ものづくり補助金平成27年度製造業山形県

日本酒の品質向上と新商品開発のための、微炭酸ガス充填機の導入

冨士酒造株式会社

成果充填ラインの作業人数 6名→3名

この事例のポイント

  • 日本酒市場の縮小の中で売上が減少傾向にあり、販路を広げる必要があった。
  • 酒造りを終えた後の充填(ビン詰)工程で、酒に微炭酸ガスを事前注入するための微炭酸ガス充填機を導入した。
  • 充填ラインの作業人数 6名→3名。季節限定商品の開発により、毎月違う味とラベルの酒を製造販売するようになった。

事業者のプロフィール

事業者名冨士酒造株式会社
所在地山形県 鶴岡市
業種飲料・たばこ・飼料製造業
技術分野製造環境
従業員数14人
資本金4,000万円
設立1778年

事業の背景

当社は10年前まで地元のみを市場としており、売上は減少傾向にあった。アメリカへの飛び込み営業や、地元から東京市場へのシフトを進めた結果、品質が評価され売上が増加した。東京の主要取引先の助言を受けて四季醸造を開始し、夏場は殺菌しない生のフレッシュさと発酵由来のガス感が好まれるため、限定商品の開発に設備導入を行った。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力日本酒市場の縮小の中で売上が減少傾向にあり、販路を広げる必要があった。
  • 新製品・新技術若年層に好まれる微炭酸のガス感がある商品を作るための設備がなかった。
  • 人手・技能従来の充填ラインは距離が長く、作業に6名を要していた。
  • 品質・精度従来の充填機は量に微妙な差が出ることがあり、ロスも多かった。

やったこと

酒造りを終えた後の充填(ビン詰)工程で、酒に微炭酸ガスを事前注入するための微炭酸ガス充填機を導入した。この機械は微炭酸専用ではなく、炭酸ガスを注入せずに通常充填もできるため、炭酸充填と通常充填の2ラインを置く必要がない。あわせて、タンク貯蔵した酒をポンプでカーボネーター装置に送り、二酸化炭素を溶け込ませるカーボネーター装置を導入した。

  • 加工機微炭酸ガス充填機カーボネーター装置

新しい製品・サービス:毎月味とラベルを変える季節限定の微炭酸生酒(四季醸造)

事業の効果

  • 充填ラインの作業人数 6名→3名
  • 以前はかなりのロスがあったが、現在は設定通りの量でロスはゼロになった。

季節限定商品の開発により、毎月違う味とラベルの酒を製造販売するようになった。導入した充填機は通常充填と微炭酸充填を同じラインで切り替えられるため、夏場は微炭酸生酒、それ以外は定番商品に使用している。充填機は年間を通じて稼働率が高く、高品質な商品を提供できるようになった。作業人数の削減と充填ロスの解消により、品質と生産性が向上し、売上も増加した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    10年前の地元市場中心から東京・海外へ販路を広げた経緯と、季節限定商品開発の流れが書かれており、一貫性はうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    東京の酒問屋の助言や、和品質が評価され売上増につながったことが書かれ、強みの記述はあるが分析は薄い。

  • 課題の認識と解決3

    生産が追いつかない状況を課題として挙げ、製造棟建築で解決する方針が書かれているが、数値目標はない。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額の増加目標や賃上げ目標は書かれていない。売上増とロスゼロの記述のみ。

  • 事業を進める体制2

    従業員14名や作業人数の変化は書かれているが、補助事業を遂行する体制や事務能力の記述は乏しい。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    若年層のガス感志向や夏場のフレッシュさという顧客ニーズが示され、選ばれる理由は一定程度読み取れる。

  • 事業化までの道筋2

    今後の展望として製造棟建築の計画が示されるが、スケジュールや課題解決の方法は書かれていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    微炭酸の生酒は一般的な日本酒の分野で高水準の差別化を図る商品と読み取れ、ガス感志向という具体的な特徴も書かれている。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    地元の酒蔵の数が減少する中での販路拡大や、海外輸出での雇用・需要創出がわずかにうかがえる程度。

  • 費用対効果3

    3名への省人化、6名から3名、ロスゼロの効果が書かれ費用対効果はある程度読み取れるが、投資額や金額換算はない。

  • イノベーションへの貢献1

    公開されている事例からは読み取れません。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    四季醸造の開始など従来の冬季醸造からの転換が書かれ、構造転換との関連がわずかにうかがえる。

  • 地域経済への波及3

    山形県鶴岡市の地酒蔵として地域の特性を活かし、大都市や海外へ販路を広げている点が読み取れる。

今後の展望

微炭酸の開発商品も定番商品も年間を通じて需要が伸び、生産が追いつかない状況になりつつあるため、新たに製造棟の建築を計画している。販路は東京を中心に大阪、北海道、仙台などの大都市圏に広がっており、海外では韓国、シンガポール、イギリス、香港、中国、タイへと広がっている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。