ものづくり補助金平成27年度製造業京都府

表面処理加工の高度化によるエコカー燃料電池部品の大量加工体制の確立

髙木金属株式会社

成果日産加工数 500個→3,000個

この事例のポイント

  • 既存の装飾めっき分野では市場の拡大が望めず、自社事業の将来への危機感から工業用の機能めっき分野へ進出することを決断した。
  • 高性能の無電解ニッケルめっき装置を導入し、濃度・温度管理と溶液補給を自動で行う装置と上下揺動装置を組み合わせて導入した。
  • 日産加工数 500個→3,000個。補助事業の結果、顧客要望の日産加工数2,500個を上回る3,000個を達成した。

事業者のプロフィール

事業者名髙木金属株式会社
所在地京都府 京都市
業種金属製品製造業
技術分野表面処理
従業員数34人
資本金1,000万円
設立1974年

事業の背景

昭和41年の創業以来、神具・仏具・伝統工芸品など貴金属による装飾めっきを専門とし、業界で安定した地位を築いてきた。既存分野の市場拡大は望めない状況にあった。近年は燃料電池電極部品などに使うコンマミクロン(μ)単位の精密表面加工の依頼が増えていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術既存の装飾めっき分野では市場の拡大が望めず、自社事業の将来への危機感から工業用の機能めっき分野へ進出することを決断した。
  • その他製造設備が老朽化し、めっき工場特有の臭気など労働衛生環境も悪かった。
  • 生産能力手作業の多い無電解めっきでは、従来の保有設備で日産500個が限界だった。
  • 生産能力燃料電池電極部品について、従来の5倍にあたる日産2,500個の加工要求があった。
  • 人手・技能無電解めっきは溶解液の濃度管理や温度管理、揺動作業に熟練技術が必要で、生産性が極めて低かった。
  • 品質・精度工程不良率は従来2%であった。

やったこと

高性能の無電解ニッケルめっき装置を導入し、濃度・温度管理と溶液補給を自動で行う装置と上下揺動装置を組み合わせて導入した。技術者のノウハウをプログラムに反映し、経験則を形式知化した。これにより形状の微細な部分ごとに任意の膜厚を組成するなど高精度めっき加工が可能となった。機能めっき分野には経験者2名を雇用し、装飾めっき部門の専門職人は異動させず新規部門として事業を開始した。老朽化した工場を刷新し、従業員の作業環境を改善した。

加工機無電解ニッケルめっき装置
加工機濃度・温度管理と溶液補給を自動で行う装置
加工機上下揺動装置

新しい製品・サービス:株式会社神戸製鋼所が開発した高機能抗菌めっき技術ケニファインを利用した自社製品(ケニファインめっき日用雑貨品)の販売を開始し、自社ブランドの確立に取り組んでいる。

事業の効果

  • 日産加工数 500個→3,000個
  • 工程不良率 2%→0.1%

補助事業の結果、顧客要望の日産加工数2,500個を上回る3,000個を達成した。工程不良率も従来の2%から0.1%以下へ大幅に低減した。社内に無電解めっきの技術ノウハウが蓄積され、設計段階からめっき液の調合まで関与した最適な提案ができるようになった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.4 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性87%
  • これまでの取組との一貫性4

    装飾めっきの専業から工業用機能めっきへ進出し、機能めっき構成比率を現状の2割から5割へ引き上げる構想が示され、既存事業との連続性が読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    従来の電解めっきとの組み合わせ技術により複雑形状への加工が可能で、同業他社との明確な差別化を図るとされている。

  • 課題の認識と解決5

    無電解めっきは生産性が低く日産500個が限界だったが、自動化で日産3,000個を達成し、工程不良率も2%から0.1%以下に下げたと具体的に書かれている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    日産2,500個という加工目標と3,000個の達成は数字で示されている。ただし付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制4

    機能めっきの経験者2名を雇用し、技術者のノウハウをプログラムに反映して形式知化する体制が具体的に書かれている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    燃料電池の市場規模が2030年に6兆円を超えるとの観測や、顧客の短納期・高品質要求に応える点が示されている。

  • 事業化までの道筋3

    設備増設と人員拡充を適切な時期に行う方針や展示会での市場把握は書かれているが、具体的なスケジュールは示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    形状の微細な部分ごとに任意の膜厚を組成でき、高精度の無電解めっきで既存の装飾めっきより高水準の加工を実現している。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    燃料電池部品の大量加工体制を確立し、わが国の国際競争力の強化にも資するとの説明があるが、経済波及効果の数値は示されていない。

  • 費用対効果3

    日産加工数や不良率の改善値は示されているが、補助金投入額に対する付加価値増加や費用対効果の数字は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献3

    濃度・温度管理や溶液補給を自動化し、技術者の経験則をプログラム化する点は読み取れるが、地域やサプライチェーン全体への貢献は薄い。

政策面60%
  • 成長分野への進出3

    燃料電池や5G・IoT関連の通信機器市場への対応が示され、成長分野への進出の方向性はうかがえる。

  • 地域経済への波及3

    京都の機械金属関連企業の集まりに参画し、伝統工芸の装飾めっきと機能めっきを併せ持つ点は地域性がうかがえるが、地域経済への効果は書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

燃料電池の市場規模は2030年に6兆円を超えるという観測があり、5GやIoT関連の通信機器市場も成長が期待されるため、無電解ニッケルめっき加工の需要は今後も拡大が見込まれる。機能めっき加工の構成比を現状の2割から5割まで引き上げ、装飾めっきに比肩する事業の柱にする構想である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。