ものづくり補助金平成27年度製造業長野県

高品質・高付加価値商品の安定した生産システムの構築

大雪渓酒造株式会社

この事例のポイント

  • 既存の上槽設備はアルミを使用しており、商品の安全・安心に問題があるとされていた。
  • 平成26年度は、商品の安全・安心に問題があるとされていたアルミを使った既存上槽設備(籔田式ろ過圧搾機)を、アルミ不使用の新設備に更新した。
  • アルミを使わない新しい上槽設備の導入により、商品の安全・安心を高め、酒質の向上を図れるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名大雪渓酒造株式会社
所在地長野県 池田町
業種飲料・たばこ・飼料製造業
技術分野製造環境
従業員数20人
資本金2,000万円
設立1898年

事業の背景

1898年創業の清酒製造会社で、白馬岳にちなむ銘柄「大雪渓」を製造している。商品の8割を普通酒が占め、県内中堅クラスの生産量を維持しており、その約9割が長野県内で消費されている。清酒消費量が落ち込む中、純米酒や吟醸酒などの特定名称酒は増加傾向にあり、県内の特定名称酒比率は6割に上る。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度既存の上槽設備はアルミを使用しており、商品の安全・安心に問題があるとされていた。
  • 品質・精度普通酒の酒質向上と特定名称酒の比率を高めるため、製造工程の品質向上が必要だった。
  • 販路・情報発信清酒消費量が落ち込み、少子高齢化や若者のアルコール離れも続く中、スーパーやコンビニなど大きなチャネルでの販売を広げる必要があった。

やったこと

平成26年度は、商品の安全・安心に問題があるとされていたアルミを使った既存上槽設備(籔田式ろ過圧搾機)を、アルミ不使用の新設備に更新した。平成27年度は、清酒製造の最終工程である瓶詰めラインを一新し、パストライザーと打栓機を導入した。充填機とラベル貼り機は自己資金で加えた。低温殺菌後に急冷を行い品質を保つ体制とし、「鮮度」にこだわった高付加価値商品を安定して生産できるようにした。原料の酒米は地元契約農家を中心に長野県内から調達し、他の米と混ざらないよう自家精米機を導入した。精米後の糠を精米歩合ごとに自動で仕分ける設備も整えた。

加工機アルミ不使用の上槽設備(籔田式ろ過圧搾機)
加工機パストライザー
加工機打栓機
加工機充填機
加工機ラベル貼り機
加工機自家精米設備
その他精米後の糠を精米歩合ごとに自動で仕分ける設備

新しい製品・サービス:特別純米酒「直汲み」

事業の効果

アルミを使わない新しい上槽設備の導入により、商品の安全・安心を高め、酒質の向上を図れるようになった。瓶詰め工程では低温殺菌後に急冷を行うことで品質を保てるようになり、今まで以上に高品質な商品をエンドユーザーに届けられるようになった。その結果、純米酒は前年比111.2%、純米吟醸酒は前年比113.8%と2桁以上伸び、当初の計画を上回る実績となった。今後の販売拡大も期待されている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    普通酒の酒質向上や特定名称酒の比率向上を目指す設備投資と記載があり、過去の取組との連続性は読み取れるが、経営戦略上の位置付けは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    地元で8割が普通酒、約9割が県内消費という強みと、スーパー・コンビニ販路への展開意向は読み取れるが、競争優位の根拠となる数値分析は示されていない。

  • 課題の認識と解決3

    アルミ使用の既存上槽設備を不使用の新設備に更新した課題認識は読み取れるが、高付加価値化の計画としての具体性は薄い。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    純米酒は前年比111.2%、純米吟醸酒は前年比113.8%と数字で成果が示され、目標を上回ったと記載されており、目標値と実現性が読み取れる。

  • 事業を進める体制2

    蔵元直営店や英語対応スタッフ、海外展示会出展の記載はあるが、補助事業を遂行する体制や人材配置の説明は読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    「鮮度」にこだわった高付加価値商品という製品価値と、ロイヤルユーザー獲得を目指す顧客ターゲットが示されている。

  • 事業化までの道筋3

    平成26年度と27年度の二段階で設備を更新した経緯は読み取れるが、スケジュールや課題解決の方法の詳細は書かれていない。

  • 財務と資金の調達2

    自己資金で充填機やラベル貼り機を追加導入したと記載があるが、財務状況や金融機関からの資金調達については書かれていない。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    特定名称酒の比率が県内で6割に上ると記載され、特定名称酒は増加傾向とあるが、同分野で高価格化を図る具体性は薄い。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    地元で親しまれる酒造りや地元認知の記述はあるが、川上・川下への波及効果や雇用創出の記載は読み取れない。

  • 費用対効果3

    補助事業で設備を更新し販売増加を実現したと読めるが、補助金額に対する付加価値額の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    地元契約農家からの原料調達や自家精米設備の導入はうかがえるが、デジタル技術や新ビジネスモデルの記載はない。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    地元で親しまれる酒造りや池田町の古民家を生かした直営店など、地域の特性を生かした取組が記載されている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後も積極的に販促活動を行い、売り上げ増加につなげていきたい。

事業者の声

少子高齢化、若者のアルコール離れが続く中、安全・安心と酒質向上を図り、より多くの販売チャネルに置いてもらえる商品づくりをしていきたい。他社にはできないアイテムをより多くのお客様に発信できる当社の強みを発揮していかないと将来生き残れないと思っています

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。