ものづくり補助金平成27年度製造業静岡県

ネスティングソフト搭載自動裁断機によるテント量産システムの構築

有限会社深沢製帆店

成果6000枚の受注に対し、時間にして従来工程から162.5時間の短縮となった

この事例のポイント

  • 防災用品の需要拡大に対応するため、小型規格品の量産体制を整える必要があった。
  • 自動裁断機を導入し、シートの送りはエアーによるコンベア方式を採用した。
  • 6000枚の受注に対し、時間にして従来工程から162.5時間の短縮となった。自動裁断機の導入で裁断工程が大きく変わり、作業者の技量によらず高品質なパーツを切り出せるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社深沢製帆店
所在地静岡県 静岡市清水区
業種繊維工業
技術分野デザイン,機械制御,精密加工
資本金6,000万円
設立1974年

事業の背景

静岡市清水区の有限会社深沢製帆店は、テントシートを活用した様々な製品を製造している。もともと帆布の製造を主としていたが、静岡県はテント倉庫の老舗が多く、造船業が下火になってからは企業向けの荷捌き場やテント倉庫用シート等が主力商品となっている。近年は防災意識の高まりから集会用テントや防災用トイレといった量産品の市場ニーズが大きくなっていた。取引のあった金融機関からものづくり補助金の情報提供を受け、防災用品向けシート材の効率的な裁断を目的に設備導入へ踏み切った。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力防災用品の需要拡大に対応するため、小型規格品の量産体制を整える必要があった。
  • コスト・採算細かなパーツの裁断を外注していたため、納期が長くコストもかかっていた。
  • 納期・工程消防法の強化で防火水準が上がり、従来の強みだった工期の短さと加工賃の安さを維持することが難しくなっていた。

やったこと

自動裁断機を導入し、シートの送りはエアーによるコンベア方式を採用した。裁断方式は特注の超音波カッターを用い、直線だけでなく曲線や目付加工にも対応できるようにし、多様な生地の裁断を可能とした。併せてネスティングソフトを導入し、パーツのマッピングには専用CADを用いて余白をなくし、歩留まりの改善を図った。現場指導コンサルタントの協力を得て、新規機械への正しいアプローチや作業手順書の整備を行い、若手従業員・パートタイマーにOFF-JT研修を全社的に実施した。

加工機ネスティングソフト搭載自動裁断機
ソフトネスティングソフト
ソフトパーツマッピング用専用CAD

新しい製品・サービス:防災用品向けの小型・量産品(集会用テント、防災用トイレなど)のテントシート製品

事業の効果

  • 6000枚の受注に対し、時間にして従来工程から162.5時間の短縮となった

自動裁断機の導入で裁断工程が大きく変わり、作業者の技量によらず高品質なパーツを切り出せるようになった。ネスティングソフトにより余白が減り、作業効率と歩留まりが向上した。6000枚の受注に対し従来工程から162.5時間短縮され、残業時間も減少した。従業員はパートタイマーを含め就業時間内に効率よく働くようになり、生産体制が整ってきている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    従来の帆布製造やテント倉庫向けシートなど事業の流れは読めるが、裁断工程を内製化する方針と過去の取組との関係は簡潔に述べられている程度である。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    防災用品の需要拡大、消防法強化による防火水準の上昇、外注加工による納期とコストの課題が具体的に示され、強みと弱みを踏まえた判断が読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    課題として外注加工の手間と納期・コストが挙げられ、裁断工程の内製化による納期短縮とコスト低減という解決策が示されている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    6000枚の受注に対し従来工程から162.5時間の短縮という数値が示されており、目標の達成実績が具体的に読み取れる。

  • 事業を進める体制3

    外部専門家の定期指導、若手従業員とパートタイマーへのOFF-JT研修に取り組んだ記述はあるが、体制の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    防災用トイレや集会用テントなど量産品の市場ニーズと、短納期・低コストという選ばれる理由は読み取れるが、顧客ターゲットの整理は薄い。

  • 事業化までの道筋3

    導入、指導、研修と段階的に取り組んだ流れは読めるが、中長期の検証やスケジュールの詳細は書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性40%
  • 新しさ・高付加価値2

    防災用品向けの大型テント裁断という分野の特殊性はうかがえるが、高付加価値化や高価格化を示す記述は乏しい。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用3

    防災用品の需要拡大に対応する生産体制の整備という社会的な意義はうかがえるが、経済波及や雇用創出の数値は書かれていない。

  • 費用対効果4

    162.5時間の工程短縮と残業削減、歩留まり改善という具体的な効果が示されており、費用対効果の一端が読み取れる。

  • イノベーションへの貢献3

    超音波カッターとネスティングソフトによる自動裁断の導入は読み取れるが、地域やサプライチェーン全体への貢献は書かれていない。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    防災用品という成長が見込まれる分野への進出はうかがえるが、日本経済の構造転換への言及はない。

  • 地域経済への波及3

    静岡市清水区の地元事業所であり、地域の帆布産業の背景は読めるが、地域経済の牽引や雇用創出の具体性は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後もハードとソフトの両輪を回し、テントシートの新たな可能性を見出していく。

事業者の声

残業は驚くほど減りました。みんな就業時間内に効率よく、早く帰ろうと。モチベーションにも繋がっています。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。