部品共同受注グループ“ソラトヤマ”」を設立し、ネットワークを活かして受注拡大を目指す。

  • 目標:1カ月当たりの稼働時間 440時間→700時間
  • 目標:全社売上に占める航空機部品の割合 10%→20%

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。