ものづくり補助金平成26年度製造業大分県

希少原料を使用可能にする新たなだし入りみそ加熱殺菌装置の導入

二豊味噌協業組合

成果ホスファターゼ活性(生味噌加熱前) 2.3酵素活性→0.001酵素活性

この事例のポイント

  • だし入り味噌の製造時、だし液に含まれるうま味成分の核酸が味噌中の酵素ホスファターゼで分解され、製品化後約一ヶ月で核酸が製造時の半分程度まで減少していた。
  • 味噌を85℃以上に蒸気加熱する、だし入り味噌加熱殺菌機を導入した。
  • ホスファターゼ活性(生味噌加熱前) 2.3酵素活性→0.001酵素活性。85℃加熱によりホスファターゼがほぼ完全に失活し、うま味成分の核酸の分解が抑えられた。

事業者のプロフィール

事業者名二豊味噌協業組合
所在地大分県 臼杵市
業種食料品製造業
技術分野バイオ,製造環境
従業員数53人
資本金1.272億円
設立1972年

事業の背景

二豊味噌協業組合は、富士甚醤油株式会社を中心とした県内22社が出資して誕生した味噌の製造工場である。臼杵市は醸造の町として知られ、市内中心部に多くの味噌・醤油メーカーが立ち並ぶ。味噌の市場自体は縮小しているが、だし入り味噌は横ばいの状態が続いており、味噌全体に対するだし入り味噌の割合は年々増えている。だし入り味噌は即席みそ汁に使われることも多く、生産量は全国規模の大手メーカーが突出している。一方、地元の中小メーカーは地域性の強い味噌の世界で大手に市場を独占されることはないが、大手と中小では設備面で大きな差がある。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度だし入り味噌の製造時、だし液に含まれるうま味成分の核酸が味噌中の酵素ホスファターゼで分解され、製品化後約一ヶ月で核酸が製造時の半分程度まで減少していた。
  • コスト・採算核酸の減少を見越してだし液を多めに添加していたため、だしのコストが余計にかかっていた。
  • 生産能力既存の製造設備では、だしの風味があまり生かされておらず、大手メーカーとの設備面の差が大きかった。

やったこと

味噌を85℃以上に蒸気加熱する、だし入り味噌加熱殺菌機を導入した。この装置はスクリューで味噌を殺菌機の管内に押し込み、内部の数10本の細かな管に蒸気を通して加熱する仕組みである。これにより従来の78℃より高温での殺菌が可能となり、味噌中の酵素ホスファターゼを失活させられるようになった。だし液の添加を工程の最初から最後へ移すことが可能になり、加熱によってだし本来の風味が損なわれない製造を目指した。

加工機だし入り味噌加熱殺菌機

新しい製品・サービス:だし本来の風味を生かした、地産地消のだし入り味噌

事業の効果

  • ホスファターゼ活性(生味噌加熱前) 2.3酵素活性→0.001酵素活性
  • 製造20日後の核酸残存率 58%→98%

85℃加熱によりホスファターゼがほぼ完全に失活し、うま味成分の核酸の分解が抑えられた。製造20日後の核酸残存率は58%から98%へ向上し、余分なだし液の添加が不要になった。製造時のうま味が保たれただし入り味噌の製造が可能になり、品質保持と高付加価値商品の生産性の両面で競争力が強化された。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.4 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    地元の醸造の町で味噌を製造してきた背景があり、だし入り味噌の製造を継続してきた取組として一貫性がうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    だし入り味噌の割合が増え横ばいという市場動向と、大手に比べ設備面で差があるという自社の弱みが書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    核酸が一ヶ月で約半分に減るという課題を、85℃加熱殺菌装置の導入で解消する具体策が示されている。

事業の実現可能性40%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    核酸残存率が58%から98%に改善したと数字で示されているが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    地産地消のだし入り味噌という特徴と郷土色豊かな商品作りを目指す点は読み取れるが、顧客ターゲットは具体性が薄い。

  • 事業化までの道筋2

    今後は希少原料のだしを使った味噌を開発したいという方向性はうかがえるが、スケジュールや解決方法は書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    だし入り味噌は即席みそ汁などで生産が拡大し、小ロット・高付加価値の商品展開を目指すと書かれている。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    地域の特産物の使用や醸造の町の味噌文化を支える点はうかがえるが、経済波及や雇用創出の数値は書かれていない。

  • 費用対効果3

    余分なだし液の添加が不要になり、だしのコストを抑えられると書かれているが、費用対効果の数字はない。

  • イノベーションへの貢献1

    公開されている事例からは読み取れません。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    地域の特産物を使い地域色豊かな味噌を開発する点から、地域の特性を活かした取組がうかがえる。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

地産地消のだし入り味噌を開発し、郷土色豊かな「顔の見える」商品作りを目指す。希少原料のだしを使っただし入り味噌の開発を進め、小ロット・高付加価値の商品展開で地元メーカーの強みを生かす。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。