ものづくり補助金平成27年度製造業群馬県

産業機械用高精度長尺シャフトの加工技術の高度化による生産性向上

有限会社岩崎鉄工

成果寸法精度 0.02ミリ→0.01ミリ

この事例のポイント

  • 旋盤作業に1,130分を要し、加工費20万円(材料支給)のうち旋盤工程がコストの75%を占めるため、十分な利益を生み出せない。
  • 1,800ミリの長尺シャフトに適した長さ2,000ミリの最新NC旋盤を導入した。
  • 寸法精度 0.02ミリ→0.01ミリ。高精度長尺シャフトの旋盤作業時間は30%削減され、加工コストは約48%削減された。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社岩崎鉄工
所在地群馬県 邑楽町
業種金属製品製造業
技術分野精密加工
従業員数6人
資本金500万円
設立1977年

事業の背景

当社は大型長尺部品の高精度加工を得意とし、取引先は業界大手が多い。2013年度以降は、国内回帰の流れの中で加工事業者が少ないため長尺加工に受注が集まり売上が大きく増加した。一方、1,800ミリのシャフトは加工時間とコストがかさみ、利益が出にくい状況だった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算旋盤作業に1,130分を要し、加工費20万円(材料支給)のうち旋盤工程がコストの75%を占めるため、十分な利益を生み出せない。
  • 生産能力1,800ミリの長尺シャフトは3,000ミリのNC旋盤で加工するしかなく、加工単価が8,000円/hと高く、ワークの脱着や工具移動に時間がかかる。
  • 品質・精度顧客が求める全長1,800ミリで加工部のほぼ全域にわたる同軸度0.02ミリの高精度加工が極めて困難である。

やったこと

1,800ミリの長尺シャフトに適した長さ2,000ミリの最新NC旋盤を導入した。過去のノウハウをもとに加工実験を行い、加工設備の主軸負荷と主な加工条件との関係を調べ、加工条件を数値で定量化した。主軸負荷に基づいて加工条件の最適化と加工能率の向上を図り、加工状態の定量化、能率化、自動加工を進めた。切削屑の絡みや工程間での加工工具の折損をなくす加工方案を確立し、数時間に及ぶ加工を問題なく自動で行う方法を確立した。

加工機NC旋盤(2,000ミリ)

新しい製品・サービス:産業機械用の高精度長尺シャフト(全長1,800ミリ、同軸度0.02ミリ)

事業の効果

  • 寸法精度 0.02ミリ→0.01ミリ
  • 旋盤作業時間 1,130分→787分
  • 加工コスト 17.6万円→9.2万円
  • 加工単価 8,000円/h→5,000円/h

高精度長尺シャフトの旋盤作業時間は30%削減され、加工コストは約48%削減された。寸法精度は0.01ミリを達成し、目標を満たした。受注費に対して55%の利益率を確保できる見通しがついた。コスト競争力が強化され、利益率も大幅に向上したため、顧客の望む単価削減にも応じ、受注量の拡大につなげる方針である。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.2 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性3

    過去の大型長尺部品の高精度加工の実績と国内回帰の流れを背景に事業化を進めることが書かれているが、経営戦略上の位置付けは具体的に示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    加工事業者が少ない中で長尺加工を得意とし、大手印刷会社などに採用実績があると読み取れ、強みと市場環境の関係が具体的である。

  • 課題の認識と解決5

    旋盤作業時間1,130分の課題に対し、NC旋盤導入で加工単価8,000円/hから5,000円/hとし、作業時間を787分、加工コストを17.6万円から9.2万円に削減すると数字で示されている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    旋盤作業時間を目標869分に対し787分、コスト48%削減を達成し、5年後売上4,560万円、毎月10本の目標など数値目標が明示されている。

  • 事業を進める体制2

    従業員6人の小規模体制であることはうかがえるが、人材や事務処理能力の確保について具体的な記述は見当たらない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    顧客は大手産業機械メーカーで、0.02ミリ以下の高精度と長尺加工のワンストップ対応という選ばれる理由が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    初年度売上や4年目のNC旋盤追加導入などの段階的計画はあるが、課題解決の方法やスケジュールの詳細は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    他事業者では困難な長尺高精度シャフト加工で、顧客要望の0.02ミリ以下を0.01ミリで達成し利益率55%を見込むなど高付加価値化が示されている。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用3

    国内回帰の流れや雇用・需要創出への言及はあるが、川上川下への波及効果や国が補助する理由は具体的に述べられていない。

  • 費用対効果5

    加工コストを17.6万円から9.2万円へ48%削減し、受注費に対し55%の利益率を確保できる見通しと数字で示されている。

  • イノベーションへの貢献2

    加工条件の定量化や自動加工に触れているが、デジタル技術の活用やサプライチェーンへの貢献は明確に書かれていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    国内回帰の流れに対応する事業とは読めるが、構造転換への寄与は具体的に書かれていない。

  • 地域経済への波及2

    群馬県邑楽郡の地域企業であることは書かれているが、地域の特性を活かした経済成長への言及は乏しい。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

初年度は1,440万円の売上を見込み、5年後には4,560万円を目標とする。当面は毎月5本、3年後には毎月10本を目標とし、4年目に新たにNC旋盤を導入して工程ごとに加工設備を分担し生産性を向上させる。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。