ものづくり補助金平成27年度製造業静岡県

療器具の試作開発工程の革新的改善と超短納期化

有限会社岩倉溶接工業所

成果試作開発の納期 90日→30日

この事例のポイント

  • 中小企業の廃業や後継者不在、職人不足により、小ロットの鉗子等鋼製器具の試作開発に対応できる企業が減少している。
  • 課題解決のため、試作の素材を金属からプラスチックに変更し、3Dプリンタ、高出力レーザー、自動研磨機を導入して新たな試作開発工程を構築した。
  • 試作開発の納期 90日→30日。試作の素材をプラスチックに変えて形状を先に確認する工程に変えたことで、ALL金属での試作期間が大幅に短縮できるようにな…

事業者のプロフィール

事業者名有限会社岩倉溶接工業所
所在地静岡県 島田市
業種はん用機械器具製造業
技術分野精密加工
資本金300万円
設立1985年

事業の背景

当社は昭和48年に個人創業し、昭和60年12月に有限会社を設立した。溶接加工を主な事業とし、溶接、レーザーマーキング、レーザーカットの3本柱で事業を展開している。医療器具分野では、鉗子(かんし)などの鋼製器具の試作開発依頼を受けており、1回のロットは平均1個から5個程度である。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能中小企業の廃業や後継者不在、職人不足により、小ロットの鉗子等鋼製器具の試作開発に対応できる企業が減少している。
  • コスト・採算従来の金属による設計・製造では高コスト体質となっており、外注費を含め1個あたり150,000円から200,000円を要するため、コストダウンの要請がある。
  • 納期・工程試作開発に金属素材を使うため、設計・製造・試作品の数回のやり直しを経て総計90日を要しており、30日への短納期化が求められている。

やったこと

課題解決のため、試作の素材を金属からプラスチックに変更し、3Dプリンタ、高出力レーザー、自動研磨機を導入して新たな試作開発工程を構築した。試作依頼を受けた後、3D-CADでデジタルデータを作成(3日)し、プラスチック製の試作品を3Dプリンタで製造(1日)する。形状を確認・修正(15日)した後、ステンレスの切削加工を行い(10日)、自動研磨機で仕上げ(1日)して、ステンレス製医療器具の試作品を総計30日で完成させる見込みである。

加工機3Dプリンタ
加工機高出力レーザー
加工機自動研磨機

新しい製品・サービス:鋼製器具の試作品(ステンレス製医療器具の試作品)

事業の効果

  • 試作開発の納期 90日→30日

試作の素材をプラスチックに変えて形状を先に確認する工程に変えたことで、ALL金属での試作期間が大幅に短縮できるようになった。納期は従来の90日から30日を見込み、顧客確認により期間は異なるものの、短納期化による受注機会の拡大が期待される。また、レーザー加工や溶接の技術を活かし、競合他社と差別化した医療器具の特注品を受注していく方針である。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.4 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来の溶接技術を軸に医療器具分野へ参入し、レーザー加工との連携を進めている流れは読み取れるが、経営戦略上の位置づけは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    短納期・低コスト・均質化を求める顧客要請に対し、独自のカラーレーザーマーキング技術や多数のベテラン技術者を強みとして挙げ、差別化の根拠が示されている。

  • 課題の認識と解決5

    試作工程を90日から30日へ約1/3に短縮する目標と、3D-CAD(3日)、3Dプリンタ(1日)、形状確認(15日)などの工程別日数が示され、課題と解決策が対応している。

事業の実現可能性64%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    試作コストを150,000〜200,000円/個から下げる要請と、納期90日から30日への短縮目標が具体的に示されているが、付加価値額や賃上げの数値目標は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    ベテラン技術者を多く抱えることや各種コンソーシアムへの参加は書かれているが、補助事業を遂行する人員配置や事務体制の具体的記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    顧客は医師や医療機器メーカー・商社で、鉗子など鋼製器具の小ロット短納期試作という対象と、1回1〜5個程度というニーズが具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋4

    工程ごとの日数配分と、形状確認後にステンレス切削へ進む手順が示され、今後は実績蓄積と特注品受注へ展開する方針も書かれている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    鉗子など鋼製器具の試作は従来の金属切削・金型に頼る分野で、3Dプリンタとレーザー加工を組み合わせた工程は同分野で高付加価値化を図る取組と読み取れる。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用3

    中小企業の廃業や後継者不在で試作対応できる企業が減っているという地域産業の課題が示されているが、波及効果や雇用創出の記述は薄い。

  • 費用対効果3

    試作の日数とコストの削減幅は示されているが、補助金投入額に対する付加価値増加や生産性の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献4

    3Dプリンタとレーザー加工を組み合わせた新たな試作開発工程を構築し、医療分野のイノベーションに関わる取組として具体的に記述されている。

政策面60%
  • 成長分野への進出3

    医療・航空宇宙という新たな産業分野への進出が明示されているが、日本経済の構造転換への寄与は直接書かれていない。

  • 地域経済への波及3

    浜松や静岡の医療・航空機関連の産業クラスターに参加している点は地域の特性と読み取れるが、地域経済の牽引効果は具体的に書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

鉗子等鋼製器具の試作品開発で実績を蓄積し、医師や医療機器メーカー・商社の信頼を得て、顧客満足度を高めながら利益率の高い特注品を受注していく。

  • 目標:外注費を含め150,000円/個〜200,000円/個を要していたコストが、補助事業の効果として具体的な後の数値は本文に記載なし

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。