ものづくり補助金平成27年度製造業長野県

医療・燃料電池向け微細金型部品の低コスト化と新たな微細ニーズへの挑戦

有限会社米山金型製作所

この事例のポイント

  • 医療・燃料電池向け微細金型部品は小径工具による微細切削加工となるため高コストが課題となっている。
  • 工場内を23℃の恒温環境にする工事を行い、超高精度高速微細加工機を導入して、複雑形状の鏡面仕上げを切削加工のみで行う磨きレス化を実現した。
  • 超精密成形平面研削盤の導入により、従来の微細切削加工を超精密研削加工に置き換えて加工時間を大幅に短縮し、低コスト化を実現した。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社米山金型製作所
所在地長野県 松川町
業種生産用機械器具製造業
技術分野精密加工
従業員数28人
資本金700万円
設立1989年

事業の背景

同社は1989年設立で、自動車コネクタ部品など精密加工を強みとする金型製作を手がけてきた。2010年に3代目社長が就任して品質保証体制の確立や部品加工事業への本格参入を進め、2013年から微細加工事業に本格的に乗り出した。一般的な金型は価格競争になりやすいため、利益率の高い微細加工をニッチ分野として狙った。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算医療・燃料電池向け微細金型部品は小径工具による微細切削加工となるため高コストが課題となっている。
  • 生産能力複雑形状の鏡面仕上げを短納期・高品質・高精度で安定的に供給するため、切削加工のみで鏡面まで仕上げる体制が必要だった。
  • 新製品・新技術医療系超微細形状の試作では開発スピードに追従するため、微細加工技術の高度化と短納期対応が課題だった。
  • 品質・精度精密金型部品では顧客の要求精度に追従するため、形彫り放電加工の高精度化が課題だった。
  • 生産能力自動車用センサー需要の急増に伴い超高精度金型の安定生産が課題で、難加工ニーズへの対応も必要だった。

やったこと

工場内を23℃の恒温環境にする工事を行い、超高精度高速微細加工機を導入して、複雑形状の鏡面仕上げを切削加工のみで行う磨きレス化を実現した。2014年には超高精度高速微細加工機を導入し、マイクロニードルやマイクロ流路など医療系超微細形状の試作に対応できるようにした。2015年には超精密形彫り放電加工機を導入して精密金型部品の加工体制を整えた。2015年度の補助事業では超精密成形平面研削盤を導入し、従来の微細切削加工を超精密研削加工に置き換えて加工時間を大幅に短縮した。この機械は10nm制御に対応し、ヘール加工にも使える。

加工機超精密成形平面研削盤
加工機超高精度高速微細加工機
加工機超精密形彫り放電加工機
加工機超精密ワイヤ放電加工機

新しい製品・サービス:ヘール加工による微細溝加工金型入子、空中ディスプレイ用の微細加工プレート

事業の効果

超精密成形平面研削盤の導入により、従来の微細切削加工を超精密研削加工に置き換えて加工時間を大幅に短縮し、低コスト化を実現した。これによりヘール加工の受注が光学系微細溝加工案件につながり、その他の微細加工案件も含めて受注が増えている。また、4年連続のものづくり補助金の活用により、±0.001mmの精密・微細加工技術と23℃±1℃の恒温環境を整え、短納期・高品質で微細加工に進むことができた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    平成24年度から4年連続で採択され、切削加工の磨きレス化から微細加工へ段階的に移行した経緯が書かれており、一貫性はうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    ±0.001mmの精密・微細加工技術、23℃±1℃の恒温環境、短納期・高品質が強みとして具体的に示され、ニッチ分野での優位性が読み取れる。

  • 課題の認識と解決3

    低コスト化が課題とされ、超精密研削加工で加工時間を大幅短縮する方針が書かれているが、短縮の数値は示されていない。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値や賃上げの目標値は書かれていない。利益率が高いという定性的記述にとどまる。

  • 事業を進める体制3

    社長交代後の品質保証体制確立や展示会出展などの体制整備が書かれているが、人材や事務処理体制の具体性は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    医療・燃料電池向けの微細金型、マイクロニードル500種類以上の試作実績など、顧客ターゲットとニーズの裏付けが具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋2

    中長期の遂行方法やスケジュールは書かれておらず、今後の事業拡大の方向性が示される程度である。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性100%
  • 新しさ・高付加価値5

    微細加工はニッチ分野で利益率が高いとされ、マイクロニードル500種類以上の試作実績や全国トップクラスの加工精度が数字で示されている。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    燃料電池や医療分野の技術開発、空中ディスプレイや自動車分野への広がりが書かれ、地域への波及は触れられていない。

  • 費用対効果2

    補助金の投入額や付加価値増加の金額は書かれていないが、加工時間の大幅短縮による低コスト化は記述されている。

  • イノベーションへの貢献3

    超精密研削や微細加工によるイノベーションへの貢献はうかがえるが、デジタル技術やサプライチェーン面の記述は薄い。

政策面50%
  • 成長分野への進出3

    燃料電池や医療、自動車センサーなど成長分野への進出が書かれ、構造転換への関連がうかがえる。

  • 地域経済への波及2

    松川町の本社所在地は示されているが、地域特性を活かした雇用や地域成長への言及はほとんどない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

ヘール加工の受注増加を足がかりに、空中ディスプレイ用プレートなどで自動車分野への広がりに期待している。ホームページ経由の問い合わせに誠実に対応し、開発案件のさらなる拡大を目指す。

  • 目標:±0.001mmの精密・微細加工技術
  • 目標:23℃±1℃の精密空調による恒温環境

事業者の声

一般的な金型をやっていてもコスト競争になるだけ。微細加工はニッチな分野でリスクも高いが、成功すれば利益率は高い。だからみんなで取り組んでいこうとスタートしました

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。