ものづくり補助金平成27年度製造業愛知県

めっき浴の分解劣化を抑制した隔膜電極方式の亜鉛-ニッケル合金めっき技術の開発

株式会社石実メッキ工業所

成果生産効率は約20%向上

この事例のポイント

  • 亜鉛ニッケル合金メッキはメッキ浴の劣化(老化)が早く、稼働を定期的に停止して入れ替えなければ生産効率と品質を維持できなかった。
  • 自社の実験室で、従来型のニッケル電極に加え、プラチナ・チタン電極、酸化イリジウム電極、電極を隔膜で覆う隔膜電極の4種の陽極電極を使い、メッキ浴の酸化分解速度の比較評価試験を行った。
  • 生産効率は約20%向上。隔膜電極方式のメッキシステムの導入により、メッキ浴の老化物がほとんど発生せず、メッキ浴の長寿命化の技術的見通しが立った。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社石実メッキ工業所
所在地愛知県 碧南市
業種金属製品製造業
技術分野表面処理
従業員数300人
資本金1,800万円
設立1968年

事業の背景

石実メッキ工業所は自動車や航空機の部品表面に被膜を施すメッキ処理加工が主力事業である。近年、自動車や航空機部品に耐食性の高い亜鉛ニッケル合金メッキを施すケースが急増しており、同社の受注は伸びていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力亜鉛ニッケル合金メッキはメッキ浴の劣化(老化)が早く、稼働を定期的に停止して入れ替えなければ生産効率と品質を維持できなかった。
  • コスト・採算メッキ浴の入れ替え作業を実施する2日間は生産も止まるため、浴の入れ替えコストの負担も課題となっていた。

やったこと

自社の実験室で、従来型のニッケル電極に加え、プラチナ・チタン電極、酸化イリジウム電極、電極を隔膜で覆う隔膜電極の4種の陽極電極を使い、メッキ浴の酸化分解速度の比較評価試験を行った。酸素ガスの発生を抑制する陽極電極の開発を目指し、隔膜電極方式のメッキシステムを完成させた。その後、協力する設備メーカーにシステムの開発を依頼し、隔膜電極の実証試験を量産規模で実施した。陽イオン交換膜と陰イオン交換膜の2種類の隔膜を用意し、コーティングや材質が異なる4種類の電極を使用して、メッキ浴中の老化物の検証と同時に被膜の膜厚、品質を左右する合金比率、被膜が完了するまでのサイクルタムなども測定した。

加工機隔膜電極方式のメッキシステム

新しい製品・サービス:隔膜電極方式の亜鉛ニッケル合金メッキ技術およびメッキシステム

事業の効果

  • 生産効率は約20%向上
  • 加工コストは約13%削減

隔膜電極方式のメッキシステムの導入により、メッキ浴の老化物がほとんど発生せず、メッキ浴の長寿命化の技術的見通しが立った。浴交換によるコスト負担や生産効率低下の問題を一気に解決した。生産効率は約20%向上し、加工コストは約13%削減を実現した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    既存の亜鉛ニッケル合金メッキ受注増を背景に、新技術とシステム開発に乗り出した経緯が書かれているが、事業戦略上の位置付けは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    自動車・航空機部品で耐食性の高い亜鉛ニッケル需要が急増し受注が伸びたと書かれ、外部環境は読み取れるが強みの具体的分析は薄い。

  • 課題の認識と解決5

    メッキ浴交換の2日間の生産停止やコスト負担を課題に挙げ、生産効率20%向上・加工コスト13%削減という数字で解決が示されている。

事業の実現可能性68%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    生産効率約20%向上、加工コスト約13%削減という数値目標と結果が示され、2ライン稼働の実績もある。

  • 事業を進める体制3

    実験室での検証や協力設備メーカーとの開発体制は書かれているが、人材や事務処理能力への言及は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    耐食性の高い亜鉛ニッケル合金メッキへの需要増と、メッキ浴の長寿命化という価値が具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋4

    実験室での比較試験から実証試験、量産をにらんだ試験へと段階を追い、課題解決の手順が示されている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    耐食性の高い亜鉛ニッケル合金メッキという技術で、一般的な普及度は書かれていないが独自技術として強みを示している。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    環境問題への貢献に触れるのみで、地域や雇用、波及効果などの国が補助する理由は具体的に書かれていない。

  • 費用対効果4

    補助事業の投資に対し、生産効率20%向上と加工コスト13%削減という費用対効果を示す数字が書かれている。

  • イノベーションへの貢献2

    隔膜電極方式という新技術の開発は読み取れるが、サプライチェーンへの貢献やデジタル活用は書かれていない。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    地域の特性や地域経済の牽引に関する記述は見られず、わずかに碧南市の立地がうかがえる程度である。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

自動車部品業界では耐食性の高い亜鉛ニッケル合金メッキの需要がさらに高まると予想されており、独自開発した技術を強みに海外展開も視野に入れている。

事業者の声

実験室での成果を生かせた

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。