ものづくり補助金平成27年度製造業山梨県

乾式無洗米機と酒米精米機を利用した米粉生産ラインの開発

株式会社吉字屋穀店

この事例のポイント

  • 米の国内需要が低下する中で、米を食用だけでなく酒米や米粉などの加工品としても活用していく必要があった。
  • 既設の主食用精米ラインで玄米を約90%に精米する工程を活用し、最新式の乾式無洗米機と酒米精米機を導入した。
  • 酒米の精米時間が約2割短縮され、コンピュータ制御による24時間無人精米が可能になった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社吉字屋穀店
所在地山梨県 甲府市
業種食料品製造業
技術分野材料製造プロセス,製造環境
従業員数17人
資本金1,000万円
設立1976年

事業の背景

吉字屋穀店は130年以上にわたり米穀業を営んできた。国内の米需要は低下の一途をたどっている。山梨県内では酒米の生産が行われ増産も計画されていたが、酒米を精米できる業者が県内になかった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • その他米の国内需要が低下する中で、米を食用だけでなく酒米や米粉などの加工品としても活用していく必要があった。
  • 生産能力山梨県内には酒米を精米できる業者がなく、酒米の生産者にとって精米の受け皿が不足していた。
  • その他県内で流通する米粉の多くは加工用に輸入された外国産米が原料で、地産地消の商品が必要とされていた。

やったこと

既設の主食用精米ラインで玄米を約90%に精米する工程を活用し、最新式の乾式無洗米機と酒米精米機を導入した。酒米精米機は24時間無人でコンピュータ制御により精米できるようにした。精米前の異物除去や原料精製の工程が不要になり、酒米の精米時間は約2割短縮された。さらに気流式製粉機を導入し、酒米精米の際に出る副産物の白ぬかから米粉を製造するラインを開発した。乾式製粉方式を採用して完全にぬか層を除去し、湿式に比べて米本来の味や風味を損なわない米粉を目指した。

加工機乾式無洗米機
加工機酒米精米機
加工機気流式製粉機

新しい製品・サービス:白ぬかを原料とする米粉

事業の効果

酒米の精米時間が約2割短縮され、コンピュータ制御による24時間無人精米が可能になった。乾式製粉により完全にぬか層を除去でき、湿式製粉に比べて米本来の味や風味を損なわない米粉を生産できるようになった。湿式での大量の水使用や乾燥のエネルギーも抑えられ、副産物の白ぬかを使うことで安価な米粉の生産が可能になった。精米業から加工業へ事業を広げ、酒や和洋菓子、米の生産者など多くの人や業界と新たなつながりが生まれた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    130年以上の米穀業から精米業・加工業へ広げ、米粉生産に挑戦した経緯が書かれ、事業拡大の流れは読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    米の国内需要低下や酒米を精米できる業者が県内にないこと、輸入米粉が多いことに着目したと書かれている。強みの具体記述は薄い。

  • 課題の認識と解決3

    白ぬか米粉は品質面の課題があると認識し、ミックス粉やブレンド使用を検討する方針が書かれている。付加価値化の計画数値は薄い。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    酒米精米時間を約2割短縮、収穫量を昨年40tから今年80tに見込むなどの数字がある。付加価値額や賃上げの目標は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員17人、機械メーカーの協力を得て研究を続けたとある。遂行体制の具体的な記述は限られる。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    酒米5社との契約や京都の和菓子店への供給目標が書かれ、ターゲットはある程度読み取れる。

  • 事業化までの道筋3

    品質課題の解決に向けミックス粉やブレンドの可能性を広げる方針が書かれているが、スケジュールは書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    白ぬかを使った安価な米粉を高品質な国内産米粉として量産する点は新規性があるが、市場の普及度や水準への言及は薄い。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用3

    県内の酒米精米業者の不在や地産地消の必要性など地域課題の記述があり、地域への貢献は読み取れる。

  • 費用対効果4

    乾式製法で湿式の大量水使用や乾燥エネルギーを抑え、副産物の白ぬかで安価な米粉を生産できたと書かれている。費用対効果の数値は無い。

  • イノベーションへの貢献3

    コンピュータ制御による24時間無人精米と、既設精米ラインを結合した生産ラインの開発が書かれている。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    精米業から加工業へ事業を広げ、米粉の市場で小麦粉業界を押す可能性に言及しているが、日本経済の構造転換には触れていない。

  • 地域経済への波及4

    山梨県内5市町で加工米を生産し、県産米で和菓子用米粉を生産する地域ぐるみの取り組みが具体的に書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

地域で生産した加工米を使い、より質の高い米粉を生産して事業の拡大を目指す。山梨産の米で最上質の和菓子用米粉を作り、和菓子の本場である京都の和菓子店で使ってもらうことを目標としている。

  • 目標:加工米の収穫量 40t→80t

事業者の声

今回の取り組みもこれからを見据え、精米業から加工業へと事業を広げていくことを考えて挑戦しました

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。