ものづくり補助金平成24年度宮城県

長尺フープ状金属箔超精密鏡面加工量産対応設備の開発

株式会社ティ・ディ・シー

成果1台で月間380m以上の生産が可能となった

この事例のポイント

  • 長尺の金属箔の鏡面加工は、従来の静止した工作物を研磨する技術では対応できず、フープ材を動かしながら研磨する新たな加工技術が必要だった。
  • 厚さ50μm前後、幅30〜320mm、長さ100mのフープ材を対象に、長尺フープ状金属箔の超精密鏡面加工を量産対応できる研磨ラインを開発した。
  • 1台で月間380m以上の生産が可能となった。装置の稼働により、長尺金属箔の加工スピードは従来の加工法の約10倍に短縮された。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社ティ・ディ・シー
所在地宮城県 宮城郡利府町
業種金属製品製造業
技術分野切削加工
従業員数60人
資本金3,000万円
設立1989年

事業の背景

創業は金型設計・製造や鋳造で、昭和末期の産業空洞化を機に精密機械加工・部品メーカーへ転身した。平成10年頃からナノレベルの面粗さを求める依頼が増え、加工技術を磨いてきた。平成26年には、小規模市場で世界トップシェアを持つ企業として経済産業省の「グローバルニッチトップ100選」に宮城県の企業で唯一選定された。国内外3,000社以上に納入実績があり、国内市場の縮小が見込まれる中で世界に通用する製品を地元でつくる方針をとっている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術長尺の金属箔の鏡面加工は、従来の静止した工作物を研磨する技術では対応できず、フープ材を動かしながら研磨する新たな加工技術が必要だった。
  • 生産能力長尺の金属箔の加工スピードは従来の加工法では遅く、量産に対応できる加工装置がなかった。

やったこと

厚さ50μm前後、幅30〜320mm、長さ100mのフープ材を対象に、長尺フープ状金属箔の超精密鏡面加工を量産対応できる研磨ラインを開発した。ライン本体は特注で製作し、研磨機構には同社独自の技術を組み入れた。フープ材の繰り出し・巻き取りと研磨過程を同期させ、テンションを調整する工夫を加えた。装置導入後、連続鏡面加工の実験を行い、工具の回転数と移動速度を上げて現在までに毎分50mmの加工速度を実現した。研磨素材を改良し、工具の寿命を延ばすことにも成功した。

加工機長尺フープ状金属箔超精密鏡面加工量産対応設備(研磨ライン)

新しい製品・サービス:長尺フープ状金属箔超精密鏡面加工量産対応設備

事業の効果

  • 1台で月間380m以上の生産が可能となった

装置の稼働により、長尺金属箔の加工スピードは従来の加工法の約10倍に短縮された。1台で月間380m以上の生産が可能になり、量産体制が整った。研磨ラインの開発と同時に、フープ状超精密鏡面金属箔の告知を自社ホームページで開始し、展示会でも見本を展示して顧客に訴求している。すでに受注実績があり、特殊な金属箔の加工依頼が多く寄せられている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    ダイキャスト業から精密機械加工へ転身し、超精密研磨技術を蓄積してきた経緯が書かれ、今回の装置開発もその延長にあるとうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    ナノ精度の面粗さ(SUS304でRa1nm)や国内外3,000社以上への納入実績が示され、他社にない強みが具体的に読み取れる。

  • 課題の認識と解決3

    長尺金属箔の鏡面加工依頼への対応という課題認識と、加工スピードを約10倍に短縮する方向性は書かれるが、財務的な効果は示されていない。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    加工速度が毎分50mm、1台で月間380m以上の生産が可能と数字で示され、目標に対する実績も読み取れる。

  • 事業を進める体制2

    従業員60名や社員の技術向上心に触れるが、補助事業を遂行する体制や事務処理能力については書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    研究用途や受注実績、展示会での顧客訴求、特殊金属箔へのオーダー多数という顧客ニーズの裏付けが具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    量産性の高い装置の社内検討や、工具寿命の長期化に触れており、今後の計画の方向は読み取れるが、スケジュールは示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    長尺フープ状金属箔の超精密鏡面加工は競合が少なく、ナノ精度とオンリーワン性が具体的に書かれ、高付加価値分野と読み取れる。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    水素燃料電池や航空機・自動車向け軽量高強度素材(グラフェン)の研究開発に貢献すると書かれ、波及効果はうかがえるが定量的ではない。

  • 費用対効果2

    補助金額や投資に対する付加価値増加などの費用対効果の数字は書かれておらず、生産量の向上のみ読み取れる。

  • イノベーションへの貢献2

    超精密加工の新たなビジネス検討に触れるが、デジタル技術やサプライチェーンへの貢献は具体的に書かれていない。

政策面50%
  • 成長分野への進出3

    水素燃料電池や航空機・自動車の軽量化など成長分野の研究開発に資するとうかがえるが、構造転換との関係は明示されていない。

  • 地域経済への波及2

    地域でのものづくりにこだわり、地元で世界に売れるものをつくるという姿勢はうかがえるが、地域経済への効果の数字は示されていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後は超精密加工の分野で新たなビジネスの検討を進め、研究開発の成果が商品化された場合に備えて量産性の高い装置の開発も社内で始まっている。

事業者の声

現在は同装置が2台稼働していますが、研究開発の後に何かが商品化された場合、当社が加工する金属箔も数千mのオーダーに対応しなければならない可能性がある。より量産性の高い装置の開発について、すでに社内で検討が始まっています

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。