ものづくり補助金平成27年度製造業福島県

小規模製造場における高品質果実酒製造技術の確立事業

ふくしま農家の夢ワイン株式会社

この事例のポイント

  • 製造工程の各種データを製造担当者が手作業で計測・記録しており、作業効率が低下して生産量が伸び悩んでいた。
  • 製造工程の計測に必要な計測器と生産設備を導入し、原料、成分、温度、廃棄物などを工程ごとに計測できるようにした。
  • 新たな計測器の導入で、従業員の経験値だけに頼らない再現性の高い製造方法が確立された。

事業者のプロフィール

事業者名ふくしま農家の夢ワイン株式会社
所在地福島県 二本松市
業種飲料・たばこ・飼料製造業
技術分野バイオ
従業員数3人
資本金2,190万円
設立2012年

事業の背景

二本松市旧東和地区は養蚕や葉たばこの産地だったが、生産縮小規制や後継者不足により産業が衰退し、畑が荒れていた。有志8名が地域活性化を目指してぶどう畑を新たに耕し、2012年にワイン製造会社を設立した。収穫までに約3年かかるため、当初は荒れた畑の抜根作業からのスタートだった。東日本大震災による風評被害などの苦難もあった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力製造工程の各種データを製造担当者が手作業で計測・記録しており、作業効率が低下して生産量が伸び悩んでいた。
  • 品質・精度品種や畑、収穫年による出来の違いがある中で、高品質な商品を安定して提供するためにはデータ管理が重要だが、手作業では緻密なデータ管理が難しかった。

やったこと

製造工程の計測に必要な計測器と生産設備を導入し、原料、成分、温度、廃棄物などを工程ごとに計測できるようにした。発酵温度・殺菌処理の管理ができる計測器と生産設備を導入し、安定した品質管理と製造コストの低減、生産性の向上を目指した。計測器の導入により、従業員の経験値だけに頼らない再現性の高い製造方法を確立した。生産設備の導入により、周囲環境に左右されない安定した発酵温度管理と殺菌処理を実現した。

検査測定計測器(発酵温度・殺菌処理の管理ができるもの)
加工機生産設備(発酵温度管理・殺菌処理用)

事業の効果

新たな計測器の導入で、従業員の経験値だけに頼らない再現性の高い製造方法が確立された。生産設備により周囲環境に左右されない安定した発酵温度管理と殺菌処理が実現した。2017年にJR東日本の豪華寝台列車で赤ワイン「一慶」と羽山果樹組合で栽培したりんごのシードルが取り扱われることになり、県外市場への販路拡大が期待される。客観的データに基づく製法の確立により、従業員のスキルアップや後継者育成にも取り組みやすくなった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    旧東和地区の産業再生のため有志8名がワイナリーを設立したと書かれ、地域活性化の経緯は読み取れるが、経営戦略上の位置付けは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性2

    県内で果実酒製造に5社が取り組むなど市場動向に触れるが、自社の強みや競争優位性を具体的に示す記述は乏しい。

  • 課題の認識と解決4

    手作業によるデータ記録で作業効率が下がり生産量が伸び悩んでいたと課題を具体的に認識し、計測器と生産設備の導入で解決を図ったと読み取れる。

事業の実現可能性40%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    高付加価値化や賃上げの目標値は示されていないが、ぶどうの収穫量増加や製造品目の増加は記述されている。

  • 事業を進める体制2

    従業員3人の小規模体制で、製造担当者が山梨県で経験を積んできたとあるが、補助事業の遂行体制は具体的に書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    JR東日本の豪華寝台列車で赤ワインとシードルが取り扱われたと書かれ、選ばれる理由の一端は読み取れるが顧客ターゲットの整理は薄い。

  • 事業化までの道筋2

    県外市場へのアプローチや新商品企画への時間確保が期待されると書かれるが、遂行方法やスケジュールは示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    全国的に果実酒消費が増え、第7次ワインブームと書かれるが、高水準の高付加価値化や高価格化を示す記述は薄い。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    旧東和地区の産業衰退と荒廃した畑の再生という地域課題が書かれ、地域経済への波及の意図はうかがえる。

  • 費用対効果2

    補助金額や付加価値額の増加率などの費用対効果を示す数字は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献3

    計測器と生産設備の導入によるデータ管理は記述されるが、先端的デジタル技術やサプライチェーンへの貢献は具体的に書かれていない。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    果実酒市場の拡大に触れるが、日本経済の構造転換に資する具体的な分野進出の記述は乏しい。

  • 地域経済への波及4

    旧東和地区の荒廃畑を再生し、ぶどう畑約2,000本とワイナリーを整備して地域活性化を目指すと具体的に書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

県外市場へのアプローチや更なる販路拡大が望まれ、新商品の企画・提案に時間をかけられるようになった。今後は当社のブランドの確立と地域活性化を目指していく。

事業者の声

くだもの栽培は自然相手の厳しい作業です。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。