ものづくり補助金平成24年度大阪府

アルミベローズの溶接における新工法開発とその生産プロセス強化

ノースヒルズ溶接工業株式会社

成果価格を現在の半額近くに抑えることを目標に設定した。

この事例のポイント

  • 熟練溶接工の技術に依存しており、職人の技術だけに頼らない社内体制を作ることが求められていた。
  • 大阪府立産業技術総合研究所のレーザー溶接機を使い、薄板による溶接実験を行った。
  • 価格を現在の半額近くに抑えることを目標に設定した。アルミベローズの溶接で新工法を確立し、熟練溶接工と同性能の溶接を施せるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名ノースヒルズ溶接工業株式会社
所在地大阪府 東大阪市
業種電子部品・デバイス・電子回路製造業
技術分野切削加工
従業員数4人
設立2011年

事業の背景

同社は高度な溶接技術を持つ従業員4名の小規模企業で、ステンレスやアルミ、チタンなどの難削材をTIG溶接などで加工し、航空宇宙、エネルギー、半導体、精密機器、防衛関連など品質要求の厳しい業界から評価を受けてきた。アルミ成形ベローズの市場規模は現在3億円ほどとされ、アルミの軽さや放射化の早期減衰といった特性から、ステンレス製品の代替として大きな潜在需要があると見られている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力熟練溶接工の技術に依存しており、職人の技術だけに頼らない社内体制を作ることが求められていた。
  • コスト・採算アルミフランジ付きアルミ成形ベローズは国内で1社しか製造しておらず単価が非常に高価だった。
  • 人手・技能アルミは溶接が難しく硬度が低いためシールも難しく、一般加工者が熟練溶接工と同レベルの溶接をできる生産方法が必要だった。

やったこと

大阪府立産業技術総合研究所のレーザー溶接機を使い、薄板による溶接実験を行った。その結果、反射率の高いアルミでも密着性の良い接合ができることが分かり、最適な出力設定や必要な冶具も把握した。続いてこの溶接方法をもとに、既存のレーザー溶接機に電流値や溶接速度などの独自チューニングを施して新工法を確立した。溶接機器の操作とノウハウを約2ヵ月かけて習得することで、熟練溶接工と同性能の溶接が可能になった。

新しい製品・サービス:CFフランジ付きアルミ成形ベローズ

事業の効果

  • 価格を現在の半額近くに抑えることを目標に設定した。

アルミベローズの溶接で新工法を確立し、熟練溶接工と同性能の溶接を施せるようになった。これにより同製品の量産化が実現可能となり、既存の他社製品より低価格で提供できるようになった。今回開発した技術はITER向け機器やガン治療用重粒子線治療器、ロケット部品などへの応用も見込まれる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.2 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性現在国内1社のみ製造のアルミフランジに着目し、価格を現在の半額近くとする目標と、ステンレス代替の潜在需要が具体的に書かれている。
  • 4
    課題の認識と解決熟練溶接工に依存する課題を認識し、レーザー溶接ノウハウで量産化と価格半減を目指すとして、課題と解決策が結びついている。
  • 4
    顧客とニーズの裏付けアルミの軽さや放射化の早期減衰などの特性と、ステンレス製品代替という顧客ニーズを挙げ、選ばれる理由が整理されている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    成長分野への進出半導体や航空宇宙、エネルギー分野への応用可能性はうかがえるが、日本経済の構造転換に資するとまでは読み取れない。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    2011年設立、TIG溶接で航空宇宙や半導体など品質要求の厳しい分野の実績があり、新工法開発は熟練技術依存からの脱却として一貫性が読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    現在国内1社のみ製造のアルミフランジに着目し、価格を現在の半額近くとする目標と、ステンレス代替の潜在需要が具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    熟練溶接工に依存する課題を認識し、レーザー溶接ノウハウで量産化と価格半減を目指すとして、課題と解決策が結びついている。

事業の実現可能性3.2
  • 付加価値・賃上げの目標3

    既存他社より低価格で提供できるようになったとあるが、売上や付加価値額の具体的な目標値や賃上げ目標は示されていない。

  • 事業を進める体制3

    従業員4名で、熟練溶接工と同性能を2ヵ月で習得できる体制や、納品時の品質テストの徹底が書かれているが、人員計画は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    アルミの軽さや放射化の早期減衰などの特性と、ステンレス製品代替という顧客ニーズを挙げ、選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    溶接方法の確立から装置改良、サンプル評価までの段階は書かれているが、今後のスケジュールや中長期の課題解決方法は薄い。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    アルミベローズは市場規模約3億円で、同分野で高価格化を狙わず価格半減を目指す点が具体的に書かれている。

公的補助の必要性3.0
  • 波及効果・雇用3

    ITERや重粒子線治療器、ロケット部品への応用可能性が挙げられ、国内の先端分野への波及は読み取れるが、雇用創出などの定量的記述は薄い。

  • 費用対効果3

    材料費・既存製造工数を大幅にカットし低コスト化を実現したとあるが、補助金額に対する付加価値増加の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    レーザー溶接機を用いた新工法の確立は生産方法の革新にあたるが、サプライチェーン全体への貢献や新ビジネスモデルは書かれていない。

政策面2.5
  • 成長分野への進出2

    半導体や航空宇宙、エネルギー分野への応用可能性はうかがえるが、日本経済の構造転換に資するとまでは読み取れない。

  • 地域経済への波及3

    東大阪の中小企業として近隣約200社の外注先を活用する地域連携が書かれ、地域の事業としての特徴はある程度読み取れる。

今後の展望

ステンレス製品とほぼ同等の価格で提供できれば、アルミベローズの市場はさらに広がると考えられている。

事業者の声

弊社は、特殊な溶接を得意とし、主にTIG溶接を手掛けてきましたが、今回の補助事業によってYAG溶接での接合も可能となりました。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。