ものづくり補助金平成27年度製造業福島県

クリンチング・ファスナを用いたVEによる医療機器用部品の開発

株式会社永沢工機

成果作業時間合計 54分→16分

この事例のポイント

  • 多品種・異形のファスナ圧入技術が蓄積されておらず、ファスナの多様化によりVE(部品数の削減など)が進まない状況にあった。
  • 板金の下穴にファスナを圧入する新たな機械装置「ヘガーインサーションマシン」を導入した。
  • 作業時間合計 54分→16分。作業時間合計が54分から16分へと大幅に短縮され、初品以降の条件設定や試し打ちが不要になった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社永沢工機
所在地福島県 福島市
業種業務用機械器具製造業
技術分野接合・実装
従業員数56人
資本金1,000万円
設立1965年

事業の背景

金属部品の軽量化・小型化が進み、クリンチング・ファスナを鉄板に圧入する仕様が増えてきた。現有の機械装置で対応してきたが、ファスナの多様化によりVE(Value Engineering)が進まない状況にあった。医療機器に使用される金属加工部品も受注しているが、売り上げに占める割合は高くない。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力多品種・異形のファスナ圧入技術が蓄積されておらず、ファスナの多様化によりVE(部品数の削減など)が進まない状況にあった。
  • 品質・精度板厚によるバラつきを減らし、薄板でも圧入強度を確保する必要があった。
  • 新製品・新技術板金の形状や圧入位置に制約されない工法への改善が求められていた。
  • 人手・技能作業の安全が確保された工法にすることが課題であった。
  • 新製品・新技術医療機器など新規分野への参入を目指していた。

やったこと

板金の下穴にファスナを圧入する新たな機械装置「ヘガーインサーションマシン」を導入した。圧力制御機構や打ち漏れ検出機能を備え、加工領域が広いことが特長である。4種類のファスナを13ヵ所に圧入する条件で、従来機と新型機の作業時間を比較した。従来機はファスナの品種ごとにストロークで圧入条件を設定していたが、新型機は初品のみ圧力を設定すればよく、初品以降の条件設定と試し打ちが不要になった。加圧力と加圧保持時間を設定することで板厚に左右されず、圧入寸法のバラつきを0.08mmから0.04mmに圧縮した。J型フレームを取り付けるとファスナ圧入領域の制約が軽減され、40~50点の物件に対応可能になった。

加工機ヘガーインサーションマシン

事業の効果

  • 作業時間合計 54分→16分
  • 圧入寸法のバラつき 0.08mm→0.04mm

作業時間合計が54分から16分へと大幅に短縮され、初品以降の条件設定や試し打ちが不要になった。板厚に左右されず圧入寸法のバラつきが縮小し、均一な品質が確保された。鉄板面からの凸量が少ないため抜け強度が高まった。40~50点の物件に対応可能となり、医療機器分野への参入とVE提案による受注機会の拡大を目指している。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性2

    過去の取組や事業との一貫性は読み取れず、既存の金属加工事業への新型機導入という程度しか記載がない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    医療機器分野の参入を見越す一方、売上比率は決して高くないとあり、外部環境と自社強みの関係は概ね読み取れるが具体性が薄い。

  • 課題の認識と解決4

    課題は多品種・異形のファスナ圧入技術、板厚によるバラつき、工法制約として具体的に示され、作業時間54分から16分の改善で対応する計画になっている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    作業時間70%減の改善実績はあるが、付加価値額や賃上げの目標値は記載されておらず実現可能性の評価は限定的。

  • 事業を進める体制3

    設計営業・製造・品質保証の各部門からプロジェクトチームを選出していると記載され、体制の一端はうかがえるが人材の能力までは不明。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    医療機器メーカーとのパイプや新規顧客開拓の必要性は述べられているが、顧客ターゲットやニーズの裏付けは数字で示されていない。

  • 事業化までの道筋3

    VE活動の推進にエビデンス収集を続けるとあるが、スケジュールや課題解決の具体的な段取りは示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    医療機器用部品は高付加価値分野として示されるが、高水準の高価格化を裏付ける記述は薄い。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    医療機器分野の市場規模拡大と安定が見通せると記載され、新たな需要創出の方向性はうかがえるが具体性は薄い。

  • 費用対効果4

    作業時間54分から16分へ70%減、圧入寸法のバラつきを0.08mmから0.04mmに圧縮と数字で効果が示されている。

  • イノベーションへの貢献2

    取引先への発信やVE提案は述べられているが、デジタル技術やサプライチェーン全体へのイノベーション貢献は読み取れない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    医療機器分野への進出が示されるが、日本経済の構造転換に資する文脈までは書かれていない。

  • 地域経済への波及2

    福島市の事業者として記載はあるが、地域の特性を活かした雇用や地域成長への言及は乏しい。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

作業効率アップと品質確保に努め、唯一無二のブランド価値を追求する。医療機器に使用される金属加工部品の売り上げ割合を高め、既存取引先・医療機器メーカーとのパイプを太くするとともに、新たな需要に応えられる体制を整える。市場規模は拡大し安定が見通せるため、高度な加工技術力を追求していく。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。