ものづくり補助金平成26年度製造業佐賀県

柄生地裁断ラインへのCAD/CAMシステム導入による生産プロセス革新事業

株式会社エルアン

成果柄生地裁断の作業人数 8名→4名

この事例のポイント

  • 裁断工程は手作業が多く非効率で、熟練工への依存により技術の継承が課題になっていた。
  • 裁断工程に、プロジェクター投影とカメラによる柄合わせ機能を備えたCAD/CAMシステムを導入し、専用ラインを増設した。
  • 柄生地裁断の作業人数 8名→4名。柄生地と無地の裁断可能枚数が増加し、裁断工程の余剰人員を縫製工程へ配置して工場全体の生産能力を高めることが可能になった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社エルアン
所在地佐賀県 唐津市
業種繊維工業
技術分野機械制御,情報処理,精密加工
従業員数200人
資本金4,000万円
設立1976年

事業の背景

国内繊維産業の製品出荷額は現在ピーク時の1/3程度に落ち込んでいる。輸入品の流入、海外ファストファッションの進出、国内SPAの発展により衣料品の平均単価も低下しており、安価なファストファッションと高級ブランドへの需要の二極化が進行している。当社は百貨店を中心とした販売網を持つ一流ブランド向けのプレタポルテ(高級既製服)を生産する縫製工場である。デザインや素材の多様化により、柄物生地が全体の30%程度と増加傾向にあった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能裁断工程は手作業が多く非効率で、熟練工への依存により技術の継承が課題になっていた。
  • 生産能力柄物生地は縫製時に柄合わせが必要で、無地に比べて約5倍の作業工数がかかっていた。
  • コスト・採算柄生地と無地の加工賃にほとんど差がなく、柄合わせの手間をコストとして価格に転嫁できなかった。
  • 納期・工程短納期・小ロットの柄生地オーダーが集中する時期には対応しきれず、オーダーを断るケースがあった。

やったこと

裁断工程に、プロジェクター投影とカメラによる柄合わせ機能を備えたCAD/CAMシステムを導入し、専用ラインを増設した。プロジェクター装置とカメラによる柄合わせ機能付の積層式自動裁断機を導入し、タッチパネル式の操作で簡単に柄合わせができるようにした。延反工程では、伸縮性のある生地でも裁断ズレが生じないようテンションフリーな生地送り装置を備えた延反機を導入した。これにより延反速度を大幅に向上させ、裁断ラインの効率化と省力化にあわせて縫製ラインを強化した。

ソフトCAD/CAMシステム
加工機積層式自動裁断機(プロジェクター装置・カメラ柄合わせ機能付)
加工機延反機(テンションフリーな生地送り装置付)

事業の効果

  • 柄生地裁断の作業人数 8名→4名

柄生地と無地の裁断可能枚数が増加し、裁断工程の余剰人員を縫製工程へ配置して工場全体の生産能力を高めることが可能になった。延反速度が大幅に向上し、多品種小ロット生産と短納期に即応できる生産ラインを構築できた。熟練工に頼らずに済むため技術継承の課題が解消され、不良率の低減、コスト削減、効率化が実現し、縫製部門の人員配置の最適化と技術力向上につながった。納期の問題で受けられなかった仕事も受注できるようになり、柄合わせの機械化により品質向上も評価されている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性3

    柄合わせ機械化や裁断・縫製ライン強化が、これまでの生産管理への先行投資の延長として書かれている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    柄物比率30%、柄生地の作業工数が無地の5倍、加工賃が無地と変わらない点など、市場と自社の弱みが具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決5

    柄生地裁断が従来8名体制から4名に、柄物の作業工数が5倍と数字で課題が示され、機械化で解決している。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    裁断体制の8名から4名への削減など数字はあるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    熟練工の技術継承課題に触れるが、補助事業を遂行する人材や事務体制の記述は少ない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    多品種小ロット・短納期対応、柄合わせ品質向上を顧客評価として挙げ、選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    今後は別工程のラインを機械化する方針が示されているが、スケジュールや課題解決の方法は詳しくない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    プレタポルテの高付加価値生産に特化する点は書かれているが、同分野の高水準化を示す具体的数値は乏しい。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用3

    国内繊維産業の製品出荷額がピーク時の1/3程度と示され、産業構造の課題に触れている。

  • 費用対効果4

    柄生地裁断の8名から4名への削減、歩留まり向上、コスト削減など費用対効果に関わる記述がある。

  • イノベーションへの貢献3

    CAD/CAMとカメラ柄合わせの導入は技術活用だが、地域やサプライチェーン全体への波及は書かれていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    国内繊維産業の縮小と二極化に触れるが、構造転換に資する進出分野については書かれていない。

  • 地域経済への波及2

    唐津の拠点で雇用を維持する記述はうかがえるが、地域経済の牽引としての具体性は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

来年には創業から50周年を迎える。今後は別工程のラインを機械化し、さらにお客様の要望に応えられる体制をつくりたいとしている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。